“世界とつながらないFacebook” 「ご近所SNS」は日本で広まる?

「渋谷のラジオ」×「ホウドウキョク」コラボ企画

  • ご近所SNSが普及しなかった理由は二つ
  • 1点目はマネタイズを先行したこと
  • 2点目はスマートフォンが普及していなかったこと

ホウドウキョクと渋谷のラジオのコラボ番組(2017.06.27放送)。今回は実名制のご近所SNS「マチマチ」を運営する六人部(むとべ)さんに、サービスを立ち上げた理由と、今後の展望について伺った。

ご近所限定SNS「マチマチ」とは

―まず「マチマチ」とはどんなサービスなのでしょう?

六人部
一言でいうと、Facebookのご近所限定版。ご近所さん同士でコミュニケーションがとれるサービスとなっています。ユーザーはアカウント作成時に、自分が住んでいる町名も登録します。そこを起点として半径1〜5kmの範囲を選択して、当該範囲内の情報を取得することができるようになっています。

―実際には、どのような使われ方をするのでしょうか?

六人部
いまユーザーの中で1番多いのは子育て世代です。特にお母さん。私も子どもが生まれて感じたことですが、例えば「保育園はどこがいいのか」とか、習い事、小学校など、様々な情報を近所で探さなくてはならない。

でも、Googleだったり他のサービスで地域の情報を探すことが難しいので、そのような使われ方が多いですね。

―子育てで困った時に、ここに書き込むと誰かが助けてくれるということですね?

六人部
例えば、1〜2歳くらいの子どもたちのお母さんが「どこの保育園がいいですか」って言ったら、すでに子どもを保育園に通わせている先輩のお母さんが「ここがいいですよ」とかですね。

他にも、小学校や学童保育のことなど、先に経験している方が教えてくれる事例は特に多いです。

なぜ「ご近所」だったのか

―どのような経緯で「マチマチ」を立ち上げたのでしょうか?

六人部
私自身が子どもを持ったことで、先ほどお話したような地域の情報を探す必要が出てきて、その時に、近所に知り合いがいないと結構不便なことが多いと感じました。
さらに、社会を見渡してみると数年前に流行った言葉で「無縁社会」って言葉がありますけど、近所に「縁」がなくなってる人が社会に増えているのではないかと。

私も神奈川県の横浜から東京に移り住んでいるのですが、家族が近くにいませんし、昔から住んでないので「地縁」、地域に知り合いがいません。そこで、社会にとって大きな課題を解決したい、ご近所の人々とのつながりを通じて、地域の課題を解決したいと思ったのがきっかけです。

ご近所SNSの海外事情

―ご近所SNSの先行事例として、海外でもNextdoorなどがありますが、世界的にはどのような状況になっているのでしょうか?

六人部
Nextdoorが一番有名で上手く行ってるんですけど、実はアメリカ、ヨーロッパ、中国、色んな地域にも同じようなサービスが出てきています。その理由を紐解いてみると「都市化」がやっぱり1番大きな要因かなと。どこの国でも、都市に集まって住むようになると、先ほどと同じような経緯で縁が無い人たちが増えているんです。

中でも一番上手くいっているNextdoorというアメリカ発のサービスは、2010年に設立し、いま時価総額で1千億円を超えていますし、利用者数は月間で1億人くらいです。

使われ方は、我々と非常に近いところもあるんですけど、アメリカだとベビーシッターとか、ペットのシッターとかリペアマンに関する質問が多いようです。アメリカは持ち家が多いので修理やリフォームを頼むのはどこがいいのか相談するんです。

あとは防犯や防災です。警察署や消防署がNextdoorを使って注意喚起を促すとか、住民同士で「うちの前にちょっと変な人がいたんで皆さん気をつけましょう」とか、そういった使われ方をしています。

海外のサービスを見ると「調味料を貸し合う関係がいいよね」とか、そういったメッセージが書いてあったりもしますね。

大手企業が失敗を重ねた「ご近所SNS」。その理由とは?

―「マチマチ」のようなご近所SNSは、これまでも大手インターネット企業もチャレンジしてきた領域です。にもかかわらず、FacebookやTwitterのように浸透しなかったのは、何が問題だったのでしょうか?

六人部
たしかに、インターネットが出てきてから日本でも「ご近所さんを探せ」「まちBBS」、その他にも様々なインターネット大手企業が、地域向け掲示板を作ったり、情報を配信していくサービスをやってきました。しかし、そのほとんどがうまくいってないんですよね。

私なりに取材や分析をしてみると、理由は大きく2つ挙げられます。

1つは最初からマネタイズをしようとした。ユーザーがいない時から広告を入れたりしていたので、なかなかうまくいかなかった。

あとは上場しているような大企業だと、上の方から詰められるんですよね。「これはいつ収益化するんだ!」とか。ただ、地域に特化したサービスなので、InstagramやSnapchatのように、一晩でドンとユーザーは増えないので、そこが合致しなかったというのが1つ。

もう1つがスマートフォンの普及。ローカルな地域の情報って「家に帰ってパソコンを立ち上げて投稿するか?」というと、そうではないと思っています。それよりは歩いてて、ふと気づいたことをスマートフォンで投稿するのが行動としてあっていると。

つまり、今ほどスマートフォンが普及していなかったこと。この2つが主な要因だと思っています。

「マチマチ」は大手企業と同じ轍を踏まないのか?


六人部
我々の場合はスタートアップで、投資家にも「このビジネスは時間かかるよ」と言っていて、そういったやり方に納得してもらっています。だから「すぐマネタイズしろ!」みたいなプレッシャーを受けることはありません。

それに加えて、FacebookやInstagramなどのSNSが一般の方にも普及してきているのは大きいです。ITに詳しくなくてもInstagramは使うという人はたくさんいます。そういった土壌が出来上がっているという点が、我々の「マチマチ」がうまくいく理由になると考えています。

先ほど出てきたNextdoorは3年後には売上1,000億円を超えてくるという話もあり、市場自体は確実にあります。

サービス規模の拡大に関して、我々はグロース(ユーザーの獲得)の前段階が重要だなと思っていて、スタートアップ業界の方には釈迦に説法ですけど、いわゆるプロダクト・マーケット・フィット、自分たちのサービスを好きになってくれるユーザーを探す段階を大切にしています。サービスを開始して1年くらいですが、使い続けてもらえるサービスを作るのが一番難しくて、そこにリソースをかけ続けています。逆にそこさえクリアすれば、グロースは勝手に始まるんじゃないかなっていう気がしてますね。





マチマチ
https://machimachi.com/

渋谷のラジオ×ホウドウキョク SPコラボ番組アーカイブ(音声)
https://note.mu/shiburadi/n/n883278d588b6

(執筆: editors room)