海外で連日アンコール。扇風機を奏でる日本人アーティストとは?

アーティスト和田永が語る「祭り」のアップデート法

カテゴリ:話題

  • 廃棄された古家電を楽器として蘇生
  • オーストリアのフェスで連日アンコール
  • 東京タワーの下で「電磁盆踊り」を開催

9月18日に渋谷で開催されたホウドウキョクのトークイベント。
「人はなぜ祭りを求めるのか?」をテーマに、古家電を楽器として蘇生するアーティスト和田永さんが「祭り」をアップデートした実体験を語る。

【司会】
ドミニク・チェン(情報学研究家)
市原えつこ(アーティスト)

【ゲスト】
和田永(アーテイスト)
アフロマンス(パーティークリエイター/DJ)
岸野雄一(スタディスト)

古家電を楽器として蘇生

和田永:
2015年から「エレクトロニコス・ファンタスティコス」というプロジェクトを立ち上げて、やってきています。

これはどういうものかというと、「あらゆる人を巻き込みながら役割を終えた電化製品を電子楽器として蘇生させ、合奏する祭典を目指すプロジェクト」という風に言っています。

2012年の地デジ化以降、(ブラウン管テレビは)大量に破棄される運命にありますし。まぁ墓場になっているわけですね。

和田:
僕はこういった機械を集めてきたり、いろんな方から寄付をいただいたりしながら、機械の中を開けて、いじったり遊んだりしてきているわけです。

そうすると、日常を便利にするという役割においては撤退した存在なんですけど、やっぱりそこに、電気、電磁、電子、電波の科学的な面白さだったり、先人たちの知恵と工夫と技術がこの中にめちゃくちゃ詰まっている事に気づくんです。

近所の人が次々とブラウン管テレビを寄付

和田:
昨年、茨城のアート芸術祭「茨城県北芸術祭」で日がな一日、僕がブラウン管を叩き続けて、テレビを集めるっていうことをやったんですね。

和田:
通りがかりのおばあちゃんや子供が、ブラウン管の電磁波で踊り狂うっていう状況が生まれ始めた。そして心が感電した人々が、僕にブラウン管を寄付し始めるという…。

和田:
近所の人たちに口コミで「あそこで回収しているらしいよ」みたいな。

それを集めていって、結構な数のブラウン管が集まって、すごかったですよ。それを全部楽器化して、アンサンブルをやったんです。

これが日立の中央広場の地下空間で、実際にコンサートをやったんですけど。「楽器の経験者」「テレビを一緒に演奏しよう」みたいなかたちで、日立のバンドメンバーを募集して。それで集まった音楽大学関係の方とかが来てくださって、22台のブラウン管で演奏する。

演奏者が増えて、テレビの台数も増えて、これは大型のテレビ。これも寄付されたんですけど、これはもう大太鼓にしか見えないっていうことで、バチにコイルを巻きつけて、静電気を拾って「ドン」みたいなことをやりましたね。

エンジニアを巻き込んで作られた扇風機の楽器

和田:
扇風機の楽器もありまして、このプロジェクトの特色である、あらゆる人も巻き込みながらっていう中で生まれた楽器なんです。

瀬戸内の方から寄付された扇風機

和田:
この扇風機をどのように演奏するか? 楽器作りからバンドとしてやったら面白いんじゃないかということで始めてみました。そこにエンジニアの方も集まってきて、光を電気の波に変えるピックアップだったりっていうのを作っていく。

ここで登場したのが、会社員でエンジニアをやっている方なんですけど。
この方に最初の原理みたいなものを共有して、メンバー内でのオープンソースをやってみたら、僕とは無関係に、しかも僕に内緒で(笑)アップデートを始めて、Excelを駆使して、楽器を改良し始めたんです。

和田:
どういった原理かというと、穴の開いた円盤が回っているんですね。そこに光を当てると、光が点滅する。その点滅をそのまま電気の波に変えて。そうすると、スピーカーが震えるんです。

たとえば、「穴の数×扇風機の回転数」で振動数が出てくるんで、穴を計算していくと音階ができていったり。昔の映写機とかはそういった原理で録音しているんですけど、それを扇風機に転用して、楽器を作っているんですね。

「アルスエレクトロニカ」で連日アンコール

和田:
先日、「アルスエレクトロニカ」というオーストリアで毎年開催されているメディアアーティストのフェスティバルで演奏してきました。

ドミニク・チェン:
世界中からいろんな人が集まっているフェスティバルなんですけど、毎回、アンコールが…

和田:
扇風機でアンコール。

ドミニク:
扇風機でアンコールっていう(笑)。

和田:
どうしよう、みたいな。

ドミニク:
すごい歓声で世界中の人から愛されているパフォーマンスでしたね。

「古家電電磁盆踊り」は11月に開催

和田:
これらの(古い電化製品の)楽器を使って、次にどういったことをやりたいかっていうことで出てきたのが「古家電電磁盆踊り」という妄想です。
これがそのイメージ図というか、描いた絵なんですけど。

和田:
今まで作ってきた楽器だけでなく、あらゆる電化製品は電子楽器になり得ることが分かったので。

彼ら(電化製品)を集め、櫓の上でブラウン管大太鼓を打ち鳴らし、換気扇から爆音の周波数が煙とともに撒き散らされ、電磁波のサウンドが包み込み、周りでは扇風機が、ブラウン管の演奏が始まる。

そしてそこに歌がのって、そして人々がその周りを踊るという妄想が広がっているわけです。

市原えつこ:
実現しそうですか?

和田:
クラウドファンディングをやっていて、駄目かなぁって思ったら、最後の3日間ぐらいでグワーッて伸びて、達成することができました。

これをいつやるかというと、2017年11月の3~5日と、3日間にわたって、僕がやっているプロジェクト「エレクトロニコス・ファンタスティコス」の本祭というかたちでイベントを企画していて、11月5日にはコンサートと盆踊りを開催します。

和田:
場所はですね、東京タワー…

和田:
…の横のスタジオです(笑)。
東京タワーはやはり、僕の中では役割を終えた電化製品であり、その象徴なんですよ。