“ディズニーモデル”は追求しない!BuzzFeedが掲げる「次の目標」

特集「日本のメディアが米メディアから学ぶこと」第3回

カテゴリ:ビジネス

  • ライバルは「伝統メディア」
  • ジャーナリズムに力を入れたい
  • 「ハリウッド発」ではなく、ネットワークを重視
清水俊宏 Reporter Dec 14, 2016

医療関連メディア「WELQ」で記事の信憑性や制作体制が問題視されたことをきっかけに、ネットメディアのあり方が大きな議論となっている。『ホウドウキョク』では秋のリニューアルを前にアメリカで様々なメディアの現状を見てきた。その内容は、今の日本メディアが学ぶべき点も多い。それを全5回でリポートする。第3回は、この特集で「ABCニュース」から「おやつのような存在」と揶揄された「BuzzFeed」について。

どこで見ようが気にしない

「影響力と規模を持ち合わせている限り、BuzzFeedをどこで見ようが気にしない」とは創設者ジョナ・ペレッティCEOの言葉だ。

その言葉通り、様々なプラットフォームにコンテンツを提供して拡散させる手法で成功しているBuzzFeed。コンテンツは政治・経済からネコ動画・クイズ・リスト記事など幅広く、Facebookのページ登録数だけを見ても883万件(12月現在)となっているから驚く。

「新興メディア」の中でも、特に注目される存在だ。

そんなBuzzFeedの日本版が今年1月19日に開始された。BuzzFeedの次の目標と、日本でも同じく伸ばしていけると考えているのかを聞くため、ニューヨークの本社を訪ねた。明るくて開放感のあるオフィスだ。

ライバルはワシントンポストとニューヨークタイムズ

迎えてくれたのは、ヴァイスプレジデントのスコットさん。世界に約1400人いるBuzzFeed社員の中で、6番目の社員なんだそう。

まず、BuzzFeedのライバルは誰かと聞いてみたところ、即座に「ワシントンポストとニューヨークタイムズだ」と答えが返ってきた。

「BuzzFeedが誕生してまだ10年も経ってない。ニューヨークタイムズのように100年以上かけて信頼を築いてきたメディアと伍していくのは簡単なことではないんだ。時間をかけて信頼を勝ち取っていかなくてはならない」

同じニューヨークのマンハッタンにオフィスを構える『一大メディア』になっても、「伝統メディア」との間には大きな差があるのだという。

窓からの景色

ただ、信頼度ではまだニューヨークタイムズなどに勝てないと言いつつ、そうした伝統メディアがデジタル分野に進出することについては歓迎するという。

「伝統メディアがデジタルに本気になることは、我々にとってはありがたい状況だよ。ニューヨークタイムズのようなメディアがオンラインでニュースを展開することで、オンラインでも信頼に足る情報を得ることができると理解してもらえるからね」

ネコの面白い動画や「〇〇するための5つの方法」といったリスト記事が、BuzzFeedの代名詞のように言われてきたが、いま最も力を入れているのが『ジャーナリズム』だ。

「BuzzFeedの価値はオリジナル・リポートだ。米国ではネットのニュースは信頼できない、というようなステージではないし、その心配はもうない。でも、日本ではまだそういう状況ではないよね。『BuzzFeed Japan』は最初のミッションとして、ニュース機関としての確たる信頼を築かなければならないと考えているよ」

実際にBuzzFeed Japanは熊本地震やオバマ大統領の広島訪問などで現地に入り、オリジナルのニュース記事を何本も出していた。スコットさんはこれをとても評価していて、そういった積み重ねで信頼を勝ち取ることができると強調した。

ちなみに何度も繰り返していたのは「アメリカと日本は違う」という表現。ネコ動画にしても日本でヒットするのは間違いないが、それには「日本のマーケットに合わせることが大事」だという。

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当然と言えば当然だが、アメリカでのデータやノウハウを生かしただけではうまくいかないらしい。

それでも、編集方針は世界共通にしている。

「BuzzFeedは中立でありたいと思っている。右派・左派のように、どちらかに偏るようなストーリーの伝え方はしないようにしているんだ。ただ、女性問題とLGBTに関しては、メディアとしての意思を示すことにしているよ」

「ディズニーモデル」は目指さない

米メディアによると、今年11月、メディア・コングロマリットのNBCUがBuzzFeedに対して2億ドル(約220億円)の出資をしたという。

取材をした時も、すでにNBCUから2億ドルの出資を受けていて、こんな野望を語っていた。

「今はとにかくデジタルに賭けて投資する。ただ、もう少し伝統的なフォーマットにコンテンツを出していくケースも考えてもいるよ。Viceのように新しいテレビチャンネルを立ち上げる予定はないけど、NBCUからの調達を機に、テレビも含めていろんなプラットフォームにコンテンツを展開していくことを重視しているんだ」

そんなBuzzFeedの次の目標は何だろうか?

「次の目標はグローバルなニュース機関を作ること。そして動画にフォーカスしていくことだ。
その結果として、世界規模で様々なプラットフォームを使う『ニュース・エンターテイメント会社』になりたいと思っている。
ただ、ディズニーモデルは追求しない。ハリウッドから全世界に発信するのではなく、それぞれ各地から発信し、それがネットワークとして強く結びつくことを目指したいんだ」


もちろん、そのネットワークのひとつが日本版だ。BuzzFeed Japanに対する本国の期待度は大きいようだ。

行った場所:BuzzFeed本社(ニューヨーク)
答えてくれた人:Scott Lamb氏(VP International)