歌舞伎を見たことありますか? 初心者がまず気を付けるべきこと

歌舞伎と「ワンピース」には共通点が?

カテゴリ:話題

  • 「春暁特別公演2018」がスタート
  • 中村勘九郎・中村七之助のプライベートトークも!
  • 歌舞伎観覧の常連者は歌舞伎をどう見ている?

現在公演中の「中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演 2018」は、兄弟である勘九郎さんと七之助さんを中心とし、全国12か所を巡る公演だ。

普段、地方に住んでいて歌舞伎を観に行くことが難しい方のために、勘九郎さんや七之助さんたちが地方に行って歌舞伎を観てもらうという公演。初日には多くの人が押し寄せた。

この公演は、勘九郎さんと七之助さんのフリートークを中心とする「芸談」と、舞踊公演の二部構成。特に「芸談」では、歌舞伎役者としてではない、二人の素顔を垣間見ることができた。

北は北海道、南は大分まで全国各地を行脚する「春暁特別公演2018」。二人は心待ちにしている「あるもの」があるという。

中村七之助さんは「鳥取での公演は初めてなので、すごく楽しみです。各地で名産物を食べられるのがうれしいですよね」と話した。

一方の中村勘九郎さんは、来年放送の長編テレビドラマに向けた体作りに専念中。各所の名物を楽しみたいという思いはありつつも、ストイックな食事制限に悩んでいるようだ。楽しそうにご当地名物について語る七之助さんを横目に、渋い表情を見せていた。

勘九郎さんは「今度演じるのがランナー役のため、全身を入念に鍛えています。体脂肪もあと2%落とせば1桁というところまできています。

今回は、北海道や大分などどこに行っても結局、ササミしか食べられません。ですが、北海道のジンギスカンだけは絶対に食べます!羊は低カロリーなので問題ないと…」と語った。

そんな姿を見て七之助さんは「一時期は兄の太もも周りが本当に筋肉で太くて…。食事制限を始めてからは、細く締まった感じになりましたよね」と兄・勘九郎さんの体の変化について明かした。

さらに話が盛り上がると、よりプライベートに迫ったトークにまで発展。「最近ハマっているものは?」という観覧者からの質問には意外な答えが返ってきた。

「スイーツにハマっている」という七之助さん。「今年の2月までは甘いものが苦手でしたが、急に食べられるようになりました。最近ハマっているのは、パレスホテル東京のマロンシャンティイ。尾上松也とよくスイーツ談義をしています」と笑いを誘った。

「春暁特別公演2018」の魅力

公演終了後には特別に「芸談」で司会進行を務めたフジテレビの吉崎典子さん、そして、フジテレビで歌舞伎などのイベント公演事業を担当している飯田聖子さんと早野由夏さんに話を聞いた。

今回の演目は、お祝い事の際によく使われる『鶴亀』と、勘九郎さんの扇さばき、一瞬での老人姿への早変わりが見どころの『浦島』、そして七之助さんの女形が美しく、衣裳の早変わりと後半の獅子の勇壮な踊りに魅了される『枕獅子』の三本立て。

歌舞伎観覧の常連者である彼女たちにとって、歌舞伎はどのようなものなのだろうか。

――「春暁特別公演」を観てどうでしたか?

飯田:
最初の『鶴亀』は品がよく観ていて楽しめました。(中村屋の)お弟子さんだけの公演は珍しいのですが、若いお弟子さんたちの成長も感じることができますし、帝を演じた中村小三郎さんも威厳があり、見ごたえがありました。

『浦島』

吉崎:
『浦島』は勘九郎さんが父親の勘三郎さんに褒められた、というだけあって素晴らしかったです。老人姿になってからの動きの対比が面白いですよね。

『浦島』

早野:
老人姿といえども、足腰がしっかりしていないとあの役はできないですよね。初めて観て、面白かったのは『枕獅子』です。

『枕獅子』

吉崎:
本来は男性が獅子になることが多いですが、『枕獅子』では女性が獅子の精になっていました。また、いま注目されている中村鶴松さんの禿ゆかり後の胡蝶も熱演されていましたね。

『枕獅子』

歌舞伎の楽しみ方は?

