新・写真クラウド「フォトバンク」は先行サービスと何が違うのか? 富士フイルムに聞いてみた

カテゴリ:ビジネス

  • 5月9日、富士フイルムが新たな写真クラウドサービスを立ち上げる
  • AIが「写っているもの」や「場面」を自動解析し、写真を分類
  • 担当者「グーグル、アップル、アマゾンとは異なるサービス」

長かったGWも終わってしまったが、休み中などにスマホで撮った大量の写真をどうしているだろうか?

今では、何らかのクラウドサービスに保存している人が多いと思われるが、写真に特化したクラウドと言えば「Googleフォト」や、アップルの「iCloud写真」、「Amazon Photos」など、IT界の巨人が幅をきかせる激戦区だ。
こうした中、5月9日に「富士フイルム」が新たなサービスを立ち上げるという。

出典:富士フイルム

富士フイルムによる新しい写真クラウドサービスの名称は「FUJIFILM PhotoBank(以下、フォトバンク)」。
写真を保管するだけではなく、独自に開発したAIが写真の被写体や撮影されたシーンを解析
「誰が写っているのか」をはじめ、誕生日・入学式・キャンプ・お祭りなど「どんなシーンなのか」といった情報を、約1,000種類ものキーワードを元に自動的にタグ付けするので、整理や閲覧が簡単に行えるという。

出典:富士フイルム

まずは、5月9日からiOS・Androidのスマホアプリでサービスをスタートし、今年夏にはWEB版も開設予定。
さらに2020年初頭には「フォトバンク」の中に、様々な企業の製品やサービスが購入できる「マーケットプレイス」をオープンするという。
この「マーケットプレイス」では、AIが大量の写真データからユーザーの嗜好やニーズを推測し、興味関心に沿った製品やサービスを提案するそうだ。
他にも、特定の人と写真を共有する機能や、プリントした写真・フィルムをデジタルデータに変換する有料サービスを予定しているという。

AIが写真の分類を手伝うのは便利そうだが、おすすめの商品を提案するということは、広告が出まくるということなのか?そして、IT界の巨人たちの先行サービスと渡り合う勝算はどこにあるのか?
担当者に聞いてみた。

グーグル、アップル、アマゾンとは異なるサービスです

――「フォトバンク」開発のきっかけは?

スマートフォンの普及により、日常的に写真撮影を楽しまれる方が増えていますが、写真をそのまま端末に保存されていることが多く、「機種変更の際に画像が消えてしまうのではないか不安を感じている」「家族個人のスマホや、デジカメ/PCに写真が分散しているため、写真の整理が難しい」などの声を頂いています。
個人の歩んできた人生や、想いが込められている大切な写真に対し、写真と共に歩んできた富士フイルムだからこそできる「写真を安心して預け、簡単に整理でき、写真を楽しめる場を提供したい」と思い、フォトバンクを立ち上げることと致しました。


――グーグル・アップル・アマゾンなど、先行サービスと比べた優位性は?

フォトバンクでは、フィルムやプリントなどのアナログ写真、ミラーレス/スマホで撮影されたデジタル写真を問わず、写真を一元管理/簡単に整理できます。
アナログ写真のデジタルデータへの変換サービスは、フォトバンク内の「写真スキャンサービス」よりご注文いただけます。
また、当社独自のAIが自動的にタグ付けするため、写真の整理・検索を簡単に行なえることなどが特徴としてあげられます。
類似写真を纏めて一枚に表示したり、ピンボケなどの写真を非表示にしたりなど、大量の写真をスッキリと整理、快適に閲覧することが可能です。

本サービスは、大量の写真を整理したいというニーズにお応えし、更に写真を楽しんでいただくことを目的に立ち上げるものです。
そのため、例として列挙された既存のストレージサービスとは、異なるサービスになると考えております。

出典:富士フイルム

広告表示ではありません。モール型ECです

――約1,000種類のキーワード・タグってどんな言葉?AIはそれを自動で見分けるの?

あらかじめ準備しているタグはAIが自動的に判別して付与します。
個々のタグの内容については非公開としておりますが、ペットや食べ物や飲み物などでの分類も可能です。
また、タグの種類は、順次拡充していく予定です。尚、人物の判別は2019年夏頃対応を予定しております。


――「キャンプ」「お祭り」「入学式」などのシーンはどうやって見分けている?

