目上の人に「賀正」は失礼!? いまさら聞けない年賀状マナー

特集「出す?出さない?年賀状の分かれ道」第4回

カテゴリ:ビジネス

  • 年賀状は元旦に到着するように出すのが基本
  • 相手によって賀詞を変える必要がある
  • マナーとはつまり、相手への気配り

え、これもダメなの!?
年賀状のマナー違反あるある

「『元旦』は1月1日の朝を意味する言葉。ですから、年賀状は元旦に到着するように計画的に出すのが基本です」

そう話すのは、マナー講師の松原奈緒美氏。もともと年賀状は、何らかの理由で新年の挨拶が直接できない人に書面で挨拶をするためのもの。もし発送が遅れて元旦に届かないのであれば、年賀状に「元旦」と書くのは避けたほうがいいそうだ。

そのほかにもよくやってしまうミスは多々ある。たとえば「新年あけましておめでとうございます」というフレーズ。「あけまして」という言葉には、年が明けてという意味があるので、重複表現になってしまうのだ。「新年」か「あけまして」のどちらかを使うのが正解。

また、「A HAPPY NEW YEAR」も間違い。「HAPPY BIRTHDAY」や「GOOD MORNING」に「A」が付かないのと同じで、挨拶で使う場合に不定冠詞は使わない。

こうした年賀状の間違い、案外誰もがやりがちだ。

年賀状の基本フォーマットは賀詞・添え書き・年号・干支

年賀状を書くうえで、必ず盛り込みたいのは「賀詞」。新しい年を祝う決まり文句で、「寿」や「賀正」、「謹賀新年」などの文言がこれに当たる。また年号や干支も欠かせない。

これらに付け加える言葉のことを「添え書き」という。昨年お世話になったことに対するお礼や、変わらぬお付き合い・指導をお願いする言葉などが、それだ。ただ、ここでも注意したいポイントがある。

「添え書きのなかに賀詞にあたる言葉を入れてしまう方がいますが、賀詞が重なるのでよくありません。また、年賀状は新年を祝うものですから、マイナスイメージのある内容は書かないようにしてください。忌み言葉もご法度です」(松原氏)

忌み言葉とは、「死」「終」など文字それ自体にマイナスイメージのあるものを指す。また「去」「戻」「帰」などもよくないとされているので、入れないように気をつけたい。よく「去年」と書いてしまう人がいるが、これは大きな間違いだ。

そのほかに注意したい点として、句読点をつけないこともあげられる。古くから「喜ばしいことは区切りなく続くほうがいい」とされており、年賀状に限らず慶事の挨拶状は句読点をつけないのが通例になっているためだ。

相手によって内容を変えるのも年賀状のマナーのひとつ

年賀状に盛り込む内容、盛り込んではいけない内容に関しては前述のとおりだが、送る相手によって賀詞や書き添えの内容を変える必要があると松原氏は説明する。

「賀詞のなかでも英語のものや、漢字一文字や二文字だけのものはカジュアルなので、目上の方に送ると失礼にあたります。『つつしんで』を意味する『謹賀』などの言葉を添えて『謹賀新年』や『謹賀新春』とすると、敬意を表現できるのでふさわしいですね」

では、書き添えの部分ではどのような点に気をつけるといいのだろうか?

「相手を想像してぜひメッセージを添えてください。文章のなかに相手の名前を入れて書くのも心理効果が高くていいです。久しく会ってない人に対しては、ご無沙汰していることへの謝罪と相手の安否を気遣う言葉は必ず入れるようにしたいですね。それに加えて、ご自身の近況報告や、ぜひお会いしたいという一言も相手に喜ばれると思います。上司など、つねにお世話になっている人に向けて書く際には、日頃からの感謝や、今年の抱負など前向きな文章がいいでしょう。今年の指導をお願いする言葉で結びたいですね」

簡単に年賀状がつくれるようになったことで、ついつい同じフォーマットで送ってしまいがちだが、送る相手によって内容を変える気配りが大切ということだ。いくつかデザインを用意して、相手に合わせて選ぶのもいいかもしれない。

もちろん、その分だけ手間はかかるが、独りよがりな年賀状ほど、送られて困るものはない。日頃からお世話になっている人や遠方にいてなかなか会えない人に送ることも多いからこそ、新年早々から失礼のないようにしたい。

■松原奈緒美氏
マナー・コミュニケーション表現の企業研修・講演や、雑誌・新聞・テレビなどで活躍。受講生は一般から、プロ講師、タレント、管理職、など幅広く指導。年間登壇本数100本、これまでの受講者延べ人数は10000名を超える。NPO法人日本サービスマナー協会ゼネラルマネージャー。マナー講師の養成も手掛ける。

文=村上 広大(EditReal)
イラスト=浜名 信次(Beach)