「マッチングアプリは見た目がすべて」はおかしい。女性起業家、NYで挑戦

NYを拠点にアジア系に特化したマッチングアプリを提供

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  • アメリカのサービスは「見た目がすべて」
  • 「お見合いおばさん」を自動化
  • こうすればマッチングサイトでモテる!?

世界の最新テックシーンを紹介する「ワールド・テック・リポート」。今回は初めてニューヨークとスカイプをつなぎ、アジア人向けマッチングサービス「EastMeetEast」を立ち上げた時岡真理子さんにお話を聞いた。

アジア人向けマッチングサービス「EastMeetEast」とは

時岡
「EastMeetEast」は私にとって2回目の起業となる会社で、以前はロンドンでQuipper(クイッパー)というモバイル教育の会社を共同創業していました。「EastMeetEast」を始めるきっかけとなったのは、そのQuipperを経営していたときに、こんなことを経験したからです。

当時すごく忙しかったんですけれど、そろそろプライベートは落ち着きたいなと婚活を始めました。海外では婚活に「マッチングサービス」を使うのは当たり前なので、私も大手サイトを使ってみました。出来れば、いずれ結婚することになる人は「親と話せる日本人がいい」と思っていたんですけれど、海外のサイトは使いにくいところがあるんですね。

日本人は「アジアン」という大きなくくりに入れられてしまうんです。なのでインド人の方とか、スリランカ人の方とか、自分が結婚相手として求めているのとは全然違う方がイチオシとかオススメされて非常に使いづらいんです。そこで、困っている他のアジア人の女性も助けられるようなサービスを作りたいと思って、「EastMeetEast」を始めたんです。

Quipperは2015年にリクルートが買収

「EastMeetEast」は非常に細かいethnicity(民族)が選択できる

佐々木俊尚
このサービスは、アジア人であることが参加条件なんですか?

時岡
特にアメリカでは人種の問題は非常にセンシティブ(慎重を要する)なので、基本的には誰でも参加できますが、主にアジア人が多いです。また、アジア人でなくても、アジアの文化に興味ある方はたくさんいらっしゃいます。例えばK-POP、韓国のポップミュージックが好きですとか、アニメが好きですとか、そういう文化的な共通項目がある方も入会しています。

アメリカのマッチングサイトは「見た目がすべて」

佐々木
アメリカにおける、アジア人同士のコミュニティでの恋愛ってどういう感じなんでしょう。例えば、韓国人は韓国人同士で付き合いたがるものかとか、東アジアと東南アジアは少し違うとか、そういうことはあるんですか?

時岡
皆さん 入会する前は、やっぱり自分と同じ人種がいいなという潜在意識があるんですけど、入ってみると「話が合う」とか「見た目が好み」とか、違う人種間で付き合っている方もたくさんいます。実際にナニ人とナニ人がマッチングしているかというのは、統計的に数値が出ています。

佐々木
例えば、アフリカ系のマッチングサイトとか、アラブ系のマッチングサイトとか、他にはないんですか。

時岡
今、世界のマッチングサービス市場は63億ドル(約7030億円)、1年に20%成長していると言われ、おっしゃったような様々な特化型サイトの中から大成功しているところがたくさん出ています。アメリカでは、ユダヤ系に特化したマッチングサイトの「JDate.com」はみんな知っていますし、インド人向けの「shaadi.com」というサイトも成功しています。それなのに、なんでアジア人向けのサービスがないんだろうと思って「EastMeetEast」を始めたんです。

佐々木
このサービスを使う事で、今までにはない「出会い」ができるようになったりするんですか?

時岡
欧米のサービスですと大体ほとんどのものは、「写真の見た目がすべて」なんですね。サービスを始める前に調査したんですけど、白人の方は やはりスポーツジムに通う文化が強いので、ちゃんと鍛えているとか見た目を重要視するサービスになっています。

佐々木&鈴木唯アナウンサー
へぇー!!

時岡
当社は、文化的背景を共有するためのサービスなので、例えば「アメリカで生まれたのか?」「何歳の時に移民してきたのか?」などの事柄も入力してもらうようになっています。他には「お見合いおばさん」を自動化したような機能もあります。

佐々木

「お見合いおばさん」の自動化ってどういうことなんです?

「お見合いおばさん」を自動化してアクティブ率を上げる

時岡
やはりこういうマッチングサービスって、みんな見た目で選びがちなんですね。でも、一番かわいい女の子に全員が申し込んでも当然マッチングできないので、例えばこういうメールを送るんです。

「佐々木さんには、こちらの真理子さんがぴったりですよ。なぜなら佐々木さんと同じ○○県出身で、趣味が××で、△△というイイところがあります

こういう文章を自動的に作って送ります。このマッチングメールを出した場合は、4割ぐらいアクティブ率が上がるので非常にうまくいっています。

こうすればマッチングサイトで「モテる」!?

佐々木
日本の婚活サイトを取材した時に、プロフィールに書く情報が多ければ多いほど良いと聞きました。プロフィールが何十項目あっても、それがちゃんと埋まっていると、この人はここまで熱心に相手を見つけようとしているんだって熱意が伝わるからいいそうです。このようなプロフィールでの工夫はありますか?

