不登校やいじめ、学級崩壊…。 教育の現場を変える「アクティブラーニング」

1月4日、新年第一回の「教育のキモ」では、2020年の教育改革の「キモ」となるアクティブラーニングについて、すでにアクティブラーニングを学校教育に導入し実績を出している東京都八王子市立弐分方(にぶかた)小学校の清水弘美校長に話を伺った。

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  • 「アクティブラーニング」はすでに根付いているもの
  • アクティブラーニングで子どもたちの自尊感情を育てる
  • 不登校やいじめが飛躍的に改善される

弐分方小学校がアクティブラーニングを開始したのは平成24年。今年で5年目となる。

当時アクティブラーニングという言葉はまだ教育現場に浸透していなかった。しかし清水校長は「小学校ではずっとやってきたこと」と言う。

「いまアクティブラーニングをやりましょうと急に騒がれていますが、実はずっと小学校ではやってきました。小学校では特別活動の中で、主体的、協同的な学びを指導してきました。アクティブラーニングは特別活動(*)の手法です」(清水校長、以下同)

清水校長がアクティブラーニングを導入しようと思い立ったのは、弐分方小学校では当時、学力調査に課題があったこと以上に、子どもたちの自尊感情が低かったためだ。

「子どもたちの自尊感情が低く、『やってもだめだ』となると、授業が面白くない、そして授業が荒れるという負のスパイラルに入っていました。そこで、まず子どもたちに自尊感情をつけることが大事だと感じたんです」

弐分方小学校では、2つの取り組みを行っている。1つは「異年齢交流活動」だ。

1~6年生で縦割りのチームを30チーム作る。チームのメンバーはランダムに選ばれ、6年間班変えがない。だから、気が合わない子どもがいても、折り合いをつけることが大事になる。

この狙いについて清水校長は、「いろいろな考え方の人がいて、発達段階も違います。異質なものが混ざることが大事で、子どもたちは各々の違いを受け入れるようになります。また、各学年は2人くらいしかいないので、6年生になると教室で活躍の場がない子どもでも、必ずリーダーとしての立場を担うようになります」と話す。

2つめとして、話し合い活動を重視した特別活動がある。

子どもたちは、あるテーマ、例えば行事のそれぞれの役割分担を学級で話し合う際、自己決定(自分のこととして受け止め自分の考えを持つ)と集団決定(みんなと考えて決め、実践する)を繰り返す。そして、行事が終われば各々がこれまでの経験を振り返り、それをみんなで共有する。

この際に大切なのは、お互いに違いを受け入れあう「否定されない集団」を作ることだと清水校長は言う。

「子どもの世界は辛辣で、傷つけたり傷つけられたり。民主主義は違う者同士が工夫して折り合いをつけながら歯を食いしばって前に向かうこと。こういう思考回路を身に付けるのが大事」

また、先生のサポートも重要だ。

「教師によって指導の仕方変わると子どもたちが迷うので、『自己流』は禁止にしました。先生同士がアクティブラーニングで教え方を共有するので、どこの教室でも同じ指導になっています」

こうした取り組みによって、弐分方小学校の子どもたちは大きく変わった。

文科省が行っている全国学力・学習状況調査(6年生対象)によると、アクティブラーニング導入を決めた平成24年は、「自分にはよいところがあると思う」と答えた子どもは16.2%とわずかだったが、平成28年には53.1%と飛躍的に伸びた。

全国平均では36.2%なので、ほかの地域と比べても弐分方小学校の子どもたちの自尊感情が高いのがわかる。

ほかにも「学校に行くのは楽しいと思う」と答えた子どもが、導入時の45.8%から68.8%へ(全国55.2%)、「いじめはどんな理由があってもいけないことだと思う」が、導入時62.5%から84.4%(全国83.1%)とこちらも大きく伸びた。

「特別活動は、学校の教育問題解決に役に立つ」と清水校長は言う。

「特別活動は不登校やいじめ、学級崩壊の解決のヒントになります。また、特別活動によって、規範意識やチャレンジ精神がつき、体力や運動力も高くなります。自尊感情はそのままテストの点につながりませんが、自尊感情の高い子はやる気が出て学習、スポーツなどそれぞれのゴールに向かうのです」

弐分方小学校では今後、アクティブラーニングを教科の中に取り入れる予定だ。

「アクティブラーニングで授業を作っていきます。勉強が好きになる子どもたちをつくりたいと思います」

清水校長と弐分方小学校の挑戦は続く。

(*)「特別活動」 入学式や運動会などの学校行事、クラブ活動や学級活動などの教科外活動。