“二度目の成人式”を千葉で開催。40歳になって感じるハタチとの違いとは?

特集「揺れる成人の定義」第4回

  • 40歳は人生のターニングポイント
  • 大人な部分も子どもな部分もある
  • 成人することで人生の礎ができる

「成人の日」に先駆けて、1月6日に「千葉 40歳のW(ダブル)成人式」が、千葉市民会館にて行われた。

千葉市生まれで高校卒業まで千葉市内で過ごし、2017年で40歳を迎えた南海キャンディーズ・山里亮太さんが、地元への恩返しと地域活性化の一旦を担うべく企画した。

山里さんと同じく2017年で40歳を迎えた千葉市市長の熊谷俊人さんが発起人となり、40歳を“2度目の成人式”と定義し、これまでの人生の振り返りと、これからの人生の歩み方を模索しようというものだ。

本特集では、この「W成人式」を振り返りつつ、成人から20年を迎えた人々の内側に迫りたい。

40歳がターニングポイントになる

当日、会場には約850名の人々が集まった。

はじまりは「国家斉唱」ではなく、千葉県民のたしなみとされる「なのはな体操」から。続けて熊谷さんによる挨拶があった。

「もしかすると、仕事でお世話になっている方もいらっしゃると思います。本日は楽しんでもらえたら嬉しいです」

千葉市市長・熊谷俊人さん

「仕事でお世話になっている方」という発言は、成人して間もない頃には考えられなかっただろう。それだけに20年の月日の重みを感じずにはいられない。

そして祝辞では、千葉県出身著名人によるビデオメッセージも。なかでも石原裕次郎に扮するモノマネで人気を集めるタレント・ゆうたろうさんのコメントが印象的だった。

「最近のテレビCMは、我々が聴いて懐かしいと思う曲が使われている。それは企業が“マス”の視点を我々に合わせているとも捉えられるし、つくり手の偉い人たちが我々と同じ世代になったからだとも捉えられるんですよ」

ゆうたろうさんが話すように、40歳くらいの年齢になると、キャリアではひとつの山を登り、中堅社員として次期管理職への自覚と責任を目の前にしている人も多い。また、起業や独立という“攻め”に転じることも少なくない。

その一方で、体力や気力に陰りが見えはじめるのもこの世代。家庭の安泰のために“守り”の姿勢へとフェーズを変えていく人もいる。

ある意味で40歳という年齢は、その後の人生をあらためて考えるターニングポイントでもあるわけだ。

40歳を機に成人してからの人生を振り返る人たち

では、同イベントの参加者はどのようなことを考えて40歳以降の人生を過ごそうと考えているのだろうか?

まずは“攻め”に転じようとしている会社員の田所慎也さん(仮名)に話を聞いた。

「来年には自分の店を持つ予定です」そう話す田所さん。大学卒業後に飲食業界へ進み、現場指揮を10年、店舗マネージャーを8年勤めたという。その経験を活かして独立しようというわけだ。ちなみに、新卒入社時はどのような若者だったのだろうか?

「数年間は遊び呆けていて、まったく仕事ができなかったですね。だから、そんな自分を見捨てずに育てれくれた先輩方には感謝しても足りません。いつか恩返しできればと思っています」

では、成人したての頃と今を比較して違うと感じることは?

「心は20歳のときと変わらないままなのに、体力だけは衰えています(笑)。とはいえ、若い世代に負けていられないという気持ちもあって。プライベートなことで言えば、僕はまだ独身なので、まずは結婚がしたい。愛する人を幸せにできない人間が、お客様に幸福感を与えられるわけがないと思っているので」

続けて「大人と成人の違いは、責任感の有無です」と話す田所さん。「責任感」という言葉の裏には、精神的自立や社会的自立の側面があるそうだ。毎日延々と同じ業務を繰り返す現場は、責任感が強くなければ続かない。”何のために今この仕事をしているのか”、“1ヶ月後のお店をどうしていたいか”、こうした重責を担うことが人間性を鍛え、大人への階段を登らせたという。

では、“守り”にシフトしている人はどのような視点で今後の人生を考えているのだろうか。

会社員の小泉純子さん(仮名)は、専門学校卒業後にブライダル業界に4年間勤めた末、結婚を機に時間の融通が効きやすい通信業界に転職した。

「24歳のときに結婚して転職しましたが、子育てと仕事を両立するのが大変でした。当時は子供が成人したらブライダル業界に復職してバリバリ働きたいと考えていたのですが、今はこのままでもいいかなって思うようになっています。40歳を迎えた途端に夫と一緒の時間をもっと過ごしたいと思うようになって。人間、守るものができると変わってしまうんですね」

小泉さんは「若い頃にあった野心を失ってしまうのは寂しいですが、こういう人生も悪くないですよ」と切なくも晴々しい表情で話す。ちなみに、今後の人生プランはあまり考えないようにしているという。今を楽しむことに専念したいそうだ。

また、終演後の囲み取材で、山里さんは成人後の20年を振り返った。

「20歳のときは、勢いにまかせたり、壁にぶち当たったり、今とは違う楽しさや悩みがありました。それが気づけば今や40歳。もう立派な大人です。僕の同級生でも、父になり、母になり、毎日が忙しいようで、普段会うことすら難しいんです。僕は成人式に出なかったことを後悔して、W成人式を主催しました。新成人のみなさま、今を大切にしながら楽しんでください!」

ちなみに今回のW成人式は、来年以降も続ける意志があるという。

「W成人式を来年以降も続けたいですね。じゃないと、『山里、お前同級生に会いたかっただけだろ』と言われますからね。あとは、同級生が子どもを連れてきているのを見て、自分もそろそろ結婚しないとヤバいなと。そういう意味では、まだまだ大人になりきれていない。今年こそ、幸せになりたいです」

そんな山里さんの意見に対し、熊谷さんが続ける。

20歳よりも40歳の方が、改めて自分のふるさとに気持ちが寄ってくると思います。引き続き千葉を盛り上げていきたい」と次回に向けた意気込みを表した。

成人という区切りが考えるきっかけ

結果的に“大成功”という形で閉幕したW成人式。

この場で気づいたことは、多くの人が成人をひとつの区切りにして生きていることだ。おそらく、20歳の自分と40歳の自分を比較することで見えてくるものがあるに違いない。そういう意味では、成人を定義するもっとも重要なことのひとつは、成人という区切りを迎えることで、それが人生の礎になることだろう。

もしかしたら、成人したての頃はそれに気づけないかもしれない。しかし、今回のW成人式のように何かの区切りに過去を振り返る機会があると、自分の辿ってきた道と、これから進むべき道が見えてくるのではないだろうか。



文・写真=石川優太(EditReal)
構成=村上広大(EditReal)