軍事パレードに初のスーツ姿。金正恩流の演出と焦り

北朝鮮は故金日成主席生誕105周年を迎えた15日、大々的な軍事パレードを開催。大陸間弾道ミサイル(ICBM)など各種ミサイルが初登場し、北朝鮮の軍事力向上を見せつけた。金正恩朝鮮労働党委員長はスーツ姿で観覧、アメリカの軍事圧力にも余裕の笑みを見せた。

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  • 閲兵式にスーツ…ファッションで“平時”
  • 多様なミサイル…軍事力誇示で“余裕”
  • 全面戦争には全面戦争…アメリカに“対決”

閲兵式にスーツ…ファッションで“平時”

軍事パレードが大々的に開催された平壌・金日成広場。午前10時(日本時間)過ぎ、金委員長が会場に姿を現しました。

だが、お馴染みの人民服ではなく、黒のスーツに白いネクタイという意外な出で立ちでした。軍人の閲兵を受ける軍事パレードにスーツ姿で登場するのは初めてのことです。

一体何故、スーツを着用したのでしょうか。

北朝鮮による6回目の核実験やICBM発射に警戒が続いています。これに対し、トランプ米政権は武力行使も排除しないとする姿勢を見せています。

世界の目が北朝鮮に注がれる中での軍事パレードでした。しかし、金委員長はあえてスーツを着用しました。

アメリカの圧力をものともせず、大型行事を滞りなく開催できると示す。

ーーつまり自身はあくまでも“平時にいる”ことを演出したのです。

もちろん、祖父の金主席も意識しています。金主席は外国要人と会見する際、よくスーツを着用していました。ジャンパー姿が多かった父の金正日総書記とは対照的です。

ひな壇に上がると、「マンセー(万歳)」の大歓声が沸き起こりました。

その姿は北朝鮮の最高指導者として5年が過ぎ、体制固めが一層進んだことを感じさせました。

多様なミサイル…軍事力誇示で“余裕”

軍事パレードには初公開となるミサイルが続々登場し、注目を集めました。

 まずは、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)北極星。白い機体にハングルで「北極星」と書かれ、ひときわ目を引きます。

北朝鮮が一昨年「発射に成功した」と発表したミサイルです。
昨年8月にも発射し、その際、500㌔飛行して日本海に落下しました。

通常より高い発射角度で打ち上げていたので、この程度にとどまったといいます。角度によっては1000㌔は飛行したと見られています。

SLBMを地上から発射できるようにした北極星2型も初公開です。

今年2月、日米首脳会談の最中に発射しました。準備に必要な時間が5~10分と短い固定燃料を使っているので、これまで以上に発射の探知が難しくなりました。

さらに、3種類のICBMが出てきました。過去に公開されたものより大型だったり、改良型と見られるものが登場しました。

北朝鮮のテレビはICBMが登場した際、金委員長の笑顔をアップで放送。多種多様なミサイルの実用化が進んでいることに自信を深めていることを印象付けました。“余裕”の演出です。

全面戦争には全面戦争…アメリカに“対決”

式典では崔竜海副委員長が演説しました。

「アメリカが挑発を続けるのであれば我々は即時殲滅的な攻撃を加える」

「全面戦争には全面戦争で、核戦争には我々式の核打撃戦で対決する」

強調したのはアメリカへの対決姿勢でした。

北朝鮮はその翌日、西部の新浦から中距離弾道ミサイル1発を発射。発射後4秒ほどで爆発し、失敗に終わりました。

アメリカのペンス副大統領の韓国訪問に合わせて発射したと見られています。

米国の圧力がどんなに強まっても核・ミサイル開発は放棄しない、という意思表示でもありました。

北朝鮮は核・ミサイル開発をやめたら、リビアやイラクのようにアメリカに潰されると恐れています。できるだけ早期に核開発を完了させたいという思惑があるようです。

朝鮮人民軍創建85周年を迎える25日に限らず、核・ミサイル実験を強行する可能性は消えていません。

金委員長の“余裕”の裏に、強い焦りが隠されているようです。