運動が続かない… その理由はダメな目標設定にあり

特集「人生後半、作り直したいこのカラダ」第5回(最終回)

カテゴリ:話題

  • 運動は期間や目標を決めて始めるべき
  • 最初の目標設定はできるだけ低くする
  • 目標が自分の幸せにつながっていることが重要

秋になって運動を始めた人の中には、すでに挫折してしまった人もいるのでは? しかも毎年、春と秋はそのパターンだったりして…。でも、それには原因があって、その対策だってちゃんと存在します。もう3日坊主で終わりたくない! そんな人たちに向けて、メンタルトレーナーの森川陽太郎さんが運動を長続きさせる秘訣を教えてくれました。

目標を決めなければ、3日坊主で終わる可能性大

3日坊主で終わる人には、いくつか原因があると森川さんは言います。ありがちなのが、終わりを決めずに始めること。

「誰でも運動を始める日はやる気があり、それがずっと持続すると思って体を動かし始めますが、通常であれば、モチベーションは徐々に落ちてきます。だからこそ“モチベーションを育てる”という感覚が大切になります。そのためには終わりを決めることが重要です。終わりを決めずに始めてしまうと、ずっと続けなくてはいけなくなり、いつの間にかやりたいものではなく、やらなくてはいけないものに変わってしまいます。終わりを決めて取り組むことがモチベーションを育てていくきっかけになるんです。例えば、ダイエットだったら3カ月で6キロ痩せると決めて取り組むことで、どんなペースで何をすれば良いのかをイメージしやすくなります」(森川陽太郎さん:以下同)

目標を決める場合は負荷も大切で、最初に負荷の大きい目標設定をすると挫折につながりやすい。

「特に学生時代に部活などで本格的に運動していた人は、以前にできていたことができなかったり、想像以上に疲れたりすると、その状態を昔の自分と比べてしまいがち。こうした“できない感”を味わうと、やる気よりもツラい感情が勝ってしまう。だからこそ、最初は“できた感”を味わうことが重要になってきます」

そのため、最初は低い目標から始めて、それに慣れてきたら徐々に目標をあげていくのが、運動習慣を長続きさせるポイントです。

では、そもそも運動を始めること自体、ハードルが高いと思う人はどうすればいいのでしょうか?

「だったら最初は、運動靴を履ければOKとする。履いたら目標達成です。それができたら、翌日は運動靴を履いて、玄関のドアを開ければOK。さらに次の日は外に出ればOKという風に、少しずつ運動に近づけていくんです」

メディアで紹介されているトレーニング法や運動を参考にしつつ、あくまでも自分基準でできることから始めることが3日坊主で終わらせない秘訣なのです。

目標が自分の幸せにつながっているか
定期的に紙に書き出してみる


目標の内容も重要で、それがいかに自分の幸せとつながっているかどうかを考えるべきだと森川さんは話します。

「運動を行うことでどんな幸せが得られるのか? 例えば、“毎日3キロ走りたい”という目標は具体的ですが、その先にある幸せがイメージできていません。“5キロやせてモテたい!”に設定すれば、その先の幸せが明確になって、モチベーションも持続できるんです」

そして、それらを定期的に確認することも効果が高く、今やっていることが自分の幸せにつながっている感覚を紙に書き出してみるのもひとつの手だそうです。

また、毎日続いていた運動をある日なにかのきっかけで止めたら、それを機に運動習慣が途切れてしまった経験はないだろうか?

「雨が降ってランニングができず、その日を境にやる気が減退した場合。その原因のひとつは、ランニングをしなきゃいけないと思っていたのに雨で面倒になってしまい、悩んだ末にやらなかった時の“罪悪感”にあります。罪悪感でストレスを感じ、モチベーションが落ちてしまっては本末転倒です。だったら、雨が降ったらランニングは中止にするとあらかじめ決めておく。それだけで罪悪感が払拭され、やる気を維持できるんです」

ひとりではなく、誰かを巻き込んでしまうことも続ける秘訣です。

「みんなでトレーニングしたり、一緒に5キロマラソンに出場するといった共通の目標を設定するといいですね」

できない自分が悪いんじゃなくて、目標にする行動設定が悪い。世間一般の運動レベルに合わせるんじゃなくて、自分に合わせる。

「そもそも運動すること自体を目的にするとツラくて長続きしません。運動はあくまでも自分が幸せになるためのツールだととらえれば、長く続けることができるはずですよ」


■森川陽太郎
もりかわ ようたろう/元サッカー選手。スペインやイタリアでプレーした後、心理学やメンタルトレーニングを学ぶ。27歳で株式会社リコレクトを設立。 「OKラインメンタルトレーニング」という独自のトレーニング方法を展開。『緊張しても乗り切る!「あせらない自分」のつくり方』(大和書房)や『「がんばっているのに、うまくいかない」と凹んだときに読む本』(朝日新聞出版) など著書多数。日経ウーマンオンラインやライフハッカーなどで連載も持ち、テレビ、新聞、雑誌、ラジオなど様々なメディアでも取り上げられている。
https://www.recollect.co.jp/


文=石川博也
撮影=和田真典