【パラアスリートの言魂】パラアルペンスキー鈴木猛史

負けず嫌いなチャレンジャーがメダルを狙う

  • 『怖いなら辞めてしまえ』と金メダリストに言われ奮起
  • 中学3年から続けてきたスタイルを変えて若手と戦う
  • 「次を目指すのであれば、次からは挑戦者」の気持ちでメダルを狙う

トリノ、バンクーバー、ソチの冬季パラリンピック3大会連続出場したパラアルペンスキー鈴木猛史選手。

2010年バンクーバーパラリンピック大回転では銅メダル獲得し、2012~2013年ワールドカップで年間総合優勝している。

2014年ソチパラリンピックでは、回転で金メダル、滑降で銅メダルを獲得し、4大会連続出場となる平昌パラリンピックでもメダルを目指す。

負けん気で続けたスキー

ゴーグルを外すと、人懐っこい表情が現れる。

出会った人に警戒心を抱かせないにこやかな表情からは、100分の1秒を競い合うアルペンレーサーの厳しい世界に身を置くアスリートの姿を想像することはできない。

鈴木選手は、8歳の時に交通事故で両足を失った。

それでも大好きだったスキーを続ける選択肢を選んだという。

「急斜面がすごい怖かったです、恐怖でしかなかったです」と話す鈴木選手。

長野パラリンピック金メダリスト志鷹昌浩選手に『怖いなら辞めてしまえ』と言われ、その一言で世界が変わったと鈴木選手は言う。

自身のことを負けず嫌いと話す鈴木選手は「悔しいなと、絶対に僕は滑ってみせる」と奮起した。

スタイルを変えながら頂点を目指す

中学3年の時から、世界と渡り合ってきた鈴木選手のスキーテクニックは、チェアスキーでは珍しく、逆手でポールをなぎ倒しながら直線的に滑るスタイル。

体をポールに当てながら滑る他の選手のスタイルとは異なった滑りでタイムを伸ばし、勝利を手にしてきた。

今シーズンはオランダの18歳のライバルの出現によりタイムで下回ることが多くなる中、鈴木選手は新たなスキースタイルで、若いライバルを倒そうとしている。

それは、得意の逆手と他の選手が使う体をポールに当てながら滑るスタイルとの融合。

鈴木選手は言う。

「ぎゃふんと言わせたいんですよ。おとなは、強いぞって。ものすごい負けず嫌いなんです」

そうニコニコしながらさらりと言うが、その言葉の中に金メダリストのプライドを強く感じ、再び世界の頂点を目指す新たな挑戦に本物のアスリートの姿を見た。

失敗して無駄なことは一つもない

失敗して無駄なことは一つもないと鈴木選手は言う。

「失敗は経験にもなっていきますし、人間はそういった失敗をしても、経験はリセットされない。失敗をやっぱり恐れずに、選手としてどんどん高いところを目指していかないといけない」

金メダルをとって世界一になり満足してしまうと、そこで成長は止まってしまうと鈴木選手は考える。

だから「次を目指すのであれば、次からは挑戦者」の気持ちで常にいる。

そうすればもっともっと可能性は広がると言う。

そう思った理由は特別扱いされなかったからだと鈴木選手は話す。

「本当に僕は人に恵まれているというか、『足がないからなんだ』と、『いや足がないだけだろ』と、周りの人に特別扱いされなかったということが、僕にとってはよかったというか、そういう人たちのおかげで今の自分がいるんじゃないかなと思います」

世界の頂点を目指すだけではなく、常に生活でもチャレンジャーとして、これからも恐れず生きていきたい、と話す負けず嫌いなチャレンジャーが平昌パラリンピックでメダルを狙う。


鈴木猛史(スズキタケシ)


1988年5月1日生まれ 28歳 福島県出身 KYB株式会社所属
9歳の時に交通事故で両大腿切断。
パラリンピックはトリノ、バンクーバー、ソチの3大会連続出場。
2010年バンクーバーパラリンピック大回転で銅メダル獲得。
その後、2012~2013年ワールドカップで年間総合優勝した。
2014年ソチパラリンピックでは、回転で金メダル、滑降で銅メダルを獲得。
同年、福島県民栄誉賞受賞、紫綬褒章受章。
更に2014~2015年に2度目のワールドカップ年間総合優勝。


(PARA☆DO!:毎週水曜夜10時54分放送
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(執筆:PARA-DO)