「文字が読めない」開発途上国の子どもたちへの教育支援は、世界を変える

12月21日放送の「教育のキモ」では、開発途上国の子どもたちに本を届けるなど、識字教育の支援を行っているNPO「ルーム・トゥ・リード」の日本事務局代表・松丸佳穂さんにお話を伺った。

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  • 世界の非識字人口は7億5800万人。そのうち2億5000万人が子どもたち。
  • NPO「ルーム・トゥ・リード」は開発途上国の子どもたちへ識字教育の支援を行う
  • これまで支援した生徒は1千万人、学校は1万8千校以上。2020年までに1500万人以上の支援を目指す。

「ルーム・トゥ・リード」の設立はいまから16年前。

当時、マイクロソフトの重役だったジョン・ウッド氏は、ネパールを旅行中たまたま現地の学校を訪問し、図書館に本がないことに衝撃を受けた。そして、帰国後ウッド氏は本をかき集め、再びネパールの学校を訪れて本を届けた。

その後ウッド氏はマイクロソフトでの地位を投げうち、開発途上国の学校や子どもたちに本を届ける取り組みを始めたのだ。

世界の非識字人口は7億5800万人。世界の7人に1人が、本を読んだり、文字を書いたりできない。そのうち2億5000万人は子どもたちだ。

文字の読み書きができないとどんなことが起こるのか?

紛争地域の地雷地帯では、「地雷注意」の看板が読めず命を落とす子どもがいる。

薬の処方箋が読めない母親が、誤って赤ちゃんに薬を飲ませて赤ちゃんが死亡する。

契約書を読めずにサインし、不利な契約をさせられる。

識字は生命にかかわる、人権なのだ。

「ルーム・トゥ・リード」は、「子どもの教育が世界を変える」をビジョンに掲げ、子どもが質の高い教育を受け、自らの可能性を広げ、コミュニティや世界に貢献できる世界を目指している。その主なプログラムは2つ、識字教育と女子教育だ。

識字教育は、初等教育の間に1人で本を読む力を身に付けることを目標にする。

活動は、図書室の建設や、現地語の本の制作・出版。

また、教員のトレーニングも行っているが、松丸さんによると「一番大事なのは現地のコミュニティ、政府と連携すること」だという。

途上国では、女子教育がなおざりだ。兄弟が多いと男子の教育の優先順位が高く、女子は小学校を卒業すると家族の世話や仕事につくことが多い。

そこで「ルーム・トゥ・リード」では、女子の高校卒業までのサポートを行い、自分で意思決定できる力を授けることを目標にしている。

途上国の女子は、貧困のため学校に通えないだけでなく、そもそも身の周りに高校を卒業した女性がいないので、進学するという選択肢があると思っていない。

「ルーム・トゥ・リード」では、現地の女性メンターを派遣し、相談役となって進学をサポートする。また、女子に教育は要らないと考える家族や学校、コミュニティの理解を得るために、女子の進学のための環境づくりにも取り組む。

女性メンターは、「ルーム・トゥ・リード」の卒業生が多い。

カンボジア生まれのスレイモンさん(25)は、家が農家で貧しく、ルーム・トゥ・リードに出会うまでは、中学進学も難しかったという。

しかし高校卒業まで支援を受け、彼女は奨学金を得て自力で大学に行った。

そしてメンターとなった彼女は、今年職員となり、さらに土日を使って大学院に通い、農村開発の勉強をしているという。まさに「教育が世界を変える」ロールモデルだ。

松丸さんは、「彼女と会うとパワーをもらう。1人ひとりにドラマがたくさんあって、会うといつもすごいなあと思う。ロールモデルが1人、2人と生まれることで、(次の人たちの)目標ができる」と語る。

「ルーム・トゥ・リード」が活躍する地域はネパール、ベトナム、カンボジア、インドなど10か国。職員は1000人だが、現地主義を重視し、現地で働くスタッフはすべて現地の人だという。これまで支援した生徒は1千万人、学校は1万8千校以上だ。

「図書館をつくるノウハウなどを現地のNPOに伝え、自分たちでは全部せず、技術供与で展開していく」(松丸さん)

今後「ルーム・トゥ・リード」では、2020年までに1500万人以上の支援を目指しているという。

「ルーム・トゥ・リード」は世界中の企業個人からの支援寄付金で成り立っている。
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