日本人は死ぬまで働くことになる。【『あしたのコンパス』新年初語りSP(3)】

あしたのコンパスのアンカー4人、速水健朗、佐々木俊尚、古市憲寿、三浦瑠麗が勢ぞろい。それぞれがあげたテーマについて新年早々語りまくる特別企画。第3回は古市憲寿さんのテーマ「1億総活躍は実現可能か?」について徹底的に語り尽くした。(司会:松村未央アナウンサー)

カテゴリ:国内

  • 長時間労働を促す「直前がいい」という悪しき文化
  • 「老後」という言葉は消え、日本人は死ぬまで働くことになる
  • 日本社会は、50歳を過ぎてからの転職もありだとする「意識の転換」が必要

松村「続いては古市さんです」

古市「僕の選んだテーマはこちらです」

古市「1億総活躍…ってことは、つまり2000万人ぐらいは休んでていいってことなんですかね?」

松村「ざっくり『1億』ですから」

古市「この言葉は、これだけ普及しているから、ある程度インパクトがあったのかなという気もします。2016年はこれに関連して、いろんなニュースがありましたね。ということで、こちらです」

松村「2016年重大ニュースです」

ネットで渦巻くプレミアムフライデーに対する怒り

古市「『保育園落ちた日本死ね!』とか『ニッポン1億総活躍プラン』が6月で、12月ぐらいには『どうしようもない制度』がやってきて…」

松村「プレミアムフライデーね~」

佐々木
「ネットでは怒りが渦巻いてますよ。そんな時間に仕事が終わるわけないと。中小企業は絶対無理だって」

古市「たった月1回、月末の金曜日に労働時間を15時までにしましょうというだけなんですけど、それでも終わらないというのは、どれだけ追われているんだという話ですよね」

「直前がいい」長時間労働を促す悪しき文化

佐々木「あしたのコンパスで電通の『自殺問題』を取り上げたときに、元博報堂の中川淳一郎さんに電話で話を聞いたんだけど、彼が言ってたのは、たとえば金曜日の朝10時に企業のクライアントでプレゼンがあるとすると、実際は前の前の日ぐらいには資料を作り終わってるんだけど、それがクライアントに伝わると『一生懸命やった感じ』がしないと。
だから、たとえば10時に新宿でプレゼンがあるとしたら、9時半に電通のある汐留を出ればいいので、いかにも『9時半ギリギリまで頑張って作った』っていう風に髪の毛もボサボサにしてプレゼンに行くと『いい奴』だって言われる、っていうね」

三浦
「コンサル業界でも、結構ある話。“直前がいい文化”っていうか、まだ印刷した資料が温かいことがいいっていうのが重要だっていう考え方があるんですよね」

松村「最後まで練ったよ、っていうことですね」

「老後」と言う言葉が消え、日本人は死ぬまで働くことになる

佐々木「昔より『老人』っていう言葉の指す年齢が、すごく上がってますよね」

古市「そうですよね」

佐々木
「昔は60歳で老人だったけど今60歳で老人と呼んだら…」

速水「怒りますよ」

古市「でも現状の仕組み上、65歳とかで辞めさせる仕組みがあるわけじゃないですか。それをどうするんだろうなと思っていて。いま現役世代10人で高齢者だいたい4人ぐらい支えてるってデータがあるじゃないですか。それって基本的に高齢者を65歳以上からって定義してるんですけど、あれを75歳とかにしてみたら、実は2060年ぐらいでもこの割合があまり変わらないって言われてて。だから年金とかいろんなお金を回して現役世代を75歳まで延ばしていくと思うんですね」

佐々木
「たぶん死ぬまで働くんじゃないの?」

古市「もしかしたら将来的に老後という言葉が消えるかもしれないですね。老後って言葉が消えて死ぬまで働くっていう。ただ一方で、じゃあ高齢者に何やらせようって難しいじゃないですか。先ほどから何回か日本の組織の話が出てきましたけど本当にバリバリ仕事できるトップはいいけれど、中間管理職的な、現場ももう分かんないけど、だからと言ってリーダーシップもない『ダメなおじさん』たちは定年後どうするんだろうっていう」

佐々木「それは年を取ったからダメになったんじゃなくて、もうすでに現状ダメだったんじゃないの?」

古市「まあだから、ダメな人を抱え込む仕組みが会社とか組織だったわけじゃないですか。さすがにそういう人を100歳まで抱え込めないでしょっていう時代に…どうするんでしょうね」

50歳を過ぎてから転職するには「意識の転換」が必要

佐々木「前、人材関係の仕事、いわゆる転職サポートをしている人と話すことがあって。専門性のある人は何とでもなるんですよ。で、一番困るのが40代、50代で大企業で勤めた人で。『自分の専門性はありますか』って聞くと、『いや、一通りやってきましたから、ジェネラリストです』って自分のことを言うんだけど、その転職サポートの人いわく、『その人はジェネラリストじゃなくて、その会社の専門家なんですよ』って。業務を知っているんじゃなくて、『この案件を通すなら“○○常務”に言った方がいい』とか社内に詳しいんです、って」

速水「意識の転換っていちばん難しいような気もするんだけど、社会が変えざるを得ないものってそういう意識で。現代は『50歳からは転職無理だよね』っていう意識がすごい強いんだけど、それこそ『ジェネラルな知識』なんてないですから…っていう人たちに向けて、『サービス業に転換することもそんなに恥ずかしくないよね』って意識が一般的になったら、日本は一気に変わると思いますね」