平成の間に変わったステータス !「モノを買う」より「仲間たちと共感したい」若者たち

カテゴリ:暮らし

  • ブログの影響力が強まり、“読者モデル”が憧れの対象に
  • 「自分に近しい一般人」を求め、SNSなどで仲間たちと共感
  • モノの所有も変化。すぐ手に入れて「いち早く気軽に楽しむ」

平成の時代で消費者は大きく変容した。

1989年、バブル経済と共に始まった平成は、消費意欲が旺盛な若者が時代を牽引していた。30年経った今、「若者離れ」という言葉もあるように、今の若者は車も買わないし、酒も飲まない。大人たちはモノを買わない象徴として若者を見るようになっている。
 
しかし、若者たちが実際にモノを買わなくなっているのではない。バブル世代の大人たちが考える「消費」をしなくなっただけである。今回は、調査会社でプランニングディレクターをつとめる私が、若者たちのステイタスと消費の変化についてまとめてみたい。

時代と共に移り変わる“憧れ” 

バブル真っ只中の時代は、高級車に乗っていることや有名ブランドのファッションを身にまとっていることがステータスだった。

そうした消費行動に影響を与えたのは、テレビや雑誌などのマスメディア。トレンディードラマ、女子大生や高校生向けに「〇〇系」などとセグメントされた雑誌が流行を発信し、カルチャーを生み出してきた。

ところが、インターネット時代に入り、ブログなどの影響力が強くなってきた。2004(平成16)年には「Amebaブログ」が誕生。

様々な雑誌で、モデルをオーディションして一般人を巻き込み、読者モデルという形で登場させた。そして、次第に読者モデルは「インフルエンサー」となっていく。インフルエンサーに憧れる若者たちは、彼らがブログで紹介する愛用品などを買うようになった。

例えば、読者モデルとして、若い女性から絶大な人気を誇った益若つばささんは、身につけた服やアイテムがあっという間に売れてしまうその経済効果から、「100億円ギャル」とも呼ばれた。この頃の若者たちにとっては、こうして憧れのロールモデルに近づくことがステイタスだった。

“憧れ”がもっと身近に

そうした流れを加速したのが、「スマートフォン」と「SNS」の登場だ。InstagramやYouTubeが若者の身近なメディアとなり、若者たちが「こうなりたい」と憧れる対象も、さらにリアリティーのあるものへ変化した。

芸能人などの著名な人ではなく、趣味や自らの好奇心を発信する一般人の影響力が大きくなったのだ。

2017年のSNSに関する活用についての調査によると、若年層の特徴として、日常生活の情報源には「一般人」を重視している。どういう一般人かというと、「自分のプロフィールに近い」、「そのジャンルで有名な人」といったように、「共感できる人」である。
 
背伸びをして芸能人やモデルの真似をしても、日常生活の空気感では浮いてしまう。それより、共感する身近な存在を参考にして、自分自身の楽しさを創ったほうがいい。
 
SNSによって様々な生活者の考えや行動が可視化される時代となった今、若者たちは価値観を共有できる仲間同士で共感しあうことをより好むようになった。結果として、彼らのステイタスは「ロールモデルに近づくこと」から、自分にとって本当に良いモノや大切なコトを見極めて、コミュニティで価値観を共有し、「共感を得られること」自体へと変わりつつある。

ステータスの変化により、モノの所有に関する意識にも変化が訪れている。一時期は、モノを所有した体験やライフシーンをSNSで発信する、いわゆる「意識の高さ」が注目されていた。しかし、今では「インスタ映え」という言葉ですら一般化し、あざとい行為は嫌われるようになった。それより気になったモノはスマホで即手に入れて、「いち早く気軽に楽しむ」といった行動が習慣化している。シェアリングサービスやレンタルサービスの流行も、こうした行動の現れと言えるだろう。
 
こうした行動から導き出されるのは、モノを所有するより活用することで、楽しく豊かな自分たちの生活を創っていこうとする若者たちの姿である。そこには、SNSでのフォロワーや「いいね!」の数も気にはなるが、数より質を大切にしようとしていることが見えてくる。
 
ポスト平成時代は、お金とモノを追い求めてきた時代、こうあるべきという常識に従ってきた時代から、「自らの価値観でモノやコトを仲間と共有して、一緒に楽しいことを創り上げる時代」である。多様な価値観が共生し、新たなステータスが生まれる社会が誕生することを期待したい。

堀 好伸(ほりよしのぶ)
株式会社クロス・マーケティンググループ プランニングディレクター 
著書に「若者はなぜモノを買わないのか 『シミュレーション消費』という落とし穴 」(青春出版)

「若者はなぜモノを買わないのか 『シミュレーション消費』という落とし穴 」

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