日本は戦後からずっと「アメリカに依存」しているのか?

特集「みんな、何かの依存症」第4回

カテゴリ:ワールド

  • 戦後から一貫して、日本はアメリカに対して依存的にふるまっている
  • 主に基地についてアメリカ依存をなくすと国立大学の学費を無償にできる
  • 国民一人ひとりが基地問題について興味を持たないと何もかわらない

日本は戦争に負けたことによって、米軍の支配下になった。それから独立したあとも、沖縄を中心として、いたるところに米軍の基地があり、政治的にもアメリカに従順である。その政治によって、一番の犠牲になっているのが沖縄だ。作家で、元外務省国際情報局長である孫崎享氏に日本のアメリカに対する依存度について話をうかがった。

日本の米軍基地負担の尋常じゃない金額について

「戦後、日本とアメリカの関係というものが、当初予定されていたよりも、遥かに隷属的、依存的になっているんです。その非常に代表的な例は、米軍に対する基地負担なんです。

これは日米地位協定というのがあって、この第24条、第1項に、『日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定するところにより日本国が負担すべきものを除くほか、この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される』とありまして、基本的には米国の軍隊は、日本を守るためにいるのではなくて、アメリカの戦略のためにいるんです。

そうすると、当然のことながら費用はアメリカが負担しなければならない。にも関わらず、今、日本がどれくらいの負担をしているかというと、去年の11月16日の読売新聞によれば7,612億円。そして、韓国が1,012億、ドイツが1,876億、イタリアが440億、イギリスが286億、スペインが153億、サウジが64億という数値が出ています。ということは、本来、日本が払わないということになっているものに対して、このような形で日本が負担するという非常な事態になっているわけです。

例えば、米軍に対する負担を0にしようというのはあまりにも酷すぎるというのであれば、ドイツも同じように経済大国であって、アメリカの同盟国であるということだから、仮にドイツ並みにすると、大体5,000億円弱浮くんですよね。それはどれくらいの意味を持っているかというと、国公立大学の無償化をするために必要なお金は、4,168億円なんです」

日本はかなりな高額な思いやり予算を米軍に割いていることがわかる。しかし、後半に述べるが、だからといって、戦争のような非常事態になったときに、日本が米軍に守ってもらえるという保証はどこにもないのだ。

我々が今のアメリカへの依存症というものを、ちゃんとした形でどうあるべきかと考えて、日米関係をマネッジすれば、国公立大学を無償化できるんです。国公立大学にあんまり関心がないという人がいたら、別の問題では小中学校の給食を無償化にするときのお金は4,720億円なんです。他の政策にも回せるんです

ということだから、要するにアメリカへの依存というものを、我々がちゃんと計っていれば、日本の国内の政治というのは、多くの国民が望むようなものにできるんです。私たちは日米関係というものを安全保障の問題であるとか、あんまり考えなくてもいいと思う人が多いんだけど…特に若い人。

実はそうではなくて、日米関係の安全保障がどうあるべきかということをしっかり考えるということが、結局私たちの将来を豊かにする道なんです。依存症があるから、我々の生活というものが厳しい面に直面しているということを考えないといけない」

有事のときにアメリカが日本を守ってくれるというのは幻想

じつは、米国に依存しているから、日本の安全があるという話ではないんです。今何でそんなことが起こっているかというと、結局、米国にとっては東アジアの緊張があった方が、日本を使いやすいんです。

まず中国と紛争になったとき、集団的自衛権で海外に行く。アメリカの戦略のために使うんだけど、何で行くかというと、東アジアが危ないからどこかで助けてもらわないといけない。そうしたら、ある程度我々は彼らの頼みを実現してやらなければならない。

ところが、現実の問題としては、まず日本が、尖閣諸島を軍事的にもう制圧できないということ、それから尖閣諸島というのは、本来的には棚上げの合意があって、日本が管轄するということについて中国が認めているわけだから、それを守れば日中ではなんの紛争もないんです。

もう1つ、今一番言われているのは北朝鮮なんですけれども、北朝鮮の脅威をものすごく煽った。今回、非常に異例だったのは、政府が着弾想定の住民避難訓練を各都道府県でやりなさいということを言った。でも、日本に来る中距離ミサイル、ノドンというのが日本に落ちてくるときには、秒速2000〜3000mで来るんです。ということは、仮に500m先にミサイルが来るというのが見えたとしたら、着くまでに「4分の1秒」なんです。

そこで政府が『今、北朝鮮のミサイルがどうも日本に来るようです、皆様建物のそばにいる人はみんな建物の方に行ってください。建物がそばにないときは、地面に伏せてください。そして家の中にいる人たちは、ガラスから離れてください』と指示するとしたら、これを言うのに大体30秒かかるので、だいたい60〜90km離れた、遠くのミサイルを仮に見つけた段階で指示できたとしても、もう着弾しているんです。

そういう意味では、ミサイルの防衛は全くされてない。東アジアの危機であると煽ることによって、米国への依存症を強めている。だから私たちは軍事で一体何ができるのか、あるいは平和的なことで何ができるかというのを自国で考えていくことによって、その依存症というものを下げることができる」

日本はアメリカの52番目の州なんて言われたりしますよね。それくらい従属的で依存していると。

「いや、州にはならない。なぜかといったら、1億人以上いるわけですね。これがアメリカの州になったら、大統領選挙をひっくり返しますよ。カルフォルニアより大きいんだから。だからとてもじゃないけど州にはさせてもらえない。

結局、ペリーが日本に来たときに何を言ったかというと、沖縄を自分のものにしようとしたわけです。日本政府にいじめられている国は解放させてあげなきゃいけない。我々が取ることによって解放させてやろうと言ったんですよね。だからそういう意味では今の状況は、沖縄の人たちの気持ちをまったく無視することだから」

孫崎享
1943年満州生まれ。日本の外交官、評論家。城西国際大学大学院人文科学研究科講師。東アジア共同体研究所理事・所長。著書に『戦後史の正体』(創元社)など多数。


(執筆:神田桂一)