「あけおめメール」は過去のもの? LINE、Instagramのライブ配信は年賀状の進化形となるか

特集「出す?出さない?年賀状の分かれ道」第5回

カテゴリ:話題

  • 2017年の新年の挨拶、キーワードは“リアルタイム”
  • ライブ動画配信でカウントダウンを実況中継!
  • 貴重な瞬間をともに楽しむことで特別な新年の挨拶に

2017年の元旦をリアルタイム配信!
カウントダウンを友人同士で生中継も

今から遡ること約10年。スマホの“ス”の字も知らない僕らは、ガラケーのキャリアメールを使って新年の挨拶をしていた。0時ちょうどに「あけましておめでとう!」と友人に送ったにもかかわらず、回線がパンクして数時間後にならないと届かないといった問題が発生していたことも懐かしい。また当時は、ソーシャルメディアの黎明期で、ブログやSNS内の日記で新年の挨拶をする人が現れはじめていた。

こうした年賀状とは異なる文脈から誕生した新年の挨拶も、今ではすっかり定番化。その方法はテクノロジーの進化とともによりスマートになっている。そして2017年の新年の挨拶は、“リアルタイム”がテーマになるかもしれない。というのも、最近になって各社のライブ動画配信サービスが活気づいているからだ。

たとえばLINE。2011年のリリースから5年が経ち、今ではコミュニケーションツールとして欠かせない存在に。新年にLINEでメッセージやスタンプを送るのは定番になっているが、メッセンジャー機能とは別に力を入れているのがライブ動画サービスである。

2016年8月にはライブ動画配信プラットフォーム「LINE LIVE」の配信機能を一般ユーザーへも公開。さらに11月には、URLを送った特定の人だけにライブ配信できるプライベート配信機能を追加し、仲のいい友人のみでのやり取りを可能にした。この機能を使えば、年越しの瞬間を離れた場所にいる友人たちと共有することができる。

「私たちは『CLOSING THE DISTANCE』をミッションに掲げ、さまざまなものの距離を近づけようとしています。LINEを使うことで友人や家族との距離感がグッと縮まれば本望です」(LINE広報担当)

新年の挨拶も“モノ”から“体験”へ
思い出にしか残らない、という貴重さ

ライブ動画配信に力を入れているのはLINEだけではない。写真・動画の共有に特化したSNS「インスタグラム」も2016年8月にリリースした新サービス「インスタグラム ストーリーズ」に、11月からライブ動画機能(※)を追加した。
(※)ライブ動画機能は順次提供されており、記事公開のタイミングで機能が展開されてない場合があります。

この「インスタグラム ストーリーズ」は、投稿した写真や動画コンテンツが24時間で消えるのが特徴。これまでインスタグラムでは、撮った写真からベストショットを選んで投稿する傾向が強かった。だが、この新機能を使えば、写真や動画がアーカイブされないため気兼ねなくシェアでき、よりカジュアルなコミュニケーションが可能になる。変顔などのちょっとふざけた投稿をするのに最適なのだ。

「インスタグラム ストーリーズ」のライブ動画機能についても、配信終了後にはインスタグラム上から自動的に削除されるため、気軽に楽しむことができる。しかも、撮影した写真や動画を特定のグループや個人にダイレクト機能を使ってシェアすることも可能。相手やグループによって内容やメッセージを変えることができるので、それぞれに違ったかたちで新年の挨拶を送ることができる。

「文字やお絵描きなどストーリーズならではのツールを使って、コミュニティのみなさんが新しいクリエイティビティを発揮してくれるのではと楽しみにしています」(インスタグラム広報担当)

モノの時代から体験の時代へ、昨今の潮流は移り変わっている。断捨離などの言葉が一般化するくらいだから、多くの人の所有欲は十分に満たされているのだろう。その波は、新年の挨拶にも及んでいると言える。

年賀状が“いつまでもかたちとして残る”ことを前提にしたものだとしたら、ライブ動画配信などを活用した新年の挨拶は“今この瞬間を楽しむ”ものだ。距離を超えて同じ時間を共有したい。そんな欲求を満たしてくれるのだろう。とくに2017年の元旦には、スマホを片手にライブ中継をしている人がそこかしこにいるかもしれない。

新年の挨拶の方法は多様化しても
気持ちはずっとブレずにいたい

いずれにせよ、年賀状を出すか出さないの分かれ道は、そのどちらに向かってもいい。「紙の無駄だ」その意見もわかる。「いやいや、新年の挨拶は年賀状でしっかりしようよ」そう思う気持ちも理解できる。

ただ忘れてはいけないのは、年賀状もメールもライブ動画配信もツールの選択でしかない、ということ。誰かと新年を祝う気持ちを忘れずにいる。それが最も大切なことではないだろうか。

今、ふと考えてほしい。誰に新年の挨拶を送りたいか。パッと頭に顔が浮かんだ人がいるのであれば、ひと言で構わないから言葉や行動で自分の気持ちを表現してみてほしい。

文=村上 広大(EditReal)
イラスト=浜名 信次(Beach)