「君の名は。」が中国で新記録! 興行収入90億円超え…歴代日本映画トップに

人気アニメーション映画「君の名は。」は、中国全土での公開2週間あまりで興行収入が約90億円を超え、中国で公開された日本映画のトップになった。新海誠監督の作り出す美しい映像が評判となり、若者を中心に人気が高まっている。今や世界第2位の映画市場となった中国で「君の名は。」が日本映画普及の起爆剤となるのだろうか。

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  • 公開2週間で5.4億元(約92億円)…「ドラえもん」超えた
  • 心を慰め、落ち着かせる映画…なぜ中国で人気?
  • 世界第2位の映画市場・中国……日本映画の参入拡大なるか?

「ドラえもん」超えた快進撃

「君の名は。」が中国で快進撃を続けています。
12月2日の公開から3度目の週末を挟んだ19日までに、累計興行成績が5億4300万元、日本円で約91.8億円(1元=約16.9円)に達しました。
中国で公開された日本映画の興行収入を更新し、一躍トップに。
これまでは、2015年に公開された「STAND BY  ME ドラえもん」の5億3000万元が最高でした。
「ドラえもん」がひと月かけて達成した記録を「君の名は。」はわずか2週間で塗り替えたことになります。

今年中国で公開された日本映画は10本。
このうち8本がアニメーション映画で、「ワンピース」「ナルト」「ドラえもん」など興行収入1億元を超えるスマッシュヒットとなりました。

実は中国では1年に公開できる外国映画の本数は制限されていて、これまで日本映画の公開は年平均4本程度。
しかも、13~14年は尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化が響き、日本映画の公開はゼロでした。
そんな中、3年ぶりの日本映画公開となった「STAND BY  MEドラえもん」が大ヒットを記録。
そして日本で興行収入200億円を突破した「君の名は。」は、中国では異例のスピード公開となったのです。

心を慰め落ち着かせる映画…中国でなぜ人気?

「君の名は。」はなぜ中国で人気を集めたのでしょうか?
中国共産党の機関紙・人民日報海外版はこう分析をしています。

・「君の名は。」は観衆の心情を物語に引き込ませるだけでなく、現代人の持つ焦燥や苛立ち、迷いなどを落ち着かせる作用を持っている。
・映像の美しさ、爽やかな感覚、人生に対する啓発は、美しいモノを好む人間の本性にマッチしている。

同紙はまた、「君の名は。」の成功の背景には日本アニメーションの発展があると指摘。
日本のアニメを見れば日本人の考え方、生活様式が自然に分かるまでに独自の文化として発展し、優秀な作品を生み出す土壌になっていると考察しています。

一方、映画業界は「君の名は。」の宣伝に注目しています。
中国の映画輸入会社が目を付けたのは新海誠監督の映像美。
映画館の大きなスクリーンは、映画の魅力をより引き立てます。
この点を強調しました。
観客の主力としてターゲットにしたのは若者、特に大学生です。
新海誠監督を中国に呼び大学生と交流する機会を設けたり、北京市内の10大学でイベントを開催しました。
こうした情報が大学生のネットワークを通じで次々に拡散していき、映画館に足を運ぶ人が増えたと言います。

世界第2位の映画市場…日本映画は苦戦

今やアメリカに次ぐ世界第2位の映画市場となった中国。
映画館の数も急増し、市民には欠かせない娯楽の一つとなっています。
しかし、国内映画産業育成などのため、外国映画の公開は長らく制限されてきました。
外国映画の制限を避けるため、ハリウッドと合弁したり、中国映画にリメイクするといった工夫も増えています。
中国映画は一本ヒットすれば利益が大きいため投資も盛ん。
若手監督や、他の分野からの参入も増えています。

では、日本映画にもチャンスはあるのでしょうか?
前述の人民日報は「君の名は。」の成功はあくまで例外だとして、日本映画の公開が増えるとの見方には否定的です。
その理由として、1)反日的な国民感情、2)嗜好の違い(ハリウッドの娯楽大作が好まれる)、3)世界での競争力を挙げています。
確かに日本映画がハリウッドの娯楽大作と競争しても勝ち目はないかも知れません。
内容が日本的過ぎて、海外の観客には理解が難しいものもあるでしょう。
とはいえ、日本のドラマは海賊版も含めて広く見られています。
日本映画にも中国市場でヒットする潜在的な可能性は十分あると言えます。

去年中国で公開された日本映画のうち、実写は「ビリギャル」と「寄生獣」の二本だけ。
公開が増えればそれだけヒットの可能性も広がるのです。
「君の名は。」に続く、中国市場での日本映画の健闘に期待したいものです。