右折事故で奪われた幼い命!矢印信号の落とし穴…“信号ルール”はこれで良いのか?

カテゴリ:国内

  • 無理な右折が原因となった疑いが強まる滋賀県大津市の事故
  • ドライバーの視点では大型車に比べ小型車の方が遠くに感じる
  • 「矢印信号は右折するには時間が短かすぎる」との不満の声も

右折は矢印信号が出た時だけにはできないか?

無理な右折が原因となった疑いが強まる5月8日に発生した滋賀県大津市の事故。車が保育園児らの列に突っ込み園児2人が亡くなった。

Live News it!ではこのような右折車と直進車がぶつかる事故について防ぐ方法はないのか考えてみた。

例えば、交通信号が赤に変わった後に出る右矢印の青信号。信号は赤だが青い右矢印が出ているので右折が出来る矢印式信号というものだ。

通常、交差点では信号が青の場合は対向車線の信号も青。対向車が直進してくるため、右折する時には双方が信号を守っていたとしても衝突事故の危険性がある。滋賀県で2人の園児の命が奪われた事故はまさにこうした状況で起こった。

一方、右折矢印が出た時は通常、対向車線の信号も赤になり車は来ない。この時、同じ方向の横断歩道も赤になるため、右折車が歩行者をはねる事故も避けられる。

そうであれば、もう「右折」は右折矢印が出た時だけに限るといった仕組みに変えて事故を防げないものだろうか?

「小さい車は遠く感じる」右折事故を誘発する落とし穴

右折車による事故は年間1万8000件以上も発生。うち130件が死亡事故となっている。実はそこにはドライバー心理から右折事故を誘発する落とし穴が存在しているのだ。

街で聞いてみても「対向車との距離があってもすごく速かったりすると思ってない内に対向車が来たりしてヒヤってしたことがある」など右折に対する苦手意識を口にする声が多く聞かれた。

滋賀県大津市での事故現場でも「右折は難しい、気をつかう」「結構正面衝突とかやってる。スピードが緩く来ているようでも結構飛ばしている」など右折時の危険を指摘する地元住民の声が多く聞かれた。

交通心理学に詳しい、大阪大学の中井宏准教授によると今回の事故は、対向車が小型の軽自動車だったことが無理な右折を招いた一因になった可能性があるという。

大阪大学・中井宏准教授:
小さいものは遠くに見えやすい。例えばトラックと軽自動車を比べると同じ距離にあっても大きさの見え方が違うので軽自動車の方が遠くにいると見られやすい可能性がある

右折するドライバーからの視点では、トラックなどの大型車に比べ、車体の小さな軽自動車やバイクなどはまだ遠くにいると感じやすいため油断が生じる可能性が高いという。

そこで、取材スタッフの目の高さに小型カメラを装着して、前方から小柄な女性と背の高い男性がほぼ同じ速度で近付いてきた際の見え方の違いを比較する検証を行ってみた。

すると同じ速度で同じ距離に迫ったにもかかわらず小柄な女性は遠くに見え大柄な男性の方がより近くまで迫ってきたような印象を受ける。

この検証を街の人に体験してもらうと「大きい人の方が近く感じた。大きい人の方が威圧感があった。大きい人だったらよける」といった感想も。

また気になるデータもあり、実は右折事故の発生は、信号がある交差点での事故が44%と、信号のない交差点での事故の37%を上回る意外な結果となっている。

「たった9秒…」矢印信号での短い右折時間

信号機のある交差点は全国で20万8226ヵ所。そのうち約14%にあたる3万ヵ所ほどについているのがいわゆる矢印信号だ。矢印信号は右折する車が多い交差点に設置されている。

ところが、街では「前に2台くらいしかいないときでも、前の車がちょっともたつくだけでも点滅し始めて怖いので行きたくない。運転する側からすると矢印信号はちょっと短すぎるなと思う」といった不満の声も聞こえてきた。

そこで、交通量の多い東京都内の交差点で右折信号の時間を計測してみると…
青信号の時間が53秒なのに対し右折の矢印信号の時間はわずか9秒。この間に右折できた車は5台だけだった。

そもそも交通量が多いため青信号の間は、ほとんど右折できない。そのためか右折信号が赤となった後も無理矢理右折する車が後を絶たない状態となっている。

右直分離方式や時差式信号にも残る欠点

では、短い右折信号の時間を長くしたり、完全に右折と直進の信号を分けたりすることはできないのだろうか?

交通システムに詳しい日本大学 安井一彦准教授に聞いてみると…

日本大学 安井一彦准教授
右折と直進の信号を完全に分けてしまう右直分離という方法があり、事故防止に非常に効果がありますただ交通量の少ない交差点でこれをやってしまうと無駄な待ち時間が非常に出るので、現場の判断で調整してやっていくことになると思います

また全国で1万2000カ所設置されている時差式信号は、文字通りこちらが青でも時間差で対向車側だけ赤信号になるというもの。ただ対向車側の信号がわからないので本当に右折しても大丈夫なのか不安も残る。

なんとかこうした欠点を解決する信号システムはないものだろうか?

風間晋解説委員
右折車線の混雑状況を確認するセンサー技術と信号をコントロールする技術を組み合わせれば解決できるんじゃないかなと思いますね。

木村拓也キャスター
日本の技術をもってすればということですね。いずれにしても大切な命を守るために一刻も早く対策を講じる必要があると思います。

(「Live News it!」5月9日放送分より)

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