サイバー攻撃に関与? 北朝鮮部隊7000人の不気味な実力

高い攻撃能力を持つとされる北朝鮮のサイバー部隊。その実態を探る

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  • 7000人規模のサイバー戦闘員…高度のサイバー能力
  • 「核ミサイルに並ぶ万能の宝剣」…金正恩委員長が檄飛ばす
  • バングラデシュ銀行から93億円……ハッキングで外貨強奪か
鈴木款 Reporter May 19, 2017

身代金要求型ウイルスが使われたサイバー攻撃の被害が世界で続出しています。これまでに約150か国で約30万カ所の端末が被害を受け、日本でも日立製作所やJR東日本でメール障害などが発生しました。

これに北朝鮮が関与している疑いが浮上しています。

7000人規模のサイバー攻撃部隊……高度のサイバー能力

世界で同時多発的に発生したサイバー攻撃には、「ランサムウェア」という身代金要求型のウイルスが使用されています。感染すると、データが暗号化され、文字化けなどで読めなくなる。それを復元する見返りに金銭を要求するという手口です。

 この「ランサムウェア」の特徴が、ハッカー集団「ラザルス」が使うプログラムと一致するーーアメリカのセキュリティ大手「シマンテック」がこう明らかにしました。

「ラザルス」は、北朝鮮のハッカー集団と推定される組織です。「ラザルス」は過去にも韓国やアメリカでハッキング被害を引き起こしています。

2014年には米ソニー・ピクチャーズエンターテイメントが金正恩体制を侮辱した映画を制作したとして攻撃。北朝鮮は関与を認めませんでしたが、米政府はその犯行と断定しました。

北朝鮮のサイバー部隊は特殊工作機関・朝鮮人民軍偵察総局に所属。偵察総局「121部隊」が、サイバーテロの中核と見られています。今回の大規模攻撃にも「121部隊」が関与した可能性があります。韓国国防省によれば、北朝鮮のサイバー攻撃要員は約7000人。アメリカのサイバー司令部の4900人を上回り、米軍太平洋司令部の指揮所をマヒさせてアメリカの戦力網に被害を与える高い能力があるといいます。

「核・ミサイルに並ぶ万能の宝剣」…金正恩委員長が檄飛ばす

「サイバー攻撃は核・ミサイルと共に軍の打撃力を担保する万能の宝剣だ」

2013年8月、金正恩朝鮮労働党委員長がこう述べました。以降、北朝鮮ではサイバー攻撃要員の養成に一層拍車がかかったとされています。

北朝鮮では中学生から、情報技術という科目でコンピューターの基礎を学習します。情報技術の教科書には、インターネットへの接続方法が説明されています。

学校でネットに接続するには、まずIPアドレスを設置。北朝鮮のWEB閲覧サイト「ネナラ(私の国)」から学校のホームページを開き、IDを入力して閲覧の許可を得ます。域内コンピューター網に接続するには、別の「平壌星」というサイトからアクセスします。いちいち閲覧の許可を得てから見る仕組みで、北朝鮮内限定のLANのような形で運用されています。

ヤフーやグーグルなど海外のポータルサイトには自由に接続できません。生徒達は「フェイスブック」が何かも知りませんでした。

エリート校の中でも特に優秀な学生が、卒業後、金日成総合大学、金策工業大学などに進学し、その後は偵察総局に所属するのです。

バングラデシュ銀行から93億円…ハッキングで外貨強奪か

国連制裁が強化され、北朝鮮は国際金融システムから締め出されつつあります。この中で注目を集めているのが、金融機関に対するハッキングです。

「シマンテック」幹部が米議会上院の公聴会で、北朝鮮がサイバー攻撃によりバングラデシュなどから多額の現金を盗んだと証言しました。バングラデシュ中央銀行では、昨年2月に巨額不正送金事件が発覚。「サイバー攻撃で、8100万ドル(約93億円)を奪った」と見られています。同幹部は北朝鮮がベトナムやエクアドルなど18カ国の金融機関を狙ってサイバー攻撃をしているとの報告書をまとめました。

国際社会の制裁圧力を受けるなか、サイバー攻撃による“銀行強盗”を狙ったと見られる北朝鮮。銀行側の対策が強化されると、今度は身代金ウイルスを使った新たな外貨獲得に乗り出したようです。

電力、交通、銀行など社会基盤を支えるコンピューターシステム。サイバー攻撃は行政や企業のパソコンを攻撃し、経済・社会システムを大混乱させます。核・ミサイルだけでなく、北朝鮮によるサイバー攻撃が大きな脅威となっています。