平壌でガソリン価格が高騰、中国が制裁に本腰か?

北朝鮮が4月19日からガソリンの販売制限を開始し、ガソリン価格が高騰していることがわかった。平壌市内のガソリンスタンドは軒並み休業し、営業しているスタンドには長蛇の列ができているという。アメリカと協調して北朝鮮への圧力を強める中国。果たして、北朝鮮の命綱ともいえる石油の輸出停止に踏み切るのか? 中国の本気度を探った。

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  • ガソリン販売制限……価格が70%高騰
  • 石油禁輸も検討を……中国共産党系の新聞が報道
  • 米攻撃でも軍事介入しない?……中国の本気度

ガソリン販売制限……価格が70%高騰

「19日朝、外交団用のガソリンスタンドに行ったところ、ガソリンの販売が停止されたことがわかりました」
中国中央テレビの平壌駐在記者によるリポート。
各国の在北朝鮮大使館や国際機関所有の車など一部を除いて、ガソリンの販売が停止されたと伝えました。
中国の国営テレビが北朝鮮の内情を伝えるのは異例のことです。
19日には営業していたスタンドも、その後は軒並み休業しました。
営業している一部のスタンドには、ガソリンを買い求める市民らが殺到し、車列が1㌔にも及んだそうです。

平壌でガソリンを購入には、事前に給油券を入手しなければなりません。
中国の通貨に換算すると1枚90元(約1450円、1元=約16円)で15㎏(20㍑)が購入でき、余れば次回に回すことができます。
それが1週間で160元に。
70%も値段が上がったのです。

何故突然、ガソリンの販売が制限されたのか?
北朝鮮当局からはその理由や、期間に関する説明は一切ありません。
市民らは事態が長期化することを恐れ、備蓄に躍起となっています。

石油禁輸も検討を……中国共産党系の新聞が報道

「北朝鮮が6回目の核実験をした場合、中国は北朝鮮との石油貿易制限を含めた国連安保理の決議案に賛成する」(24日)

中国共産党系の機関紙・人民日報傘下の環球時報は、北朝鮮への石油輸出削減に言及しました。
中国政府は国連安保理の制裁決議強化に伴い、今年2月から北朝鮮からの石炭の輸入を停止しています。
アメリカから北朝鮮への圧力強化を求められている中国。
石炭の次は石油の提供を削減するのでは、との観測が広がっています。

北朝鮮の石油は約9割を中国からの輸入に依存していると言われます。
中国東北部・丹東には北朝鮮に送る石油のパイプラインが敷かれ、このバルブが閉じられれば北朝鮮には大打撃となります。
中国はこれまでも制裁目的で北朝鮮への石油提供を削減したことがありますが、完全に停止はしていません。
パイプラインは一度でも止めると管が詰まり、再開には時間がかかるからです。

北朝鮮は中国の制裁強化の動きに反発しています。
「周辺国が我々を公に脅している」として、名指しは避けながらも暗に中国を批判しました。
また、「経済制裁に執着するなら、我々との関係に及ぼす破局的結果も覚悟すべきだ」と警告しました。
こうした中で明らかになった平壌でのガソリン販売停止の動き。
中国側が実際に石油供給を削減したか、あるいは「削減した」と通告したかは確認されていません。

米攻撃でも軍事介入しない?……中国の本気度

今月6、7日の米中首脳会談後も、トランプ大統領と習近平国家主席は2度、電話会談しました。
両首脳が北朝鮮問題でこれだけ密に連絡を取るのは初めてのことです。
中国メディアの論調にも変化が見られます。
人民日報系の環球時報はこうも主張しています。

「アメリカが北朝鮮の核施設に対して外科手術的な攻撃を加える場合、軍事的に介入する必要はない」(22日)

核施設に限定した攻撃であれば、中国は軍事介入しない。
北朝鮮の政権を転覆させるに至らない限定攻撃であれば、中国は黙認するというのです。

中国と北朝鮮は朝鮮戦争を共に戦った血と友誼で結ばれた同盟関係にあります。
中朝友好相互協力条約には、どちらかが他国に攻撃された場合は軍事的援助をすると記されています。
この条約は現在も有効で、朝鮮戦争のような事態が起きた場合、中国が軍事介入することになります。

ただ、中国国内では、この条項の見直しを求める声も広がっています。
金正恩体制発足後、北朝鮮に対する中国の世論は厳しさを増す一方で、北朝鮮を無条件に支援することは難しくなりつつあります。
北朝鮮の核・ミサイル開発にどう歯止めをかけるのか。
習近平政権の本気度が試されています。