2020東京五輪のカギを握る「アスレティックトレーナー」とは?

2020東京オリンピックで勝利をつかむため、アスリートのサポート体制をどう構築していけばいいのか? そのカギを握るのが、「アスレティックトレーナー」だ。

カテゴリ:芸能スポーツ

  • 11日、JATOによるイベントで北島康介さん、伊調馨選手などがアスリートを取り巻く現状と課題を議論。
  • 近年注目を集めるアスレティックトレーナーは選手に対してフィジカル面の幅広いケアを行う。
  • 日本には現在200人の公認アスレティックトレーナーが活躍。しかしまだまだ数は少なく育成が急務。

今月11日、都内でJATO(ジャパン・アスレティックトレーナーズ機構)によるイベント・セミナーが開かれた。

イベントには、競泳平泳ぎでオリンピック2種目2連覇を成し遂げた北島康介さんや、レスリング女子で4大会連続金メダルを獲っている伊調馨選手、そしてリオ五輪で選手をサポートしたアスレティックトレーナーが参加し、アスリートを取り巻く現状と課題について議論した。

アスレティックトレーナーは、選手のけがの予防や再発防止、健康管理などフィジカル面を幅広くケア

「アテネ(オリンピック)の頃は自分のスーツケースの半分は日本食だった。いまはサポートが行き届いていてそんなことをする必要がなくなった」

こう話したのは世界のトップアスリート、伊調馨選手だ。

いまでは誰もが「アスリートファースト」を語るが、いまから13年前のアテネ五輪の頃は、伊調選手でさえ食事のサポートをするスタッフが周りにいなかった。

選手のサポートで重要な役割を担うのは、コーチやマネージャー、ドクターはもちろんだが、近年特に注目されているのがアスレティックトレーナーだ。

アスレティックトレーナーというと、練習や試合で選手が体調不良やけがを負ったとき、テーピングなど緊急措置を行うイメージがあるが、実際の仕事はそれだけにとどまらない。

常日頃からアスリートに接し、けがの予防や再発防止、さらにはアスリートへの健康や身体に関するさまざまなアドバイスなど、フィジカル面の幅広いケアを行っている。

女子7人制ラグビー日本代表「サクラセブンズ」のヘッドアスレティックトレーナーとして、リオに同行した平井晴子さんは、事前合宿地イトゥに選手より早く現地入りした。

イトゥでは現地のコックに、栄養管理士が作った日本食のレシピを渡し、作った料理の味を確認したり、選手の時差ぼけの解消策を講じるなど、選手のパフォーマンスを最大限に引き出すためのきめ細かいサポートも行った。

リオで試合エリアまで入れるスタッフパスはわずか5枚だったが、アスレティックトレーナーは、ヘッドコーチ、マネージャー、ドクター、ゼネラルマネージャーとともに、常に選手のそばに寄り添った。

2020東京に向けて、平井さんはこう語る。

「スタッフの目標は、チームを強化すること、そしてけがの予防も重要です。そのバランスがとても大切です」

「競技や身体についての知識を与えてもらった」「トレーナーがいなかったら、今(の自分)は無い」

アスレティックトレーナーについて北島選手は、「競技や身体についての知識を与えてもらった」と言い、「選手が信頼できる、とても大きい存在」だと強調した。

また、伊調選手も「監督やコーチ以上に近い存在」だと述べたうえで、「トレーナーの皆さんがいなかったら、今(の自分)は無い」と言い切った。

JATOが設立されて20年。

一方、半世紀以上前に団体を設立したアメリカでは、各学校、各運動部に専属のアスレティックトレーナーがいて、選手のフィジカル面のサポートをしているという。

日本にはいま200人の公認アスレティックトレーナーが活躍しているが、まだまだ数は少ない。

2020五輪で「アスリートファースト」を達成するためにも、アスレティックトレーナーの育成は急務だ。