先進国ドイツで見た“デジタル製造革命”の最前線

カテゴリ:ワールド

  • 世界最大の製造業イベント「ハノーバーメッセ」を取材
  • デジタル上で、設計、開発、シミュレーション
  • 欧米は全体を通してデジタル化の流れ…日本はどうする?

進化するデジタル化の波  

世界最大の製造業のイベント「ハノーバーメッセ」。
世界中から、およそ6,500社もの製造関連企業が集まり、来場者数は20万人以上。

「ハノーバーメッセ」

色分けされた部品をスピーディーに仕分けるロボットや車を軽々と持ち上げ、上下左右、自由に移動させることのできるロボットなどが展示されている。

色分けされた部品をスピーディーに仕分けるロボット

さらに目を引いたのが「空飛ぶじゅうたん」と呼ばれる、お互いによけながら、スムーズに移動する運搬プレート。磁力で宙に浮いて動いていて、製造ラインにレールを敷く必要がない。

今、製造現場で起きているデジタル化の波は、さらなる進化を遂げていた。

“空飛ぶじゅうたん”と呼ばれる運搬プレート

デジタル上の設計とシミュレーション

会場の一角に展示されている電気自動車。
実は、この自動車、設立からわずか3年のドイツのベンチャー企業が発表したもので、最新のデジタル活用の象徴だといわれている。

ドイツのベンチャー企業が発表した電気自動車

車を開発した経験のないメンバーが、3年という短い期間で、車の開発を実現できた理由…それがデジタル上の設計とシミュレーション。

デジタル上の設計とシミュレーション

一般的に、自動車の製造では、設計をもとに実際に開発し、物理的なシミュレーションを繰り返していた。
しかし近年、コンピューターによる高速な処理が可能になったことで、現実世界のさまざまな状況をコンピューター上でシミュレーションできるようになった。

従来の開発工程

例えば車が、水たまりに突っ込んだときに、水がどうはじけていくかや、電池の長期使用時の劣化状態などのデジタルシミュレーションを行っている。

先を見据える日本企業

そんな中、日本の企業は、製造業のデジタル化のさらに一歩先を見据えていた。

産業用ロボットのレールや駆動装置を製造する「THK」。
THKの製品は、ロボットが作業するためには欠かせない部品。決してすぐ壊れるわけではないが、製造装置のかなり重要な部分に使われている。もし壊れてしまうと3日ぐらい交換に時間を要する。
製造業で3日もラインを止めると、数百万の被害が出るので、やはり「事前」に知りたいというニーズがある」とTHKの坂本卓哉氏は話す。

そんなニーズに応えるべく取り付けたのが、レールや駆動装置の状態を可視化できるセンサー。
劣化や破損しそうな状態を早期に察知することで、製造がストップすることを防ぐことができるという。

デジタル化が進む製造業界。それが新たなビジネスチャンスを生み出していた。

欧米は全体を通してデジタル化の流れ

IoT/AIの専門メディアを運営する小泉耕二氏:
ハノーバーメッセは、世界最大の製造業のイベント。
現地で取材すると、これまでは機械や部品などが多かったが、最近はデジタルの活用、デジタルとの融合といった部分が多く見られる傾向にある。

三田友梨佳キャスター:
車を開発したことのないベンチャー企業が3年で新車を発表できたんですね。  

小泉耕二氏

IoT/AIに詳しい小泉耕二氏:
車の水跳ねテストなど開発過程をデジタル上でテストしていくことで、実際の機械でのテスト工程が短くて済む。それで3年で実車化できた。
製造には、設計・開発、製造、保守という3つのフェーズがあるが、今の車のケースだと、設計・開発の部分が短くなっている。

日本は製造や保守にこだわりがちだが、欧米では全体を通してデジタル化していく流れにあるので、日本は今後どのようにやっていくのか。欧米の流れについて行くのか、それとも違う方向で進むのか決めていかなくてはいけない局面にある。 

(「Live News α」5月9日放送分)

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