カジノでギャンブル依存症は増えるのか? 専門家×古市憲寿バトル

カジノ肯定派・否定派として参考人質疑で意見を述べた2人の専門家が激論!

カテゴリ:ビジネス

  • ギャンブル依存症は「増える」vs「増えない」…それぞれの意見が
  • 依存症問題は単なる「反対派のツール」?
  • 日本のカジノは「高齢者の金融資産」を狙っている?

「カジノ含むIR法案」が15日の衆議院本会議で可決、成立した。これに先立つ参考人質疑では、経済効果を期待する賛成意見が出た一方、ギャンブル依存症増加を懸念する反対意見も上がった。果たして、カジノでギャンブル依存症は増えるのか?真っ向から食い違う両専門家の話を古市憲寿が聞く。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所所長  美原融さん

参考人質疑では、カジノ含むIR法案について「地域社会に大きな経済効果をもたらす」と肯定。その上で「依存症問題は慎重かつ包括的なアプローチが必要だ」と述べた。


依存症対策は与党も野党もみんな合意して、総合的にやりましょうと前向きなスタンスがとれたことは非常にいいことだと思います。ですけど、依存症対策は今ある問題ですから、もっと前からやらなきゃいけないことなんですよ。カジノを反対している人たちが、依存症問題をやり玉に挙げるのは、単なる『反対のツール』として使ってるだけです。もちろんカジノができたときもそれ相当の対策をとって、依存症問題を封じ込めるような対策がとられていてほしいです。

カジノが危険だとは言えない

当初できるカジノは2~3か所で、上限を設定すると言っていますから最高10か所です。

カジノと、日本の公営ギャンブルやパチンコでは、リスクが違います。近いところにあると、すぐ行きたいという衝動が起こってしまうわけですが、全国に数か所だと行くのが大変ですよね。

カジノは掛け金の上限規定があまりないんです。行ってしまったらお金をたくさん使ってしまうかもしれません。でもパチンコだったらすぐそこにありますから、毎日使ってしまうかもしれない。こういう様々な要素の相関関係でリスクが決まってくるわけです。

競馬や競艇は、今ならインターネットやスマホで、同時並行的に複数のレースを見ることができます。いろんなところに瞬時に賭けられるわけです。賭けるごとに時間がかかれば依存性は低いんですけど、すぐできると依存性が高くなるわけです。こういう問題を総合的に検討して、どんな要素が問題になるのか調査しようというのが、厚生労働省の考え方で、これは正しいと思います。

カジノでギャンブル依存症は『増えない』

カジノでどんな依存症対策をするのかというと「入れさせない、やらせない、絶対金を貸さない」。医師が依存症患者だと認定したら、顔写真や個人情報をカジノ事業者に渡し、顔認証システムで入れないようにします。

医師がギャンブル依存症だと認めた場合は、個人情報を渡してもいいのではないでしょうか。家族が「うちのお父さんを何とかしてください」と言って、第三者の医師が「確かに奥さんの言ってるとおりです、ご主人にギャンブルをやめさせましょう」となったら、個人情報が問題になるでしょうか。

カジノならそういう対策ができます。でもパチンコでは難しいかもしれませんね。だからカジノで依存症は増えないと思うんですよ。

カジノの儲けは誰の金?

日本のカジノはマーケットの実態を見た限り、おそらく7~8割の客が日本人になると思います。でも例えば1人の外国人が、日本人10人分の支出をするかもしれません。みなさんも、こんなところに行かないと思っても、一回ぐらい行くかもしれませんよね。そういう人たちが日本中にいたら、それだけで満杯になるんですよ。

ディズニーランドは入園料よりも中の食事とかグッズの販売の方が収益は高いですよね。IRも同じで、カジノをエンジンとしてカジノ以外のところで儲ける。例えば民間の常設劇場を作って定期的にライブエンターテイナーの公演を開くとか、日本の魅力あるコンテンツを表せる場を作るんです。そうすると、アジアの若い世代の客層が万単位で来日するようになるかもしれません。

弁護士  新里宏二さん

多重債務問題に取り組んでいる新里宏二弁護士。安倍政権がIR整備を成長戦略の一つと位置付けていることを踏まえ、参考人質疑では「多くの人が財産を失い、ギャンブル依存症に追い込まれる。人の不幸が前提の成長戦略に疑問を感じる」と批判。


私は法律家だから、今回のIR法案成立はもう少し議論されるべきだったと思っております。

ギャンブル依存症は大変深刻な問題です。今、日本でギャンブル依存症だと疑われる方は、536万人いると言われています。これは成人男女の4.8パーセントで、世界各国では多いところで2パーセントですから、大変大きな数字なんですね。これをどうするか議論をしないで、『依存症が増えるであろうカジノ』成立に邁進するというのは、本末転倒ではないかなと感じました。

カジノでギャンブル依存症が『増える』

特殊な人がギャンブル依存症になるというわけではありません。国会で発言させていただきましたけど、学校の先生でもギャンブル依存症になって借金を作ってしまう。本当に身近な人にも起こりうる問題なんです。

日本に徹底的に足りないのは、ギャンブルの危険性を国民に周知することです。タバコの広告規制のように、ギャンブルも依存症になるかもしれないことを訴える必要がありますし、すぐ遊びに行けないようにする環境整備も必要だと思います。

カジノの儲けは誰の金?

日本のカジノは、海外から2000万人の客が訪れると言いながら、実際は8割方の客は日本人になると思われます。そこで一番のターゲットになるのは、1600兆あると言われている日本人の金融資産なんです。「IR*ゲーミング学会」の谷岡一郎会長は、カジノによって高齢者のタンス預金が世に出で経済が回るという話をされています。しかし、高齢者をターゲットにして本当にいいんでしょうか。

私は、シンガポールのカジノや韓国の江原ランドにも行ったんですが、高齢者がすごく多いんです。日本も高齢者の依存症が拡大しないか、一番懸念されているのではないでしょうか。

カジノ入場規制は効果がない

シンガポールのカジノでよく紹介されているギャンブル依存症対策は、まず入場料を取ることと、本人・家族・政府が入場規制をかけられること。しかし、実は、これだけだと有効ではない状況なんです。そこで今何をやっているかというと、シンガポールでは月に6回以上通っている人に通知を出して、カウンセリングを受けさせたりしているんですね。

シンガポールのカジノは、海外客を主なターゲットにしていますから、自国民はあまり来なくてもいいよというスタンスなんですね。しかし日本の場合、自国民をターゲットにしているなら、規制によって儲からなくなってしまうんです。

アンカー古市憲寿のまとめ

ギャンブル依存症の対策はやらなければいけないんですが、日本は特に何もしてないと思います。法律を作るからには総合的な対策をしていくことが必要。だた、新里さんがおっしゃっていた、カジノに何回以上来た人には通知を出すことは本当に日本でできるのかな…。

美原さんがカジノに来る7~8割は日本人で2割ぐらいが外国人ということになるとおっしゃっていましたけど、海外のカジノと違って、どうしてもインバウンドではなく日本の需要を当てにすることになると、そういう面での限界はもしかしたらあるかもしれない。

あとは場所がどこになるか。美原さんが日本に2~3か所とおっしゃっていましたが、ほしい自治体は多いでしょう。お台場にできるって話も昔はありましたけどね。でも一つは沖縄なのかな?いろんなことの埋め合わせとかも含めて一つは沖縄。もう一つはお台場にできればいいですね。


(執筆:compass)