時には、バイクや自転車なども巻き込み多重事故にまで及ぶ右折車の事故。
大津の事故では見通しのいい交差点で、どちらも青信号。直進する軽自動車と右折する車がぶつかり、軽自動車が、
園児らの列に突っ込んだ。

身近で危険な「右折事故」をどう防げばよいのか?検証する。

この記事の画像(8枚)

右折事故が起きやすいタイミングとは

右折車と直進車の事故による死亡率は正面衝突、追越追抜事故に次ぐ3位。

どういうタイミングで起きやすいのか?

元千葉県警交通事故捜査官の熊谷宗徳氏は「事故は、黄信号から赤信号に変わるタイミングに発生することが多い。お互いに“止まるだろう、譲ってくれるだろう”という気持ちがあるのだろう」と話す。

どんな場所で右折事故は起こりやすいのか

実は、信号機が「ある」交差点の方が右折車の事故が起こりやすいという統計もある。

取材班は、東京都内で最も右折車の事故が多いという板橋区の熊野町交差点を走行してみた。
ここは山手通りと川越街道が交わる場所だ。

取材班の車が交差点に差しかかっても、対向車が直進なのか左折なのかギリギリまでわからない。
交通量は非常に多く、交通整理をされる警察官の姿もあった。

この交差点で起きた年間19件の人身事故のうち14件が右折時に起きていて、信号の変わり目で、無理な右折による事故が多発しているという。(一般社団法人「日本損害保険協会」HPより)

また、取材中には、対向車線から来るトラックの動きが読めなかったのか、右折レーンを進む車が急ブレーキをかける場面も見られた。

100mを右折するのに8分

滋賀県大津市で車が保育園児の列に突っ込む事故が起きた交差点でも、似た状況があった。

事故があった丁字路に差しかかると、信号が青にもかかわらず右折レーンには20台、100メートル程の列ができている。
対向する直進車両の数が多く、右折車がなかなか先に進めない。信号を曲がりきるまでに、8分かかった。

事故が起きた大津市の交差点も東京・板橋区の熊野町交差点も、右折待ちの列が長く、少しでも直進車の間隔が空くと、車の隙間を縫うようにして車がが右折していた。

「前の車が右折できたから自分も大丈夫」は危険

中でも危険なのが後追い右折だ。
前の車が右折できても、自分が右折できるタイミングだとは限らない。

では、交差点の入り口に止まった車が右折し終わるまでに、どのくらいかかるのか?

都内の交差点で測ってみると、車が右折するのに要する時間は約6秒。
一方で、時速50キロで直進する車が、6秒間に進む距離はおよそ84メートル。
対向車が離れていると思っていても、あっという間に近づいてくるのだ。

右折の矢印があっても必ず確認

右折の矢印でも警戒が必要だ。

信号の矢印が点灯している間は、対向車線は赤になり、右折できる時間となるが、元千葉県警交通事故捜査官の熊谷宗徳氏は「絶対に対向車が止まってから右折するべき」と話す。
矢印が点灯する限られた時間内に曲がろうと焦ったり、油断することが事故を生みやすいという。

このように、右折する際には多くの安全確認が必要だ。
対向車の動きだけでなく、歩行者やバイクの動きなど確認すべきことはたくさんある。
熊谷氏は「安全だと思える状況がなければ右折はしてはいけない」と話す。

今回の事故で問われるガードレールの設置基準について、国土交通省は「車の速度が速い箇所」や「歩行者の交通量が多い箇所」を中心に設置しているとする。

また、滋賀県大津市の道路を管理する道路課は「ここ数年人身事故が無かったことと直線で見通しがよかったことから、
ガードレールは設置されていなかった」としている。

(「めざましテレビ」5月10日放送分より)