「プログラミング塾」に通う子どもが急増!?親世代にできることとは?

特集「子どもとデジタル」第9回

  • 日本の教育に足りない部分を補う形で生まれたプログラミング塾
  • 主体的に“課題を見つけ”“アイデアを実現する”能力を育む
  • 自分の意志で通い始める子どもがほとんど

日本の教育への疑問から生まれたプログラミング塾

一般的にAIやIoTといった言葉が使われるようになり、学校などの教育現場にもICTの波が来ている。そんな時代の流れに合わせて、子どもにプログラミングを教える塾も誕生しているのだ。「塾に通わせてまで、子どもに教えるのは早いんじゃないか?」と思うかもしれないが、果たしてプログラミング教育を施す意味とは?

今回は2つのプログラミング塾の様子をうかがった。

1つ目は、全国17都道府県で授業を開催しているTech Kids School。小学生向けのスクールで、学習用プログラミング言語「Scratch」を用いたゲーム開発や、Apple社開発ツール「Xcode」を用いたアプリ開発、「JavaScript」や「C#」を始めとした本格的なプログラミング言語の学習など、子どもの年齢や習熟度に合わせてさまざまなコースを用意している。生徒が開発した作品の発表会も定期的に開催され、そのためのプレゼンも練習する。

Tech Kids Schoolの最後の授業は、開発したゲームやアプリの発表会。アウトプットの手段も学ぶ。

もう1つは、首都圏を中心に教室を展開しているTENTO。小中学生向けのスクールで、小学校低学年には「ビスケット」や「プログラミン」など子ども用に開発されたツールでプログラミングに触れ、小学校高学年以上は「HTML」や「JavaScript」など本格的な言語を学んでいく。さまざまな年齢の子どもが1つの教室に集まり、自ら学習内容や目標を決めるアクティブ・ラーニングの形で授業は進んでいくそうだ。

年齢やスキルが違う子どもたちが集まり、それぞれの学習を行う「寺子屋方式」で進んでいくTENTO。

昨年、学習指導要領の改訂に伴って、学校の授業にプログラミングが導入されることが発表されたが、それぞれの塾の誕生はもっと前。Tech Kids Schoolは2013年、TENTOは2011年に発足した。まだ社会的な動きが少なかった当時、プログラミング塾を立ち上げたきっかけは?

「世界的にIT化、グローバル化が進む中で、日本はIT教育が弱いことが気になっていました。そのタイミングで、サイバーエージェントグループの社会的な取り組みとしてプログラミング教育事業を行ってはどうかという案が社内で盛り上がり、中高生向けプログラミングスクールの『Life is Tech!』とも連携する形で、Tech Kids Schoolが生まれました」(Tech Kids Schoolを運営するCA Tech Kids代表・上野朝大さん)

「私自身が中学受験塾で講師を経験しつつ、フリープログラマーとしてさまざまなプロジェクトに携わる中で、受け身の教育の問題点を痛感しました。アクティブ・ラーニングを取り入れたプログラミング学習を突破口にして、主体的な学習ができると考えたのがきっかけです」(TENTO代表・竹林暁さん)

プログラミングを通じて“課題を解決する力”を育む

早いうちからプログラミングを学ぶことで、子どもはどのような能力が身につくのだろうか。

「コンピューターの仕組みやプログラミングで実現できることを知ると、『この方法を使えば、こういうものが作れるのではないか』という発想が生まれます。そして、そのアイデアを実行に移す主体性、実現させるスキル、トライ&エラーを繰り返すことで粘り強さも身につくと考えています」(上野さん)

「子どもたちの世界に対する態度の変容が大きいと思っています。現代社会はあらゆるところでコンピュータープログラムが動いています。そのプログラムを自分で作り、システムを知ることで、『自分が世界を変えられる』という気持ちを持てるようになるのです」(竹林さん)

プログラミングそのものを学ぶというよりも、課題を見つけたりアイデアを実現したりするための術や思考力を養っていくというわけだ。Tech Kids Schoolでは、ゲームやアプリを開発する際に、専用シートにアイデアや開発の手順を書き出すことで、段取り力も身につけていくという。

「目標を形にするための進め方や用いるべき技術を知れば、あらゆる環境で積極的に動ける人材になると思います。技術職を目指してほしいというよりも、主体的に動ける人になってほしいですね」(上野さん)

親は子どもの関心を膨らませる手助けをしてあげて

受講している子どもたちの反応を聞くと、双方から「楽しみながら、積極的に取り組んでいる」との回答が返ってきた。

「TENTOでは同じ教室内に進み具合が違う子どもがいるので、自分より先の課題をこなしている子を見て、『新しいプログラミングツールにチャレンジしたい』と学習意欲をかき立てられる子も多いです。親御さんたちのIT教育に対する意識も高まっていて、アクティブ・ラーニングの側面に注目している方も多い印象があります」(竹林さん)

「体験会などを機に自分の意志で通い始める子が多いので、継続率も高いです。親御さんも子どもの興味や意欲を汲んで、通わせている方が多いように感じます。2013年の設立当初は60人だった生徒が、現在は20倍の1200人に増えました」(上野さん)

今後は社会的にもプログラミング教育が進んでいくと考えられるが、親世代の中にはコンピューターやプログラミングに詳しくない人も多い。もし子どもから「このプログラミングについて教えて」と聞かれたら、どう対応するといいのだろうか。

「必ずしも親が教えなくてもいいと思います。子どもと一緒に調べたり『パパもわからないから調べて教えてほしいな』と促したり、子どもの興味を放置せず、次のステップに導く手助けをしてあげてほしいです」(上野さん)

「子どもがやりたいことを実現できる環境を用意してあげること、それだけで十分だと思います。逆に親から、子どもが作っているものやその過程について質問してみるのもいいでしょう。親も子どもを理解できるし、子どもの説明能力の向上も見込めます」(竹林さん)

これからさらに増えていくであろうプログラミング塾。もし、早い段階で子どもがPCやタブレット端末、ICTに興味を抱いたら、習い事の1つとして考えてみてはいかがだろうか。それが「これからの時代を生き抜く力」を身につける一助になるはずだ。


(執筆:有竹 亮介(verb))