時岡
おっしゃる通り、プロフィールに情報が入っている人ほど返事をもらえることが多いんですね。情報を入れてない人が「こんにちは~」と話しかけるのと、入れている人が話しかけるのとでは、ある人の方が圧倒的に返信率が高いことは統計的にも出ています。プロフィールをしっかり入力した人の方が、具体的なイメージが湧きやすいんでしょうね。

ただ、最初の登録の時にあまりに多くの入力を求めると、みなさん嫌になってしまうんです。そこで、サイトに慣れてきた段階で徐々にプロフィールを書き足すように、「もうちょっとプロフィールを書きましょう」というポップアップを出したり、「あなたのプロフィールは30%しか埋まっていません。モテ度はまあまあです」という進捗率を表示したりという工夫をしています。

佐々木
こういうサイトをやっていると、いろいろ分かってくることがあると思うんですけれど、例えば、どういう人が成功しやすいとか、うまくいく秘訣ってあるんですかね。

時岡
まず第一に『メッセージを出しましょう』。やはり見ているだけの「待ち子さん」が多いんですね。でも1週間に5人は出しましょう。

そしてメッセージは、「こんにちは」とか「初めまして」とか書くよりも、相手のプロフィールをちゃんと読んで『自分との共通事項を書きましょう』。「僕もクラシック好きです」という感じです。

あとは、例え共通事項が見つからなかったとしてもプロフィールをよく読んで、すごいと思ったところを『褒めましょう』。「お料理が上手ってすごいですね」とか、こういう事を書くと返信率がぐっと上がります。

佐々木
なーるーほーどー。鈴木さんも参考になるんじゃない?

鈴木
今そう思ってうなずいていました。

日本の恋愛も10年後はマッチングサイトを使う

時岡
CNNが2013年に記事にした、インターネットユーザーの世論調査では、59%の人が「マッチングサービスは良い出会いを提供すると思う」としています。この答えは「世論」なので、テクノロジーに慣れた人だけではなく、世の中の一般の人がそう思うような世界になっているということです。

佐々木
日本だと未だに「インターネットで出会ったなんて…」みたいな偏見が残っています。あと「出会い系」イコール「不純なモノ」みたいなイメージになっちゃってるけど、もはやアメリカではそんな事はないんですね。

時岡
どんどんマッチングサービスが出てきてるので、日本もあと10年したらアメリカの感覚に追いついてくると思います。

佐々木
ちなみに有料なんでしょうか?

時岡
男性会員は検索は無料で、お話を始めるタイミングで有料となります。月々の金額は3500円です。

佐々木
なるほど。女性はタダ?

時岡
そうですね。女性の方がやはり常に需要が多いので。

全員
(笑)

時岡
結婚相手を見つけるためのお金と思えば全然高くないと思います。それに、より効率化できるというメリットもあるでしょう。例えば、合コンに行っても相手はたった3~4人ぐらいだったりして、その少ない人の中に自分の好みの人がいて、さらにその相手が自分を好きになってくれる確率はすごく低いし、費やす時間も長い。それがマッチングアプリなら、朝の通勤途中に50人100人ぐらいをパーッと見て、あっ、この人のプロフィールは合うなって感じた人にパパッと声をかけられるので、確率を比べるとすごく高いんです。

リアルで会うときは「ねえ彼女、コーヒー飲まない?」

佐々木
アプリで出合った人たちが実際に会うときは、どういう場所を使うんですか?

時岡
もしかしたらケミストリー(相性)が合わないかもしれないので、「コーヒーを飲みましょう」とか、お酒が好きな人なら「一杯だけ」とか、みなさん気軽な感じで会う方が多いです。

鈴木
ちなみに時岡さんは、いい方は見つかりましたか?

時岡
私の場合は大手サイトを使って、最終的には日本人の方とお付き合い出来たんですけれども…まあ残念ながら…。でも、実際にお付き合いできたので、この恋人を見つけるテクノロジーは絶対「いける」と自信が出ました。

インフルエンサーとの協力でブレイクスルーを起こす

時岡
会員数は公開していないんですけれど、売り上げは過去1年半で1300%伸びています。この秋からはアジアに進出する予定で、マッチングサービスが普及率が低いところで、いち早くエントリーしようと考えてます。ファイナンスについては、日本の投資家の方からたくさんサポートしていただいていますが、日本進出の予定はありません。

鈴木
アメリカではマッチングサービスが普通になっているというお話がありましたけど、「EastMeetEast」はどうやって会員数を拡大してきたんですか?

時岡
最初は大変だったんです。こういうサービスって、ちゃんとユーザーがあって成り立つので、最初は本当に道を歩いて「入ってください」って一件一件お願いして回ってたんです。ブレイクスルーのきっかけは、アジア系アメリカ人のインフルエンサーと一緒に動画マーケティングを始めたことです。

時岡
この2人はファンブラザーズ(Fung bro’s)といって、20~30代の中国系アメリカ人の子はみんな知ってる有名人なんです。こういうオンラインの著名人と組んで、この動画では「マッチングアプリをどう思う?」とか「今までどういう人と付き合った?」とか街頭インタビューしています。

時岡
今では私たち自身で動画をプロデュースできるようになって、作った全ての動画の再生回数が1100万回を超えるようになりました。

日本人はわりと自分と違う人種の人と結婚している

時岡
(アメリカの)2010年の国勢調査によると、結婚したアジア人の72%はアジア人同士のカップルだそうです。人種的調査も出ていて、実は日本人はわりと自分の人種以外の人と結婚する率が高いんですね。例えば中国人は、やはり中国人同士で結婚する率がすごく高いです。

佐々木
海外に出ていった日本人は、どっちかというと日本の文化を守り続けるというより、現地の文化に同化していくことが多いですよね。いつも思うんですけど、日本人って海外行くと、やたらその国のローカルフードを食べますよね。でも中国人って海外に行っても中国料理しか食べないという傾向がある。そういうところにカップルの相手の見つけ方も、ちょっと現れてるのかもしれないですね。


(関連リンク)
EastMeetEast