Carte Bleue(カルトブルー)ですべての支払い

こうして18年、パリに住んでいても・・やはり私はとっても日本人なんだなあと感じることの一つが”現金を使うこと”。
キャッシュレス時代の到来と言われ、日本政府は2025年のキャッシュレス決済率40%、さらにその後は80%という目標を掲げていますが、相変わらず日本はキャッシュレス後進国です。

ではフランスはというと、カナダ、スウェーデン、イギリスなどに次いでキャッシュレス先進国です。

18年前パリに住み始めたとき(当時の通貨はフランでした)、主人や周りの方たちからお財布にキャッシュを入れないようにと注意を受けました。日本に住んだ経験のある彼は、私が当たり前に現金を持ち歩き、できることなら現金で支払いをしたいと思っていることをよく知っていました。

「お財布に入れておくのは多くて2000円で大丈夫だよ」
トライしましたがものすごく不安感があり、結局今に至るまで、私のお財布には確実に2000円以上の現金が入っています。

キャッシュを持ち歩かない、ここはつまりカード社会なのです。Carte Bleue(カルト ブルー)と呼ばれるカードですべての支払いができます。銀行のキャッシュカードとデビットカードとクレジットカードが一緒になったようなものでしょうか。

Carte Bleue
Carte Bleue
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Carte Bleueは、基本的にどこででも使えます。駅の券売機、カフェ、路上パーキングチケット、ブティック・・・とにかくすべてカードでの支払いです。パン屋さんやカフェなど、使われる金額が少ないお店ではカードの使用最低金額が明記されていますが、逆に言えば、明記されていない場所では100円からでも使えるということです。

路上パーキングの券売機はカードしか使用できません。(地域によっては現金も使えますが、おつりは出ません)15分単位での支払いなので、その金額からカードが使えます。パリ市内でも区によって値段が変わるのですが、やはり100円くらいからと思っていただければ。子供のお稽古の送迎でパリ郊外に行くのですが、そちらではパーキングは0.15ユーロ(およそ20円)からカードでの支払いが可能でした。

現金が必要な場合は、街中のあちらこちらにあるキャッシュディスペンサーからお金を引き出せば良いだけ。ただし、その金額も必要な分だけなので、10ユーロ、20ユーロ、多くて50ユーロくらいでしょうか。とにかく、現金でのやりとりがありません。

現金での支払いは証明書が必要

銀行への入金は基本的には現金は入金できません。入金が必要な場合は、その現金がどこから来たものなのか明確にし、資料を提出します。例えば、私が生活費として現金を入金したい場合、日本の銀行のキャッシュディスペンサーから引き出した際の証明書を持参します。

フランスで沢山買い物したいわ!!と、現金をもってブティックに行ったとします。
現金での支払いは1000ユーロまでです。お店によっては観光客であればその上限額が上がることはありますが、フランスに住んでいる人たちは1000ユーロまでです。病院の支払いも何もかもすべて・・・。

*画像はイメージ
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さらには・・・小切手もフランス社会ではとても大切な存在です。カルト ブルーと同じくらいに使われています。私は小切手なんて、日本では見たことも使ったこともありませんでした。ドラマに出てくる大富豪が使うものというイメージでした(笑)

それが、口座を開けば、カードと同様に小切手も手元にやってきます。学校やお稽古の支払いも小切手で出来ます。マルシェ(市場)やスーパーマーケットでもみなさん、気軽に使っています。ただ、小切手を使用する際には身分証明書の提示が必要なのですが、そういったことも長年の習慣で誰も苦に思っていません。

さて、では2019年の今、フランスでは日本のPASMOやSUICAのようなカードがあるのかどうか調べてみたのですが・・・誰も持っていない・・・。
「なぜ、それが必要なの?」と逆に質問をされていまいました。
確かに、カードの使用がこれだけ浸透をしていて、今では少額なら、さっとかざすだけで、暗証番号を入力しなくても決済ができるようにもなってきているため、あえて、別のカードを持つ必要性がないのですよね。

タンス貯金なんてあり得ない!

とにかく現金のやり取りがない国です。

ちなみにお札は500、200、100、50、20、10、5ユーロ札があります。しかし、500ユーロと200ユーロ札はほとんど目にすることがないですし、多くの場所で受け取りを拒否されます。100ユーロ札は使えますが、毎回、必ず偽札かどうかのチェックをされます。時には50ユーロ札も。
 
日本はドイツと並んで現金を使う国です。ドイツの状況はわかりませんが、日本ではマネーロンダリングや偽札、盗難の心配が他国に比べて少ないことが大きく影響をしていますよね。
フランスではタンス貯金なんてぜ~~ったいにあり得ません。

私は個人的には現金を使いたい。それは支払いをしているという実感があり、使う際の意識が違うような気がするからです。
とはいえ、キャッシュレスの時代へと流れていく中では、その利便性を改めて認識しなければとも感じています。

【執筆:フリーアナウンサー・タレント 中村江里子】

キャッシュレス時代の“お金”
キャッシュレス時代の“お金”
中村江里子
中村江里子

1991年フジテレビへ入社、アナウンサーとして活躍。
1999年フジテレビを退職し、フリーアナウンサーとなる。
2001年にフランス人のシャルル・エドワード・バルト氏と結婚し、生活の拠点をパリに移す。
妻であり、3児の母でもある。
現在はパリと東京を行き来しながら、テレビや雑誌、講演会、イベントなどの仕事を続ける。著書も多数。