学校だけでは不十分。「教育改革」は企業が変わらずして実現できない。

教育改革は、子どもや学校だけでは実現できない。企業が変わることで教育を変える「教育のエコシステム」に取り組む「未来教育会議」代表、熊平美香さんに話を伺った。

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  • 教育の改革は子どもや学校だけでなく、大人や社会も意識が変わらないと実現できない
  • 「未来教育会議」は、「教育のエコシステムは、企業から」との考え方のもと、企業に21世紀型への脱皮を促す
  • 21世紀型の企業では、上司からの指示は、部下のリフレクション(内省)を促す形に変わる

いよいよ2020年度には、「ゆとり」以来となる教育改革が始まる。ただ、教育の改革は子どもや学校だけでなく、大人や社会も意識が変わらないと実現できない。
そこで教育のキモでは、企業が変わることで教育を変える「教育のエコシステム」の取り組みをしている「未来教育会議」の代表、熊平美香さんに話を伺った。

「未来教育会議」とは、社会や企業が教育と一緒に変わるために、3年前に設立したプラットフォームだ。
熊平さんは9年前にビジネスの世界から教育界に転身したが、当時の学校教育のあり方とシステムに強い危機感を持ったという。

「当時学校の先生は、保護者や行政、教育委員会からさまざまなことを言われ疲弊していました。また、先生や教育行政は真剣に子どもたちのことを考えているのに、子どもたちの主体性や創造性は育まれていませんでした。そこで、これは教育システムの問題で、『全体最適』を考えないといけないと思い、この会議を立ち上げたのです」(熊平さん、以下同)

世界の教育システムは大きく変貌している。
OECDが2000年から開始したPISA=生徒の学習到達度調査の序文には、「人生の準備は万全か」と書かれていた。
世界ではIoTやAIによる第4次産業革命がはじまり、日本では今の労働人口の49%がAIで代替可能になると言われている。
そして、社会はよりグローバル化、複雑化し、未来は予測不能となっている。
こうした社会をいまの子どもが生き抜くための備えが、いまの教育で万全かという問いかけだ。

未来に向けた教育は、いま欧米がリーダーシップを取っていると熊平さんは言う。

「オランダの場合、4歳から計画を立てて遊ぶことを教えられる。そうすることで子どもの主体性を育てます。さらに、4歳の子どもがリフレクション(内省)を行います。たとえば、自分が一番自慢したい絵は何ですか?理由は?など先生が子どもに聞き、子どもは自分を振り返るのです」

リフレクションによって、子どもは自分で考え行動し、立ち止まってまた行動することを学ぶという。
さらにオランダでは、小学校でも一斉授業がなく、各自が自分の学習計画を作り、全員が同じペースで学習をやらない。
政府も習熟度別の教材を用意し、子どもの主体性を徹底的に支援する態勢をとっているのだ。

また、アメリカのハーバード大学では、1980年代にIQにかわるあらたな概念、マルチプルインテリジェンス(8つの知能)が提唱された。
人間は、言語や数学的知能だけでなく、スポーツや音楽、絵画、自然とつながる知能など8つの知能があるという。
こうした理論のもと、アメリカでは子どもの創造性をどう伸ばすか、教育現場で研究と実践が行われている。

「未来教育会議」は、「教育のエコシステムは、企業から」との考え方のもと、さまざまな企業に21世紀型への脱皮を促している。
21世紀型の企業では、組織は上下からフラットな関係に変わり、上司からの指示は、リフレクション(内省)を促すことに変わる。
命令はビジョンの共有に、日本型のあいまいなフィードバックはストレートなものに変わる。

「学校の先生が新しいことをチャレンジしても、親が理解を示さなければ改革できません。企業で働く人たちも家庭では親です」