日本の労働生産性は先進国最低レベル 今こそ、“昭和型”からの脱却を

長時間労働は、企業の生産効率を下げ、社員の心身を蝕むリスクだ。産業構造が変化し、少子高齢化・人口減少社会の到来で、働き方も変わらないといけない。「昭和」をマインドチェンジする時が来ている。

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  • 日本の時間当たりの生産効率は先進国で最低レベル
  • 電通社員の過労自殺は「氷山の一角」
  • 長時間労働の見直しには、すべての人が声を上げないといけない

電通の過労死自殺は氷山の一角

「日本は命を守る労働時間の上限が無い国です」
 
安倍政権が長時間労働の是正に向けて進めている「働き方改革」。しかし、その議論のさなかに、電通の女性社員、高橋まつりさんが過労自殺した。

11月23日は勤労感謝の日。そこで、その日の「ホウドウキョクGOGO ビジネスのキモ」では、「働くこと」をテーマに少子化ジャーナリストとして長くこの問題に携わり、政府の働き方改革実現会議の有識者メンバーとして参加する白河桃子さんにお話を伺った。

白河さんは、電通社員が過労自殺した問題を、「日本は命を守る労働時間の上限がなく、これは氷山の一角」だという。

白河さんは長時間労働撲滅プロジェクトとして、署名運動を行っている。

その中で様々な支持者に会い、「いかに多くの方が過労のために家族や親族を亡くしているのか」と感じてきたという。

日本の労働生産性は先進国最低クラス

そもそも長時間労働は何が問題なのか?

医学的に見ると、2〜6か月の間、月80時間超えると「過労死ライン」だという。

また、過労死には、精神疾患〜うつ病などによる自死と、体調悪化による死亡があるという。

長時間労働による睡眠不足は、正常な判断を出来なくするだけでなく、長時間会社に閉じ込めるパワハラでもある。

では、社員を精神的、肉体的にむしばむことがわかっている長時間労働がなぜ減らないのか?

そもそも日本では、長時間働く人は頑張っていると言う文化があった。

白河さんは「仕事が多い、効率が悪い、のほかに、上司が残業やっている人を評価していると部下が思っていることも理由になっている」と言う。

時間当たりの生産性をみると、日本はOECD諸国の中で22位と最低クラスだ。

アメリカでは時間内に仕事終わらせない部下を上司は低く評価する。

ヨーロッパでは国民の健康のためというシンプルな理由で、労働時間を厳しく管理する。たとえばドイツでは、1日10時間以上働くと罰金が上司に課される。

日本ではだらだら残業だけでなく、生産性の低い会議が多い。

会議のためだけのプレゼン資料作成や、報告だけの「御前会議」。

ヤフーでは、生産効率を高めるため、会議のコストを算出したところ(会議室代や出席者の人件費など)、著しく会議が減ったそうだ。

今こそ前時代的な働き方から脱却を

白河さんは、「働き方改革はマインドチェンジが必要。「昭和」の時代は、製造業が多かったのでたくさん働いて、たくさん製品を創って、たくさん買うみたいな好循環だったが、いまは違う。長い時間頑張るだけでなく、違う頑張り方もあることに気付くべき」だという。

産業構造が変化し、ハードからソフトへ経済の中心が移行する中、働き方が変わるのはむしろ当たり前ではないか。

長時間労働の是正は、少子化対策や女性の活躍推進にも通じる。
これからの日本社会は、少子高齢化の中、労働人口が減少していく。

日本はこれまで職場における男女差別の禁止や、産休・育休の整備など、女性が働きやすい環境の整備を続けてきたが、依然子育てママには「マミートラック」の問題がある。

働き方改革実現会議は、来年3月に終了する予定だ。

長時間労働の上限設定について白河さんは、「会議で決まるのではなく、皆さんの声で決まる。声を上げてほしい」と訴える。

社会や産業が大きく変わる中、前時代の遺物をそのままにしていていいのか。

政官民挙げて働き方を変え、過労死や過労自殺の悲劇をストップするべきだ。