Amazonに聞く。24時間配送の実現はありえる?

特集「24時間営業の終焉と未来」第5回

カテゴリ:ビジネス

  • 百貨店のこだわりアイテムも指定の2時間便で配送する
  • Prime Nowで買い物にまつわる苦労を取り除きたい
  • 24時間配送の実現は、現時点ではハードルが高い

一部のコンビニや飲食チェーンで、24時間営業を見直す動きが出始めている。その背景にある一つが、Eコマースの台頭だ。欲しいものが当日届くサービスの存在は、多忙な日本人のライフスタイルにあって、大きな意味を持つようだ。

Amazonが2015年にスタートした「Prime Now」では、エリア指定で「1時間以内配送」を実施している。

その狙いについて、Prime Now事業部長の永妻玲子氏に聞いた。

Prime Now事業部長・永妻玲子氏

7万点の商品。百貨店のアイテムも2時間便で配送

Prime Nowで買える商品は現在、最大で約7万点。

卵や牛乳などの食材や加工品、日用品まで、実に幅広く取り揃えている。どのような戦略で商品を決めているのか?

2年前に日本でサービスを開始する際、商品の選定にあたっては先行していたアメリカやイギリスの事例なども参考にしました。また、日本でスタートしてから分かったことやお客様のニーズをふまえ、扱うべき商品を随時見直しています。たとえば、当初の予想では“超速配送”ということもあって水やお酒などは1本単位で購入する方が多いのではないかと思っていました。しかし、実際には3本くらいのまとまった単位で購入されるお客様が多くいらっしゃることが分かり、ケース売りを始めたりしています」

2017年4月からは、三越日本橋本店やココカラファイン、マツモトキヨシが提携店としてPrime Nowに出品を開始。デパートの総菜から日用雑貨まで、コンビニやスーパーとはひと味違う、豊かなラインナップを揃えた。

また、コスメやボディケアなどの製品も、コンビニをはじめ近隣のショップではなかなか手に入らないようなブランドやオーガニックのものを一部取り入れている。Prime Nowでは、流行や季節性などを加味しながら随時、ラインナップを見直しており、多様な需要に応える多彩な品揃えの実現を目指しているようだ。

買い物にまつわる苦労を取り除きたい

オンラインストアの利点は、買い物に行く時間を短縮できることだけではない。他にも、買い物にまつわるさまざまな苦労を取り除くことができるという。

「たとえば人混みが苦手な方、小さなお子さんがいらっしゃる方、何らかの事情で家にいなくてはいけないという方、みなさん、さまざまな事情を抱えています。そうした方々が、欲しいときに欲しいものを手に入れることができたり、こだわりの商品を購入することができたりすれば、暮らしが一層豊かになると思います。Prime Nowを利用するお客様にとって何かの一助になればと考えています」

12月8日から11日には、期間限定のイベントとしてAmazonの商品、サービスを体験できる「Amazon Holiday 2017 ポップアップストア」を渋谷モディ・渋谷マルイにオープンした。

「Prime Now」の体験コーナーも用意され、2時間便の配送先としてイベントスペースを指定できる試みも実施した。現時点では利用者の多くが主に自宅や勤務先などを配送先として指定するが、実際には“どこにでも届けられる”利便性の高さも示した。

期間限定で開催された「Amazon Holiday 2017 ポップアップストア」

配送時間は、日本のユーザー動向を分析して設定

Prime Nowは現在、東京・神奈川・千葉・大阪・兵庫の対象エリアに限って利用可能で、注文確定から1時間以内に届ける「1時間以内配送」、2時間ごとの受け取り枠を指定できる「2時間便」を選ぶことができる。

「『1時間以内配送』は、Prime Nowというサービス名にふさわしく、今すぐ欲しいというニーズに応えるサービスです。一方、『2時間便』は、当日と翌日の2時間の枠から選べることから、通常の時間指定の配達よりも、より細かい時間帯を選んでいただくことができます。それぞれ役割が明確に異なるサービスとなっています」

Prime Nowの利用にあたっては、年間3900円もしくは月間400円のAmazonプライム会員になる必要がある。「1時間以内配送」は別途890円の配送料がかかるが、2時間便であれば無料。合計金額2500円から注文可能となる。

なお、配送時間は朝8時から(一部のエリアでは朝6時)から深夜0時まで。この時間帯については、日本人の働き方や生活スタイルなどに鑑みて設定されている。

「日本は世界と比べても通勤時間が長く、朝早く家を出る会社員が多い。そのため配送時間は出勤前に余裕を持って受け取れるように朝8時、エリアによっては朝6時からのスタートにしています。また深夜帯の需要に合わせて、夜の時間帯は深夜0時までとしました」

Prime Nowの24時間配送、現時点では「難しい」

諸外国のPrime Nowと比較しても、配送時間は長く設定されているというが、この先24時間配送が実現すれば、その利便性はもはや他の追随を許さないものになる。しかし、そのハードルは高そうだ。

忘れてはならないのは、Prime Nowのサービスは配送会社をはじめ、多岐にわたるパートナー企業様との業務連携によって成り立つものであるということ。お客様のニーズに応えることと、パートナー企業様の状況の双方をふまえ、適切な営業時間を設定しています。そのため、配送会社に過度な負担を強いる“24時間対応”は難しいと考えています」 

裏を返せば、労働環境の問題がクリアされれば、24時間配送が実現する可能性はありそうともいえる。

アメリカではドローンによる配送の実証試験が重ねられていることは既報の通り。技術と物流のイノベーションによって、生活者のライフスタイルに合わせた配送方法を提案している。

2017年4月からは、ついに生鮮食品を最短4時間で配送するAmazonフレッシュ(月会費500円)も登場。東京、神奈川、千葉の一部地域限定だが、野菜や果物、鮮魚、精肉など1万7,000点以上の食品をはじめ、合計17万点以上の商品が揃い、ユーザーからは評価が高いようだ。

さらなる技術革新が進めば、Prime Nowだけで24時間あらゆる買い物が事足りるようになる世界がやってくるのかもしれない。


取材・文=末吉陽子/やじろべえ