シーンを解析する技術は、当社が長年にわたって写真プリントサービスを提供する中で、人々が残したいと考える大切な写真はどのような写真なのかを分析してきた経験やノウハウに基づき開発したものです。
本ノウハウに基づき、AIに様々なシーンを学習させることで、撮影されたシーンを見分けることを可能としました。


――マーケットプレイスでは、どうやってユーザーの嗜好を推測する?

当社は従来からAIを活用しており、その技術に加え今回新たに開発した「撮影シーンを検出する技術」「撮影傾向を分析する技術」、更に「良い写真を選別する技術」の組合せにて、お客さまの好みの傾向を類推します。
例えば、旅行を楽しむお客さまは多いと思いますが、旅行の中でも「街歩き」「自然を楽しむ」「グルメ」など、お客さまの好みの傾向をより具体的なカテゴリに分類します。

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リリースによると、例えば孫の写真をたくさん撮影しているユーザーの場合は、マーケットプレイスで3世代で楽しめる旅行プランや、子供が喜びそうな絵本を紹介すると説明している。
ということは、ブラウザを見ているときに出る広告のようなものが表示されるのか?

――マーケットプレイスとは、つまり広告を表示するの?

広告表示ではありません。
広告は、お客さまの意思に関わらず、Webサイト訪問・閲覧時に自動的に表示/配信されるものですが、本マーケットプレイスは、富士フイルムが提供するモール型EC(ネットショップ)となり、当社と提携する企業の製品やサービスを購入頂けるものです。
お客様の好みの傾向により、製品・サービスの表示順を変えたり、おすすめの商品をご提案したりと、お客さまが本当に求めていた製品やサービスを手にする機会をサポートします。


――提携した企業に個人情報などのプライバシーが漏洩することはないの?

お客さまの大切な写真データや個人情報は、高いセキュリティーの下、厳重に管理しております。
また、本サービスに預けていただいたデータを他社へ提供することはありませんので、安心してご利用頂けます。

料金設定に一部では批判的な声も…

出典:富士フイルム

フォトバンクの利用料は5GBまで無料で、25GBまでなら月190円、50GB月380円、100GB月750円…以降も容量に応じて増えていく。
一方、appleの「iCloud写真」は5GBまで無料で、50GBまでは月130円、200GBまで月400円、2TBまで月1,300円。
Googleフォトは、一定画質の写真なら無料で無制限。
Amazon Photosは、月500円の会員になれば、ビデオ視聴や通販送料無料などのサービスに加えて写真を無制限に保存できる。
富士フイルムでは「異なるサービス」と説明するが、この料金設定にネットの一部では批判的な声が上がっている。

・5GB無料の制限なら到底Googleやamazonには敵わないと思う。
・フォトのみでの後発参入により、果たして利用者を集めることができるのだろうか。
・写真からビッグデータを得るというサービス提供側のみの視点では、利用者は少ないだろう

――金額が高いという声が出ていることをどう思う?

今回アナウンスさせて頂いた料金プランは、あくまで写真クラウドサービスをご利用いただくための基本プランとしてご案内させて頂いております。
今秋から展開するプリントサービスと組み合わせたお得な料金プランなど、お客さまのニーズに基づく料金プランも検討しており、時期を見てご案内する予定です。


――富士フイルムは、8月で以前からある画像保管サービス「マイフォトボックス」を終了するが、そこに「マーケットプレイス」や「自動タグ機能」を加えることはできなかった?

「マイフォトボックス」サービスは2009年7月から自社サーバーにて提供させて頂いておりましたが、システムの老朽化に伴いクラウドベースのサービスへ移行することとしました。
また、今回ご提案するアナログからデジタルまでの写真の一元管理、写真の整理・検索をアシストするAIの搭載に加え、スマホに最適化した機能や操作性の実現や各種サービスの継続的な拡充を検討した結果、サービスを刷新・展開させて頂くこととしました。
マイフォトボックスをご利用のお客さまにはご不便をお掛けしますが、ご理解頂ければと存じます。

「フォトバンク」のAIは、祭りや花見などといった日本ならではのシーンも自動的に分類するので当初サービスを展開するのは日本のみだという。
世界各地の写真文化に合わせたうえで海外展開することも計画しているが、時期は未定としている。

「フォトバンク」の特徴は、大量の写真を整理したり、簡単に検索できたりと、さらに写真を楽しむためのツールで先行サービスとは違うものだという。そして、写真から好みの傾向を類推してモール型ECへつなげるという日本発の新たなビジネスモデルは支持されるのか、今後の行方を見守りたい。


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