金正恩氏33歳の誕生日 「祝日に指定せず」など北朝鮮のナゾ

“新年の辞”では「能力が追いつかないもどかしさと自責の念に駆られながら昨年を送った」と弱気とも取れる発言も。金正恩氏の次の一手を読み解く。

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  • 新年辞でICBM発射が最終段階と宣言…米国に揺さぶり
  • いつ発射?金日成氏誕生105年、金正日氏誕生75年など上半期に記念日集中
  • 「能力が追いつかない」弱気も吐露? 経済制裁の重圧

1月8日は北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の誕生日とされる。今年は祝日に認定されるとの見方もあったが、公式の祝賀行事は予定されていないという。

2016年は核実験2回、中距離弾道ミサイル「ムスダン」や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射により、核・ミサイル能力の向上を内外に誇示した。一方で国連の経済制裁が重くのしかかる。

体制発足から5年。トランプ次期米国大統領の登場をにらみながら、金正恩氏はどんな次の一手を考えているのか。

「ICBM発射が最終段階」トランプ氏もびっくり

1月1日に発表される北朝鮮の「新年の辞」。
北朝鮮が昨年の成果を総括し、今年の政策目標を示す重要行事です。
今年も金委員長が肉声で長文を読み上げました。

この中で、金委員長は「昨年、国防力を強化する上で画期的転換がもたらされた」と指摘。
北朝鮮がアジアの核強国、軍事強国として浮上したと主張しました。
さらに「大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射準備が最終段階に入った」と強調しました。

北朝鮮は昨年4月、新型ICBMの大出力エンジンの地上噴射実験に成功したと発表。
公開された写真には改良エンジンが映し出されていました。

開発中の移動式ICBM「KN-08」のエンジンよりも大きく、火力も増強されています。
KN-08は全長18㍍の3段式の新型大陸間弾道ミサイルです。
2012年と13年の軍事パレードで登場しました。
15年のパレードの際には、弾頭部分が丸く改良されていたのが確認できました。
北朝鮮が発射実験に踏み切ったことは、まだありません。

新年辞でICBM発射に言及したのは……。
1月20日、米大統領に就任するトランプ氏へのメッセージであることに間違いありません。
これにはトランプ氏もびっくり。
即座にツイッターに「そんなことは起きない!」と書き込みました。
トランプ氏の注意を引いた――この意味で、金委員長の作戦は成功と言えるかもしれません。

上半期は節目だらけ…発射はいつ?

北朝鮮メディアは昨年10月、1月8日の「金正恩閣下の誕生日を盛大に慶祝する」と報じました。
初めて、公式に金正恩氏の誕生日に言及したわけです。
今年のカレンダーに金委員長の誕生日が明記される――。
こう注目されましたが、カレンダーには特に祝日の指定はありませんでした。
公式行事も予定されていないと言います。

一方、今年は金ファミリーの節目の記念日が目白押しです。

2月16日は父・金正日総書記の生誕75周年。
4月15日は祖父・金日成主席の生誕105周年。
4月11日は金委員長の党最高職責(当時は第1書記)推戴5周年
4月13日に国家最高職責(当時は国防第1委員長)推戴5周年

つまり、この時期に核実験やICBM発射を強行する。
それを金委員長の業績としてアピールする、という可能性があると言えます。

「能力が追いつかない」弱気も吐露? 経済制裁の重圧

昨年は核・ミサイル実験を繰り返し、北朝鮮には“史上最強”と言われる国連制裁が科せられました。
外貨獲得源である石炭、亜鉛、ニッケルなど、現金収入に直結する輸出も禁止しました。
経済制裁の重圧は新年辞にもにじみ出ています。

「すべての単位で自力更生」
「自給自足のスローガンを高く掲げよ」
「最大限増産し、節約する運動を力強く展開せよ」

北朝鮮は昨年の党大会で国家経済発展5カ年戦略を打ち出しました。
5カ年戦略の目標実現のため、あらゆる分野で自力更生、自給自足を訴えています。

金正恩体制の5年間。
食糧生産で自由裁量の幅を広げ、職場ごとに経済自立を奨励しました。
その結果、経済状況は以前より改善されたようです。

しかし、生活水準は向上しても、格差や賄賂横行などが深刻な問題になりつつあります。

「いつも気持ちだけで、能力が追いつかないもどかしさと自責の念に駆られながら昨年を送りました」

新年辞でこう述べた金委員長。

弱気を吐露したのか、それとも別の意図があるのか、その真意ははっきり分かりません。
今年は「人民のためにより多くの仕事をする」としていますが、果たして閉塞状況を打開できるのか。
金委員長の次の一手に警戒が高まっています。