――歌舞伎を観覧する、ということにハードルの高さを感じます。初めての人へのおすすめの公演や楽しめる観方はありますか。

飯田:
何度も歌舞伎の公演に足を運んでいても、長唄が聞き取れないことはあります。全部の意味がわかっていなくても、踊りや動き、衣裳などの要素から楽しんでいけばいいと思います。

今回の公演は舞踊が中心ですが、現代劇のような世話物やみなさんがいわゆる「歌舞伎」と想像するような時代物、といったジャンルがあります。舞踊から入っていき、「格好いい!」「きれい!」と感じるだけでもいいんです。それから世話物を見ると、ストーリーもつかめるようになります。

飯田聖子さん

早野:
私も歌舞伎を観たいと思った時に、「初めて観る演目が大事」と言われ、最初に観るものは重要だなと感じました。歌舞伎教室などで歌舞伎を観たことがありましたが、薦められて観たのが赤坂大歌舞伎の『狐狸狐狸ばなし』。想像していた歌舞伎のイメージとは違って、初心者でも楽しめるコメディーでした。

飯田:
私も昔から観てはいましたが、「歌舞伎にハマった」と感じたのはシアターコクーンで行われるコクーン歌舞伎からでした。間近で観ることができ、古典を新しい演出で上演するんですよね。そこから、歌舞伎座ではどう演じられているのかな、と同じ演目を観たら全く違う演出に驚きました。

実は歌舞伎は何でもあり!

――歌舞伎の作品には「新作」もあるのでしょうか。

吉崎:
2017年は新作続きでしたね。

早野:
印象に残っているのは世界三大叙事詩の一つである「マハーバーラタ戦記」を歌舞伎で表現した作品。古代インドの神と人間の壮大な物語の新作『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』ですね。

吉崎:
衣裳もきらびやかで、音楽もとてもよかったです。日印折衷みたいでした。

飯田:
何でもありなんですよね。

最たるものは『スーパー歌舞伎II ワンピース』です。今度は「NARUTO -ナルト-」の歌舞伎もやります。「ワンピース」にはもともと、仁義や兄弟、宝など歌舞伎のテーマになるような共通点があり、歌舞伎にハードルを感じている人たちは、こういった公演から観ていくのもいいかもしれません。

吉崎典子さん

吉崎:
本当に、“ワンピース歌舞伎”は話題になり、若い方も来ていて、「初めて見ました」という方もたくさんいらっしゃいました。初めてがこの公演で、面白いと感じて次も観たいと思えたら、いい流れですよね。

飯田:
最近では、渡辺えりさんの『今昔(いまむかし)桃太郎』や、時代設定は江戸だけれど、“ぞんび”が出てくる宮藤官九郎さんの『大江戸りびんぐでっど』や気鋭の劇作家・蓬莱(ほうらい)竜太さんの『夢幻恋双紙(ゆめまぼろしかこいぞうし) 赤目の転生』と、話題の方たちが歌舞伎の新作を手掛けています。

三島由紀夫さんが脚本を書いたとは思えない、かわいらしい内容の『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』という作品も私は好きですね。

吉崎:
いまでは何度も演じられている演目も、昔は新作として生み出されました。特に歌舞伎は当時の人気作家が脚本を書いているという流れから、現代の人気作家が脚本を書くというのは普通のことなんですよね。

早野由夏さん

勘三郎さんの「お尻」に夢中…!

――みなさんが歌舞伎を観劇する上で注目している部分や魅力について教えてください。

吉崎:
私は中村勘三郎さんが好きで、追っかけていたんです。『夏祭浪花鑑』という公演で、勘三郎さんがふんどし姿になり、お尻を出すシーンがあったんです。本当にプリプリの良いお尻で…、それを観に行っている感じでした。勘三郎さんの公演は全部観に行くほどで、そこから歌舞伎もどんどん好きになりのめりこみました。役者を好きになる、というところからでもいいんですよね。

早野:
私は演目、ストーリーに注目しながら歌舞伎を観ています。今はネットにも情報があるので、よく演目を吟味して記念すべき第一回を決めてください。あとは、『初春花形歌舞伎』などで次の世代で活躍する役者さんを探すのも、おすすめだと思います。

飯田:
まだ小さいですが、中村勘太郎さんと中村長三郎さんからは目が離せませんよね。若い方ですと、今回も出ている中村鶴松さんや歌舞伎と清元の二刀流で話題の尾上右近さんなど、注目する若手も増えている。

また“ワンピース歌舞伎”や“コクーン歌舞伎”のように斬新で現代的な歌舞伎演目は増えています。

古典としての要素を大事にしつつ、常に新しい風が入るようアップデートされています。「難しい」というイメージはあるかもしれないですが、現代的な演目をフックに、徐々にクラシックなスタイルの歌舞伎演目にも足を運んでもらいたいです。

今回の「中村勘九郎 中村七之助 春暁特別公演 2018」は、4月5日(木)まで全国各地を回っている。魅力的な演目が多いので、歌舞伎デビューしたい人にはちょうどいいチャンスかもしれない。

(執筆: editors room)