DNAがハードディスクに? 身近に迫る「バイオ」は次の「デジタル」だ

THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2017リポート

  • バイオテクノロジーは次世代の「デジタル」
  • 安価な研究開発ツールが普及中
  • 一般人もバイオをDIYする時代に

「バイオ」と言われても専門的すぎる印象を受けるかもしれないが、バイオ×テクノロジーの恩恵が身近なところに出始めている。

去る7月25・26日、東京(虎ノ門)にて開催された「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2017 TOKYO」。「ITとバイオの融合が導く未来」と題されたDAY1から、バイオ業界の最新事情をレポートしたい。

「バイオ」は次の「デジタル」

基調講演に登壇したMITメディアラボ所長の伊藤穰一氏は、まず最初に、メディアラボの創設者であるニコラス・ネグロポンテが提唱する「バイオ・イズ・ニュー・デジタル」という言葉を紹介した。

たとえば、1990年代に「将来すべての企業にIT戦略が必要になる」と言っても、誰も信じてくれなかったが、数十年が経ちITはすべての産業にインパクトを及ぼしている。それと同じように、近い将来すべての企業・産業でバイオが大きな影響を与えるようになるという考え方である。

にわかには実感が持てないが、続くセッション「スタートアップ文化によるバイオテクノロジー領域の活性化」に登壇した、IndieBioのRon Shigeta氏からは次々と具体的な事例が紹介された。

IndeBio…サンフランシスコに拠点を置くバイオテクノロジー領域のスタートアップに特化したアクセラレーター。過去2年半で60社以上の企業に出資。

DNAをハードディスクに

(スライド資料より)

DNAにデータを書き込みストレージとして活用する技術を開発するCATALOG Technologies。DNAはコンパクトなサイズで大量のデータを保存でき、巨大な敷地を持つデータセンターが1㎡に納まる可能性もあると言う。

(スライド資料より)

ファッション業界でもバイオは活躍しそうだ。衣服の廃棄は毎年膨大に発生しているが、MYCOWORKSは生物分解できる繊維を開発し、廃棄コストの削減が期待されている。

(スライド資料より)

また、食のジャンルでは「ファンクショナルフード」と呼ばれる食品の機能面を拡張する事例が紹介された。たとえばスライド中央のClara foodsは細胞培養により鶏に依存せず卵白を作り出す技術を研究開発している。

Ron Shigeta (ロン シゲタ - IndieBio)

こうした技術はコスト面の壁はあるものの、2020年頃に一般家庭への普及が予測されている。Ron Shigeta氏は好奇心に満ちた少年のような表情でその可能性を語った。

バイオ研究はキッチンから

バイオの研究や製品開発には特殊な設備が必要というイメージがあるが、比較的安価な研究キットも普及しつつあり、今やマンションの一室でも作業可能である。日本でも2016年に渋谷FabCafe MTRLにて気軽に参加できるバイオラボ&ハッカースペース「BioClub」が登場した。

今後、バイオテクノロジーの画期的な発明が自宅のキッチンやリビングから生まれることがあるのかもしれない。

Georg Tremmel(ゲオアグ・トレメル -「BioClub」創業者)



(執筆:editors room)