目玉はD-51

2018年9月の地震で甚大な被害を受けた北海道の安平町。その安平町に4月19日、新たな「道の駅」が誕生した。復興のシンボルになると期待される施設には、鉄道ファンにはたまらない資料が展示されている。

2006年に追分町と早来町が合併して生まれた「安平町」(あびらちょう)。
自然豊かで、ディープインパクトをはじめとした数多くの競走馬を生んだ町としても知られている。4月19日にオープンを迎えたのが、北海道で124番目、平成最後に認定された道の駅「あびらD51(デゴイチ)ステーション」。
2018年の震災を乗り越えて今回、完成にこぎつけた。 

今回の道の駅のオープンを地元の安平町民は心待ちにしていた…

安平町民:
通るたびにワクワクしていたので、すごく楽しみにしてきょう来ました…道の駅の誕生は町民にとって、すごい励みになるんじゃないですか…

 
 
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2018年、突然街を襲った震災。今回の道の駅オープンに向けての苦労を、町の担当者はこう語る。

安平町地域推進課 岡康弘さん:
震災があったので準備作業も遅れがちになったのものですから、そこからが長かったですね…。
ここを契機に復興に向けて、町民みんな元気です、というのをお届けしたい 

 
 

復興のシンボルにもなっていく道の駅。その外観のモチーフは鉄道の駅舎だ。 

駅舎をモチーフにした道の駅が誕生!
駅舎をモチーフにした道の駅が誕生!

日本で最後のSL運行が行われた町

明治時代に室蘭本線が開通して以来、夕張の炭鉱から石炭を運ぶ北海道でも鉄道の重要拠点だった追分地区。
 
 安平町地域推進課 岡康弘さん:
もともと鉄道資料を保管できる場所を作ろうというのが「道の駅」のコンセプト

鉄道の重要拠点だった追分地区(安平町提供)
鉄道の重要拠点だった追分地区(安平町提供)

安平町は昭和50年に日本で最後のSL運行が行われた町、住民の生活にも鉄道が深く関わっていた。 
鉄道とつながりの深い歴史にちなんで、道の駅の名前の由来にもなった蒸気機関車D51(でぃーごじゅういち)、通称「デゴイチ」が、そして隣の線路にはキハ183系が6月中旬から展示される予定だ。

 
 

そのほかにも鉄道ファン必見の当時の懐かしい鉄道にちなんだ品々が展示される。

貴重な資料が展示されている。
貴重な資料が展示されている。

特産品も盛りだくさん!

ゴールデンウィーク期間中は記念イベントを開催。
2018年の震災で大きな被害を受けた安平・厚真・むかわ・平取の4町の観光協会や、近隣のキッチンカーが集結し、「ししゃもラーメン」や「厚岸の海鮮」など、各地の美味しいグルメを販売している。 

各地のグルメも販売。
各地のグルメも販売。

そして道の駅の中では農産物の直売や特産品・ベーカリーコーナーなど、ここでしか食べられない料理などもたくさん販売される。

焼きたてパンを販売するベーカリーでは、地元の食材を使ったパンを中心に、約40種類から毎日並ぶ。
名物になりそうなパン「D51こしあんぱん」(150円)を買い求めるお客さんでさっそく賑わっている。 

名物になりそうな「D51 こしあんぱん」
名物になりそうな「D51 こしあんぱん」


その隣には、町内外の特産品を集めたコーナーも…。 
海産物や地元で作られた加工品などが所狭しと並んでいる。 目を引くのが「カチョカバロ」と、いう名前の不思議な形をしたチーズ。

安平町はチーズとの関わりも深い。
安平町はチーズとの関わりも深い。

実は安平町は、チーズとの関わりが深い町だという。

安平町地域推進課 岡康弘さん:
日本で初めてチーズの専門工場ができたのが安平町。そのチーズ作りのイズム(哲学)が継承され、今もおいしいチーズが生産されています 。

ほかにも、道の駅を訪れたらぜひ、食べたいのが「ソフトクリーム」。
特産品の追分カンロの果汁を使った、あびらカンロソフト(380円)を楽しむことができる。味は「ほぼメロン」でとてもおいしいと評判のようだ。

ソフトクリームも、特産品「追分カンロ」を使用。
ソフトクリームも、特産品「追分カンロ」を使用。

道の駅にかける農家の思い 

道の駅といえば、農産物の直売所が魅力の一つ。
こちらの道の駅では通称「ベジステ」と呼ばれ地元の安平町や近隣市町の生産者が、朝獲れ野菜や加工品を販売しているコーナーが設置されている。
 
 この日、中道農場の中道幸夫さんはジャガイモを出品していた。
 
中道幸夫さん:
地震の時は、すごい揺れでした…。まだ仮設住宅に入っている人たちもいますので、今年は復興の年として頑張っていきたいと思ってます。

中道さんは三代にわたり、安平町で農業を営んできた。
中道さんは三代にわたり、安平町で農業を営んできた。

畑作だけでなく畜産も行っていて、牛のフンからできた堆肥を使って野菜や麦といった穀物を育て、絞りカスや殻を家畜の飼育に利用する「循環型農業」を実践している。

中道幸夫さん:
安平町は昔から酪農・畜産の町でもありましたし、水田や畑もあったり、ここは何でも穫れるというか、何でもできる町。
集約的な農業を目指している人たちも新規で入ってきていますし、高付加価値のものを道の駅で売って安平町をPRできればいいと思っています。

さらに中道さんは、安平町の観光名所にもなっている菜の花畑も育てている。見ごろは、サクラの花が散ったころの5月下旬とのこと。

あと1か月ほどで、このような菜の花畑が見られる。(安平町提供)
あと1か月ほどで、このような菜の花畑が見られる。(安平町提供)

中道幸夫さん:
菜種油を作るためにやっているんですけど、畑一面が真っ黄色になってもう埋め尽くされるぐらい。背丈ぐらいまで伸びますので、見たらびっくりするような畑になる…

これからの季節、さらに見どころが増える安平町。
オープンした道の駅は、観光客だけではなく、復興を目指す町民の交流の場としても期待されている。

(UHB北海道文化放送)

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