なぜ「国立大付属校の入試を抽選に」エリート校潰しの文科省報告書

「エリート校」は潰されてしまうのか

カテゴリ:国内

  • 29日、国立大学付属学校の中長期的な対応策が発表
  • 「抽選」を入試に取り入れる可能性も
  • この改革は「エリート校」潰しになるのか

文科省の「国立教員養成大学・学部、大学院、付属学校の改革に関する有識者会議」では、少子化に伴う教員需要の減少に備えて、教員の養成の中心的な役割を果たしている国立大学や学部の在り方、養成・研修機能の強化について議論してきた。

その報告書が29日にとりまとめられたのだが、その中に盛り込まれた国立大学付属学校の中長期的な対応策が「エリート校潰し」になりかねない。

「対応策」は以下の通りだ。

まず、「いわゆるエリート校と呼ばれる学校についても同様に、すべての国立大学付属学校は、付属学校の本来の使命・役割に立ち返り、多様な入学者選考の方法を実施すべきである」と強調。

さらに選考方法として、「選考に当たっては、例えば、学力テスト等を課さず、抽選と教育実習の実施校かつ研究・実験校であることに賛同する保護者の事前同意の組み合わせのみで選考する方法や、学力テスト等を課す場合であっても、選考に占める学力テスト等の割合を下げるなど、各学校の特色に応じつつ、多様性の確保に配慮し、そのために必要な教育環境の整備も合わせて検討されるべきである」と記している。

有識者会議では、国立大学付属校の本来の役割は、教員養成のため教育実習を実施し、実験的な学校教育を行うなど教育研究へ協力することだとしている。

しかし一部の学校がエリート校化してしまい、教育課題への取り組みが不十分だというのが有識者たちの言い分だ。

そこで有識者会議では、エリート校とよばれる国立大学付属学校は、今後入試で学力テストをせず、抽選か学力テストの割合を下げる方向で、2021年度までに見直しを検討するべきだと提言している。

現在国立大付属校は、全国で256校あり(幼稚園49、小学校70校、中学校71校、高校15校、その他51校)約9万人が通っている。

中でもエリート校と称される学校では、学力の高い児童生徒が集まるため、教育の研究成果が公立学校に還元されていないという批判があった。

とくに最近では、発達障害や外国人の子どもへの教育支援のニーズが高まっており、国立大付属校には「本来の役割を果たしてほしい」との声も上がっていた。

有識者会議としては、こうした声をもとにエリート校に「改革」を迫ったものだ。

この報告書について林文科大臣は29日の閣議後会見で、「付属学校の入学者選考で学力テストをやってはいけないと言っているわけではない」としながらも、「各付属学校がそれぞれの存在意義・役割・特色などを明確化していただいて、公立学校のモデルということで高く評価される学校となるように支援していきたい」と、選考方法に抽選を導入することを否定しなかった。

たしかに国立大学付属校の本来の設立趣旨は、教員養成や教育の研究だったのかもしれない。

しかし、エリート校は、もはや小中学校の教育研究の役割以上に、国や社会を引っ張るエリートの輩出こそが期待されているのではないか。

教育の研究対象校が必要であるなら、全国の公立小中学校の中に、外部から横やりを入れられながらも、さまざまな独自の取り組みをしている学校がたくさんある。

学校の役割は時代とともに変化する。

政府が旧態依然とした価値観や役割を教育現場に押し付けるなら、日本の教育に未来はない。