これで分かる!「テロ等準備罪」の仕組み

今週から、実質的な審議が始まる「テロ等準備罪」についてわかりやすく解説。

カテゴリ:国内

  • 組織的犯罪集団が、まだテロを起こしていなくても、現場の下見など「準備行為」をした場合は計画に関わった全員が処罰される
  • テロ計画を全く知らなくても、組織的犯罪集団のLINEのメンバーに入っていて、“既読”した場合は、警察の家宅捜索の対象になりうる
  • 政府は、オリンピックに向けてTOC条約に入らなければならないため、法整備を急いでいる

(テロ等準備罪、一番の特徴は?)
ーーそもそも、日本の法律の大前提は、起きた犯罪を処罰するということ。
これに対して、起きる前の、まだ起きていない犯罪、起きそうな犯罪を処罰する、これがテロ等準備罪。
たとえば、あるテロ組織が爆弾テロを計画したとする。
その計画に関わった誰かが、現場の下見などの「準備行為」をした場合、まだ爆弾テロを起こしていないにもかかわらず、この計画に関わった全員が処罰される、これがテロ等準備罪。

組織的犯罪集団+下見や資金調達などの準備行為=処罰対象

(普通に生活していれば、関係ないと思っていい?)
ーーテロ等準備罪には、非常に厳格な要件がつけられている。
捜査の対象は、テロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団に限られていて、単に計画を練っただけではなく、下見や資金調達などある程度具体的な準備行為に及んだ場合に限り、処罰対象になる。
こうして見ると、一般社会に関係ないように見えるが、100%そうとは言い切れない。
なぜかというと、わたしたちの身近なメールや、LINEのやり取りでも、テロ計画に合意したと見なされうる場合がある。

計画を知らなくても、LINE“既読”で、家宅捜索の対象にも

(どんなケースが考えられる?)
ーー極端なケースだが、A子さんという女性がいて、ヨガ教室に入会していたが、ヨガ教室がいつの間にか、テロ組織に変貌していた。
ある日、会員同士のLINEで、「例のイベントは予定通り、来週実施されます」というLINEが来た。
実は、この「イベント」というのは、テロを計画しているメンバー同士では、「爆弾テロ」を意味する暗号だった。
ただ、A子さんはこれを知らないため、何気なくLINEを既読にしてしまう。この場合は、どうなるのか。

A子さんは、ヨガ教室の裏の顔を知らず、テロ計画にも関与していないので、逮捕されることはないと思われる。
ただ、LINEのメンバーには入っており、実際に既読もしているので、警察の家宅捜索の対象になりうる可能性は非常に高いと思われる。知らない間に巻き込まれうる可能性があるのだ。

テロ等準備罪は、TOC条約に入る条件

(政府は、今国会で成立させるために審議をスピードアップさせていこうというように見える。なぜ、急ぐのか?)
ーー背景には、TOC条約(国際組織犯罪防止条約)というものがある。
テロなどの国際的な組織犯罪を、世界で協力して封じ込めようというもので、世界的な捜査機関がお互いに協力しよう、犯罪者の引き渡しをスムーズにしようという条約。
このTOC条約は、アメリカ、ロシアなど187の国と地域が締結しているが、日本は入れていない。
なぜかというと、TOC条約に入る条件として、テロ等準備罪などの法整備が必要とされているため。
そのため、日本政府は、オリンピックに向けて、なんとかTOC条約に入らなければならないため、法整備を急いでいる。


(執筆:editors room)