ビッグデータはVRの普及を予測! でも、トレンドはすでにARへ?

米SXSWリポート

カテゴリ:テクノロジー

  • ビッグデータによるとVR機器を持つ家庭は、今後5年で9倍に。
  • AP通信はVRコンテンツを積極展開。
  • SXSWではARのブースも目立つ。

今後5年間で現在の9倍に

2020年には440億ドル(約5兆円)に達するー。AP通信のグリフィス氏は、VR(仮想現実)の可能性について目を輝かせた。

 米テキサスで開催されているインタラクティブ・テクノロジーの世界最大級イベント「サウスバイ・サウス・ウエスト(SXSW)」では14日からVRを中心とした展示やセッションが始まった。

別の場所、現実ではありえない空間などに入る映像体験ができるVR。ニュースの記事や動画を世界に配信しているAP通信では、VRの隆盛を予測して、VRコンテンツの制作を始めている。

グリフィス氏

例えば、北京の大気汚染の状況を360度で見回すことができる映像や、イラクで壊された古代遺跡に破壊前の写真を重ね合わせたコンテンツなど。どちらも360度で見ることで臨場感を得られたり、理解を深めたりするができる。AP通信では、そうした新たな表現手法を研究しているという。

「VRを使えば、これまでなかった表現ができて非常に有効だと思っている」

今はまだVRを体験するためのヘッドマウントディスプレイがあまり普及していないため、スマホを傾けて360度映像を見る人の方が圧倒的に多いとグリフィス氏は明かす。

しかし、ビッグデータは「VR機器を持つ家庭の数が、今後5年間で現在の9倍に増える」と計算しているという。

また、現在でも、SNSなどに360度映像を展開した時にユーザーに見られる確率は高く、その他の動画の数倍にもなっていると言い、VRコンテンツを作る意味はあるということだった。

破壊される前の写真を合成(AP通信説明資料)

「ARは、ビッグツールになる」

ジャーナリズムに限らず、SXSWには、CGと音楽を組み合わせた新感覚の映像、ドキュメンタリー、ゲーム、ホラーなど、かなりの数のVRコンテンツやデバイスが集まっている。すべて体験するのはとても無理という数の展示だ。

ソニーのブースでは、VRを使った体験コーナーがどれも行列を作っていた。

VRがそうした大きな関心を集める一方で、今回、ホロレンズを使ったAR(拡張現実)があちらこちらで目に付いた。日本人による出展もあった。

ホロレンズ

ARは「ポケモンGO」の登場によって、かなり一般の人にも注目されるようになっている。カメラを通して現実世界を映すと、本来そこにはいないはずのポケモンたちがスマホ画面に登場するというものだ。これをメガネ型にすることで、まるで目の前に何かがあるかのように感じられる。

IBMブースで体験させていたのは、3D地図。ホロレンズを装着すると目の前にマンハッタンの立体的な地図が浮かび上がってくる。「まるでそこに存在しているかのよう」という言葉通り、ぐるりと歩いて回り込めば違う角度から見ることができるし、地図上のポイントを指で触ってみると、その場所の詳しいデータが登場する。

VRもそうだが、この感覚は体験してもらわないと説明するのがなかなか難しい。

レンズをかけている人は触ることが可能

日本語を話す人と英語を話す人がお互いホロレンズを付ければ、相手の話した言葉を瞬時に通訳してくれて目の前に文字で表れるというのは、もはや映画の世界のような体験だ。まだ音声認識や翻訳技術の精度が高くない印象だったが、アイデアは素晴らしく、様々な可能性を秘めていると感じられた。

臓器を目の前に立体的に映し出したり、鉄道を走らせたり。すでに様々なコンテンツが開発されていた。複数の人で同時に目の前で立体的に見ることができるというのは、何かの開発や訓練、情報共有など用途の幅は広い。

 AP通信のセッションでもARについて質問が出ていた。「ジャーナリズムの中でもARは使われていくと思いますか?」 

グリフィス氏は、具体的な内容には踏み込まなかったが、こう即答した。

「ARは、我々にとってビッグツールになる」

ジャーナリズムの根幹は変わらない。ただ、メディアは新たなトレンドに敏感になって研究していかないと、せっかくのジャーナリズムも伝わらないし、もっと良い伝え方があっても気付けない。

VR、ARの登場は、ラジオ・テレビ・パソコン・スマホが現れた時のような、新たな情報体験できる転換点と言えるかもしれない。