プライドが高くて扱いづらい… タイプ別 “年上部下”のトリセツ

特集「“年下上司”と“年上部下”の関係」第2回

カテゴリ:ビジネス

  • あえての低姿勢で教わるのは、”自分のため”
  • 正しい命令・指示が出せるように自分を磨くこと
  • モチベーションを上げることは上司の仕事ではない

多くの“年下上司”たちは、“年上部下”に対して、「注意しづらい」「仕事を頼みづらい」と、どこか遠慮がち。また、“年上部下”への不満について、「プライドが高い」「わがまま」「やる気がない」といった声も漏れ聞こえる。とはいえ上司として、そんな部下を野放しにしておくわけにはいかない。

そこで、社会保険労務士で『どんな年上部下でも一緒に働きたくなる上司のルール』(青春出版社)の著者でもある浜村友和さんに、このような“年上部下”はどのように扱えばいいのか、タイプ別の“トリセツ”を教えてもらった。

浜村友和さん

タイプ1:プライドが高い“年上部下”は「教わり型マネジメント」で攻略!

プライドが高い“年上部下”に対しては、どんなトリセツが? と、その前に、浜村さんはプライドが高い“年上部下”について、こう話す。

「プライドが高い部下は、何かの点で秀でていることが多いです。きっと本人もそれを自覚しているはず。私は、理由もなく高いプライドを持っている人なんていないと思っています」(浜村さん、以下同)

では、それを踏まえた上で、どのように扱うのがいいのだろうか?

「素直に教わる姿勢を示してコミュニケーションを取る方法がオススメです。私が専門とするチェーンストア業界を例に挙げると、マスターすべき現場作業は200種類あり、1つの作業を完全にマスターするには2週間必要と言われています。そのため、『部下を持つのは、最低でも8年かけて現場作業をマスターしてから』というのが原則。しかし、多くの企業では完全にそれらをマスターさせる前に若手を管理職に抜擢します。従順さや素直さ、熱心さなど、会社から一定の評価をされたことは自信を持って構いませんが、現場での実力は、ベテラン社員の方が上。長い職業人生を考えると若いうちは、会社から与えられた『上司』という責務を全うしつつも、自己育成のために部下から教わってでも、現場作業をマスターする時期です」

また、「おそらく、『自分の実力が正当に評価されていない』という部下の不満の表れが、“プライドが高い”と思わせるのでしょう。教えを乞うということは、その部下の秀でている点をみつけ、承認してあげることでもあります」と浜村さん。プライドが高い=面倒と敬遠しがちだが、自分から歩み寄る姿勢も大切なのかもしれない。

タイプ2:わがままで個人主義な“年上部下”
もしかしたら自分のせいかも?その指示は正しい?

続いては、わがままで個人主義な“年上部下”について。ホウドウキョクが行ったアンケート調査でも、「何度教えても自分のやり方を通す」「協調性がない」という回答が多かったが、このタイプへの接し方は?

浜村さんは「ポイントは、『報酬』の意味を正しく理解すること」と、話す。

「『報酬』とは、職務を果たした対価です。その『職務』は、会社・上司の命令から始まり、報告で終わる。そこで初めて報酬が生まれるのです。多くの上司が、始業から終業まで会社に居れば報酬は発生するもの、という前提で、部下への命令の仕方に悩んでいます。しかし、それでは上司である自分が、部下にお金にならない仕事をさせてしまっているのです」

「部下にお金にならない仕事をさせている」とは、何か引っかかる。どういうことだろうか?

「上司の仕事は命令すること。だから言いづらいとかそういう問題ではなく、上司として、命令せず、好きにさせていたら、部下は報酬が得られないことになります。自信を持って命令するためには、会社の理念や方針を理解し、就業規則・マニュアル等のキマリを把握して、うちの会社においては何が「職務」と認められる正しいことなのかを知っている必要があります。その上で、正しい命令を実行させる手段として、部下によってコミュニケーション(説得)の仕方を工夫するのです」

つまり、部下とのコミュニケーションスキルの前に、命令しない=報酬を放棄させていることに気が付くこと。何度言っても教えた通りにやらないのはもしかしたら、未熟な自分の命令が、年上部下にとって到底納得がいかないからかもしれない。まずは、自分の命令(指示)が会社として正しいかどうか、見つめ直すことが大切だ。

タイプ3:やる気のない“年上部下”
「○○はできない」と割り切るべし!

最後に、やる気がない“年上部下”について。浜村さんは以下のように話す。

「よく陥ってしまいがちなのが、相手のモチベーションを上げようとすること。しかし、これは上司の仕事の本分ではないし、そんなことはできなくて当然です。できないことまでしようとしていたら、自分がつぶれてしまいます」

とはいえ、一緒に働く仲間としては部下のモチベーションを上げようとするのは自然なことだと思うが…。

「人の心を変えよう、気分を変えようなんて、上司と部下という関係以前に、誰でも難しいこと。例えば、家で奥さんとケンカして、離婚寸前だという理由からくるやる気のなさだったらどうにもできませんよね。それなら視点を変えて、自分がしっかり勉強して、正しい命令を出して、結果につながる仕事を部下にさせる。結果が出れば、部下も手ごたえを感じて、モチベーションが上がります。自分が正しい命令を出すというところにフォーカスしたほうが、自分の成長にもつながりますよ」

部下のモチベーションを上げようと努力するのではなく、自分の行動を変え、仕事で結果を残すことが間接的にモチベーションアップにつながる。部下のモチベーションの上げ方を変えてみるのもひとつの手段と言えるだろう。

「プライドが高い」「わがままで個人主義」「やる気がない」など、ひと癖もふた癖もある“年上部下”。相手が悪いから、相手を変えようと自分そっちのけになってしまいがちだが、自分が変わることが何よりの対処法なのかもしれない。


文=明日陽樹/考務店