人気急騰“令和おじさん”の新たな動き
まもなく新元号「令和」の時代がスタートする。列島各地で“令和ブーム”に沸く中、あの人の人気も急上昇が続いている。そう、菅義偉官房長官だ、そして菅氏は、新時代とともに平成の時代にはなかった新たな動きを見せることになる。
4月1日、新元号「令和」を発表した菅官房長官。その発表以降、テレビや新聞、雑誌、ネット上でその姿を見ない日はないほど、その一挙手一投足に視線が注がれ、“菅ブーム”が続いている。
その人気を象徴していたのが、6日、北海道知事選での街頭応援だった。菅氏がかけつけた札幌駅前では老若男女がスマホやカメラを菅氏に向け、時折、黄色い声さえ飛ぶ。演説後の街頭ではもみくちゃにされ、警備上心配する声が出るほどだった。
菅長官本人は世間で“令和おじさん“と呼ばれることに「ピンと来ていない」と話しているが、その爆発的な人気は菅長官がこれから目指す“何か“を後押しすることなるのは間違いないだろう。
官房長官在任期間が憲政史上最長の2300日超となった菅長官は、これまで赤坂迎賓館の通年開放や外国人労働者の受け入れ拡大、携帯電話料金の値下げなど国民の生活に身近な政策も主導してきた。
最近では、今年1兆円の目標を掲げる農林水産物や食品の輸出拡大に向けて、新たに陣頭指揮を執るなど、あらゆる政策に加えて、霞が関の人事権を掌握し、国会運営に向けた調整にも手腕を振るう。影響力はここにきて、さらに拡大しているのだ。
ポスト安倍の有力候補に急浮上
その菅長官は現在70歳と安倍首相より6歳年上で、政治家としては高齢の部類に入る。しかし今その70歳が、令和効果も後押しし“ポスト安倍”に急浮上し注目されている。
自民党の二階幹事長が今月、月刊誌のインタビューで“ポスト安倍“の候補として菅長官の名前を挙げたことに加えて、自民党岸田派名誉会長の古賀誠元幹事長も次期総理候補の一人として菅長官の名前を挙げた。、4月1日の令和発表以降、こうした党派閥の重鎮からの期待の声に加えて、党内の“ポスト安倍“候補たちの決め手不足も”菅総理待望論”を後押ししている
当の菅長官本人は「全く考えておりません」と完全否定を繰り返すが、実は密かに総理の座を狙っているのではないかと憶測を呼ぶような予定が5月に控えている。官房長官として異例の“外遊デビュー”だ。
米政府も大注目 異例中の異例の外交デビュー
菅長官は5月9日から12日までアメリカ・ワシントンとニューヨークを訪問することで調整が進められているのだ。首相官邸の危機管理を担う官房長官の外遊はどれほど異例なのか。
平成だけを見ても
・五十嵐広三官房長官 1994年10月29日~30日 韓国
・野坂浩賢官房長官 1995年9月3日~5日 中国
・福田康夫官房長官 2003年8月9日~11日 中国
・菅官房長官 2015年10月29日~30日 グアム
と過去に外遊した例は4件にとどまっているのだ。しかも菅長官は今回4日間、日本を離れることに加え、同盟国のアメリカ本土へ、しかもホワイトハウスに足を運ぶこと自体、異例中の異例といえる。
五十嵐氏と野坂氏は社会党の村山首相当時の官房長官であり自民党政権と同列に扱えないが、小泉内閣の官房長官だった福田康夫氏は比較的長期にわたった在任中に中国を訪問し、そうした外交力も一つの武器に、後に総理の座に上り詰めている。
「SUGAに会いたい」
米政府関係者によると、今回、菅長官が訪米を模索しているという情報を聞いたポンぺオ国務長官は「訪米するなら会いたい」と菅長官側に面会を申し入れてきたいという。
菅長官の訪米では、そのポンぺオ国務長官に加えて、ペンス副大統領やシャナハン国防長官代行などとの会談も予定されていて、担当する拉致問題の解決に向けた日米の連携強化などが確認される見通しだ。
菅長官の訪米について米政府関係者は「当然ながら次の総理候補として名前が挙がっていることは承知している。ホワイトハウスはそれを踏まえた対応になるだろう(外務省関係者談)」と語っている。米側としても、官房長官としてだけではなく、その先も見据えての会談になりそうだ。
さらにニューヨークでは、国連本部の会合で日本の拉致問題の現状を説明するほか、経済界のオピニオンリーダーたちとも意見交換が予定されて、アベノミクスの成果を説明する予定だ。
異例中の異例の訪米でアメリカの政財界のトップと会談する菅長官の存在感が一層、増すことは間違いなく、永田町だけではなく、世界が注目する“令和おじさん”外交となりそうだ。
(フジテレビ政治部 首相官邸担当 千田淳一)
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