五輪・豊洲に続く次の一手?『混合介護』を手掛ける本当の狙い

「東京都がいち早くモデルを示す」…小池都知事が取り組むことを表明した『混合介護』とはナニか?そして都知事の狙いはどこにあるのか?2人の専門家が注目のキーワードに鋭いメスを入れる。

カテゴリ:国内

  • 福祉政策の専門家が『混合介護』に賛同しない意外なわけ
  • 小池都知事の真の狙いは「リベンジ」?
  • アンカー速水健朗の論点…今知るべき『混合介護』のポイント

東京都の小池百合子知事が、介護保険と保険外サービスを組み合わせた「混合介護」の推進に意欲を示した。特区制度を生かし、都内で規制緩和するよう国に提案するという。「混合介護」とは、介護保険で受けられるサービスと保険外の有料サービスを一緒に使うこと。これによって何が変わるのか?そして小池知事の狙いを、速水健朗が2人の専門家に聞いた。

「混合介護」はナゼ規制されていた?

淑徳大学総合福祉学部 結城康博教授


なぜかというと、まず1つ目は、お金のある・ないで格差が出てしまうかもしれないからです。2つ目は、認知症などで物事を判断できない人の場合、サービス提供者側に勧められるまま、余計なサービスを過剰に使ってしまう可能性があるからです。サービス提供者側の方が消費者より有利になってしまうかもしれないので、これまでは慎重だったんです。

東京都が「特区」になる意味

東京都は厚生年金加入者も多く、資産的に余裕がある方が多いですよね。なので自費サービスをミックスさせたても支払える高齢者が多い、ということで特区を東京に設けるのではないかと思います。

福祉の専門家から見た「混合介護」の評価は

「混合介護」のメリットは、たとえば優れたヘルパーさんであれば自費サービスからもお金が入るので給料アップにつながると言われています。逆にデメリットは、やはり先ほど挙げた2つの問題があります。「混合介護」によって介護業界が活性化するという考えもありますが、逆に悪徳業者が出る可能性もあるわけです。特に介護というのは、家の中で行われるため、何か問題が起きていても外からは見えにくいところがあります。小池さんは「混合介護」で民間開放路線に進んだという事になるのでしょうが、私はもっと慎重にしなければいけないと思います。例えば、東京都の豊富な財源を使って介護保険で受けられるサービスを豊かにした方がいいのではないでしょうか。

小池百合子知事の狙いは「国政へのリベンジ」

政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏

そもそも小池さんは何のために都知事になったのでしょうか。国会議員として一時は女性初の総理候補とも言われましたが、永田町の文化にやられ、派閥抗争にやられ、彼女は結局疎外されていったわけです。そこで小池知事は今、政治や永田町国政に対してリベンジしようとしているのだと思います。都民のための政治をするのはもちろんですが、小池さんの根底には東京から国政を巻き込んで国を変える狙いがあると思うんです。

「混合介護」は国の制度改正へと繋がる

介護は自治体の問題という人も多いんですが、大元の仕組みは国が作るわけですよね。今回の特区の申請は、要するに東京から国の制度に一石を投げ込むようなことになると思います。うまくいけば「混合介護」をやりたいという自治体が全国各地に現れて、やがて国が制度を考え直さなければいけなくなります。

小池知事の「戦略」を読む

小池知事は国会議員ではありませんから国の制度は変えられません。地方自治体でやれることにも限界がある。そんな状況に風穴を開ける道具として「特区」をうまく使っているんじゃないかと思います。これは東京というエリアで終わる話ではなく、もっと成果を検証しアピールして全国に広めていくのでしょう。そのあとの戦略もしっかり小池さんは考えているのではないでしょうか。もう小池知事の記者会見は全国のテレビで流れていますし、うまく利用してここで終わらせない気がします。

アンカー速水健朗が小池都知事と混合介護を斬る

言うまでもなく介護の世界で働く方の待遇は非常に悪い、それを抜本的に改革するために民間の力を導入するのは当然で、非常にいいことだと思いますね。
満足に介護サービスを受けられない人がたくさんいる今、制度に手を入れることは絶対必要です。うまく成功すればおそらく各地に伝播していき、小池知事はそういう事も狙っているんでしょう。これからも小池知事は、民間と経済政策を大切にしていくと思うんですけど、規制緩和しすぎて失敗しないよう目配りをしていくことが大事になってくると思います。


(執筆:compass)