「熱が上がりきる前に解熱剤を飲んではいけない」風邪との付き合い方&予防の基本

特集「不健康診断ーーその我慢が落とし穴」第1回

カテゴリ:暮らし

  • 風邪は免疫力低下のサイン。放置せず即治療を
  • 免疫力アップも風邪予防も体を温めることが有効
  • 寒気を感じたら汗が出るまで温かい飲み物を摂る

安易な解熱剤は長引く風邪の元凶に

健康な人でもひとつやふたつ体の不調はあるものだ。だが、その小さな不調は放って置いて大丈夫だろうか。今週の特集は、「不健康診断」と題してあなたの体調不良にフォーカスする。初回は、「風邪」だ。

2〜3日熱や咳が出るが長続きせず、そのうち治る。風邪はそのように軽視されがちだが実際はどうだろうか? そして、そもそも風邪と一言でいっても、その正体はご存知だろうか?

「風邪の正体とは、約200種類にものぼる、細菌やウィルスです。

“風邪”という名前の病気や病原体は存在せず、咳やクシャミ、発熱、悪寒などを総称して便宜上“風邪”と呼んでいます。
風邪の多くは大事にならずに自然治癒されますが、こじらせると肺炎など命取りの病状に発展します。だから風邪は軽視してはいけません。
風邪に感染するということは、言葉を変えれば『免疫力』が低下しているのです」(今津嘉宏先生、以下同)

 風邪の危険性を教えてくれたのは、医師の今津嘉宏先生。ガンを中心に西洋・東洋医学を統合した治療を行う。

風邪をきっかけに「弱点」が重症化する

よく言われる免疫力とは、体に不可欠な機能だ。その役割は主に5つ。

1、健康の維持
2、老化や病気の予防
3、感染から体を守る
4、抗体を作る
5、がんなどを予防する

外敵から身を守るだけではなく、体の内部にできた不調のもとを摘み取ってくれる大事な働きだ。

「風邪は免疫力を測るひとつの目安です。

免疫は本来なら、外敵をブロックし感染症から身を守る防波堤ですが、その前線を突破されたということは、免疫力が低下しているということ。免疫から逃れた外敵は、一気に体の内部に入り込み、もともと弱っていた部分を攻撃します。
肝臓、胃腸などの臓器。また心疾患、糖尿病など持病が悪化することも。風邪を引いたなら、免疫力を高めるよう意識をすべきです。幸い風邪の治療や予防とは、免疫を活性化させる方法と重なる部分が多いのです」

40代前後ともなると、生活習慣病がちらほらと見え始める年代。風邪をきっかけに一気に悪化することもある。たかが風邪とあなどっていると大病を引き起こしかねないことはご理解いただけただろうか。

では次からは具体的な風邪の治療法と免疫力を高める方法を見ていこう。

予防にも治療にも体を“温める”

風邪を引いたと思ったら、まず試してもらいたいのは「体を温める」こと。

「体温が38.5度まで上昇すると、ウィルスや細菌は死滅します。だから風邪で熱が出るのは自然な行為なのです。だから熱が上がりきる前に解熱剤を飲んではいません。二次感染を起こし、長引くでしょう」

驚くべきことに、風邪を引いたひとの約20%は早い段階で二次感染を起こすという。最初に熱っぽさや寒気を感じたら、解熱剤など飲まずに休むに限る。

次に体を具体的に温める方法だが、比較的体力がある段階、また風邪を予防したいのであれば、「体を動かすこと」だ。

「体内で熱をつくり出すのは、筋肉です。起きている間に少しでも筋肉を動かすことでしょう。
ただ、筋肉といっても激しい運動ばかりではありません。
たとえば、“よく噛んで”食べること。おしゃべりすること。これも顔の筋肉を使います。また、“深呼吸”すること。男性の場合は腹式呼吸で『横隔膜』が動くくらい深く呼吸します」

手軽な方法は“温かいものを飲む”

しかし、動くのがダルイ、また食欲もない、そんなときにできることというと?
これが拍子抜けするほど簡単なのだが、ずばり「お湯を飲む」ことだ。

「一番簡単な方法は、“体温より高い”お湯を飲んで、内側から温めることです。熱がある場合は、3〜4時間に渡り汗が出るまで温め続けましょう。汗が出るのは、脳が体温を平熱に戻しても良いと判断した合図。そこまでは我慢して温め続けます」

この体温より高い「お湯を飲む」という行為はもちろん、予防にも有効だ。普段から免疫力を活性化させるには、温かい飲み物を選ぶべし。

ただし、いくら体温が免疫力を活性化させるといっても、あまりに高すぎる熱は危険だ。

「39度以上は、脳や神経に異常をきたすことがあります。医者にかかり解熱剤を処方してもらいましょう。ちなみに体温を下げる場合は、おへその上や、首のまわり、脇の下、足の付け根と、大きな血管が通っているところを冷やします。おでこでは効果がありません」

その他にも、健康の基本である規則正しく生活すること、しっかりとした睡眠を取ることももちろん大切である。

風邪とは自身が弱っているというサイン。二次感染を防ぐためにも初動が何よりも大切だ。大事な仕事に穴を空けたくないのなら、「これくらい大丈夫でしょ」という初期の初期で勇気を出して半休を取り、体を温めるようにしたい。

今津嘉宏先生
芝大門いまづクリニック院長。藤田保健衛生大学医学部卒。日本外科学会認定医ほか多数の資格を保有。『風邪予防、虚弱体質改善から始める 最強の免疫力』(ワニブックス)などを執筆。

文=武藤徉子
イラスト=前田はんきち