トヨタが開発「生活支援ロボット」。リハビリ期間を3分の2にする最新技術

日本の自動車メーカーが発表した「リハビリ支援ロボット」の実力を問う。

  • トヨタ自動車が「リハビリ支援ロボット」を開発。今秋から医療機関などに導入される。
  • 実証実験によると、リハビリ期間が1.5倍早くなった。
  • リハビリ支援ロボットは、介護する側だけでなく、介護をされる側にもメリットがある。

自動車メーカーが作る、生活支援ロボット

トヨタ自動車が、脳卒中などで足がマヒした患者の歩行練習を助ける「リハビリ支援ロボット」を開発。実用化への第一弾として今年の秋から医療機関向けにレンタルを始める。

女性がワイヤーのついた機械を体に装着し、モニターをみながら、自分の足元を確かめるように歩いている。

トヨタ自動車 開発担当者
患者は自分の好きなタイミングで立ち上がると、ロボットが立ち上がろうとする動作を検知し、自動でひざを伸ばしている状態になります。

開発担当者
いったん立ち上がるとひざは曲がらないようにモーターで保持されるので安心して立っていることができます。

開発担当者
転倒防止のハーネスを着用して、準備完了です。ここからロボットのアシストの力を借りて歩行を開始します。

リハビリ期間の短縮にも貢献

患者さんの足を覆う形で装着し、ウォーキングマシンのような装置を使って歩行練習を行う。足の底には、力を検出するセンサーがあり、歩行状態を判定して膝の状況を制御。モーターが膝の曲げ伸ばしや、足を前に送り出す動作を補助する。

また備え付けのモニターでは、歩行速度を調整したり、足のどこに力がかかっているかを確認でる。実証実験を行った大学によると、これまでのリハビリに比べて、患者が歩けるようになるまでの期間が、1.5倍ほど早くなったという

開発者の想いと狙い

藤田保健衛生大学 才藤栄一教授
一番の問題は、重い患者さんたちが最終的に歩けないで退院しないといけない事態があることです。

回復期のリハビリは3か月が標準的な入院期間で、重い患者さんは3か月たってもやっと歩けるかどうか。うまく歩けない人は、歩けないまま帰らないとならないのです。そういう意味で、どうしたら効率よくリハビリできるか、どうしたらきれいに歩けるか、2つの観点からこのロボットを開発しました。

2050年の日本を視野に入れた開発

トヨタは産業用ロボットの技術や、自動車の開発技術を応用して、介護や医療分野でのロボットの開発を進めていて、このロボットには、車作りで求められる、小さくて高精度なモーターの技術や、軽量化技術などが取り入れられているということだ。

磯部利行(トヨタ自動車常務)
少子高齢化が進んだ未来を予測してみますと、高齢者の人数は増え、逆に現役世代となる生産年齢人口は減少していきます。2050年には、1人の高齢者を支える現役世代の人数は、2000年と比較しておよそ、1/3になると言われています。介護などを手助けすることにより、2050年でも現役世代の負担が増えない未来を実現したいと思っています。

各企業の取り組み


今秋から実用化が予定されている、このリハビリ支援ロボット。当面は初期費用として100万円。それ以外に毎月のレンタル料35万円が発生するということです。

高齢化や人手不足を背景に、生活を支援するロボットの必要性は増し、参入のすそ野が広がっており、ホンダが歩行支援ロボットを手掛けるほか、パナソニックも介護ロボットの開発に取り組んでいます。また、サイバーダイン社は医療用ロボットスーツを手掛けるなどしています。

介護機会の減少と医療費負担の抑制

大山泰 解説委員
日本のロボット技術は最先端の1つですが、いま堤さんが仰ったように、少子高齢化で生産年齢人口が減っていくと、介護だったり医療的なリハビリとか、そういうところで人手がいっぱい要ります。

いま主に見たVTRは、複雑骨折などすごい大怪我した人、リハビリに3か月もかかるという場合に、役に立つと思います。ただ、それだけではなく、お年寄りの場合、階段で転んだ場合、リハビリしても歩けるようにならず、寝たきりになってしまったりする方もいらっしゃるじゃないですか。

もし、それで寝たきりになってしまうと、また介護の機会が増えてしまったりするので、そういうことを防ぐためにも、また医療費負担の抑制のためにも、様々なロボット技術が必要になるであろうということが、よくわかります。

また、各企業はそれに向けて、技術開発、製品開発に力を入れています。特に介護はハードな仕事で、介護を必要とする人が全員、体が小さい可愛いおばあちゃんではないわけです。お年寄りでも体の自由がきかない大柄な方もいるし、大人を持ち上げて体を洗ってあげたりする際には、すごい力が要るじゃないですか。そういうとき、ロボットが人間に負担や負荷をかけないで、なおかつ介護される方にも負担がかからないような優しいロボットが、どんどんできたらいいな、と思います。


藤田教授も仰っていましたが、最終的に歩けないままで退院しないといけない方がたくさんいるという現状があります。より1人でも多くの方に歩けるようになって退院してもらいたい、という思いがあって開発されたので、今後も期待したいですね。


(執筆: LUNCH TAG )