「ストレスで胃が痛い」は、ちょっと違う…内科医が教える“不調“のホントの原因

カテゴリ:暮らし

  • 胃の痛みの原因とストレスはイコールではない
  • 胃腸は“辛抱強い臓器”…病院へ行くタイミングは?
  • 胃腸を強くするためにできること

「ストレスで胃がキリキリする」

よく、こんなことを言ってしまいがちだが、実は古代ギリシアの時代から「ストレスで胃が痛む」と言われていたという。現代の私たちも胃の辺りを押さえながらそんなことを言うことがあるが、実はその痛みの原因とストレスはイコールではない。

では、痛みの原因は何なのか?私たちの体の中にある消化器はどんな組織なのか、胃や小腸、大腸の働きについてなどを記した『胃腸を最速で強くする 体内の管から考える日本人の健康』(幻冬舎新書)の著者であり、内科医、産業医を務める奥田昌子医師に話を聞いた。

ストレスが与える消化器への影響 

ストレスがあると緊張感が生まれ、勉強が捗ったり、仕事ができたりとストレスは悪い面ばかりではないが、過度なストレスを受けると人の消化器の働きは悪くなり、そして体の不調へとつながっていくという。

「ストレスが続くと、いろいろなホルモンが出たり、自律神経のバランスが乱れたりして、胃腸の働きに問題が起こります。ストレスのもとをできるだけ取り除くように努めることが大切ですが、自律神経が乱れる大きな原因にはもう一つ、“不規則な生活習慣”があります」

産業医もしている奥田医師の元へ「ストレスで胃が痛い」とやってくるビジネスパーソンも多いという。しかし、「お酒やタバコ、食べ過ぎが原因だと思い至ることが多く、少し話を聞くだけで、胃の痛みの原因はたいていわかります」とした。

胃に不調を感じている人は生活習慣が乱れていることも多く、まずは、生活習慣を整える必要があるという。

「起きる時間と寝る時間をできるだけ毎日、揃えてください。生活リズムができ、決まった時間になると交感神経と副交感神経が自動的に切り替わるようになり、2つの神経がバランスよく働きます。
また、起きている間は有酸素運動を心掛け、毎晩お風呂でぬるめのお湯にゆっくりつかるのも有効です。ストレスによって交感神経の働きが過剰になると、胃腸の粘膜への血液の流れが悪くなるので、そういうときは温かいものを飲むと血行がよくなり、胃の不快感が和らぐ可能性があります」と話した。

じつは、ストレスが原因で胃潰瘍や十二指腸潰瘍になることはまれで、ストレスが溜まることで潰瘍の症状が悪化する。そう、「ストレスで胃が痛い」と思うその痛みは、ストレスそのものによるものでなく、すでに胃などが弱っていたり、何かしらの病気になっているところにストレスが重なって起こる痛みなのだ。

もちろん、痛みが続いていれば病院へ行く必要があり、強いストレスを感じている人は、病院での治療に加えて、ストレスの原因を取り除いたり、生活習慣を整えることで、胃腸の調子を改善し、強い胃腸になることができる。 

胃腸は“辛抱強い臓器”なので注意

だが、意外と胃腸の痛みは軽度な痛みであれば大丈夫だろう…とすぐに受診しなければいけないと思う人も少ないだろう。

「“一晩寝れば治る”と思っている人は多いかもしれないですね」としつつ、奥田医師は「胃腸は“辛抱強い臓器”なんです。なぜかというと、胃腸は私たちの体の中でとても重要な役割を担っています。生命の維持に支障が出ないよう最後の最後まで自分の役割を果たそうとするんです。そのため、本当の胃腸の調子を一般の方が判断するのは難しいものです」

忙しい毎日の中、少しの痛みや違和感で病院に行くことは難しい。「痛み」を感じたら、どんなタイミングで病院へと行けばいいのだろうか。

「どんな症状でも、1ヶ月続いたら病院に行くことをおすすめします。市販の胃腸薬を飲む場合は、飲み始めて2週間経ってもスッキリしなければ、受診してください。市販の薬が合っていないか、その薬では手に負えるような状態ではないということが考えられます」

そういう意味で、胃腸は“健康のバロメーター”と言うことができるだろう。

「胃腸は独立して存在しているのではなく、体の他の組織や心とも結びついています。ちょっとしたボタンの掛け違いで、胃腸の不調が全身の不調を招くことがあります。また、胃腸は全身の状態を映す鏡でもあるので、胃腸の調子がどこか優れない時は、心を含め、どこか他に原因が隠れている可能性も考えてください」

春は気候だけでなく、仕事などで環境の変化を受けやすい季節。歓迎会などで飲み過ぎた、食べ過ぎた…なんてこともあって、胃腸へ負担を掛けていることがあるかもしれない。春は新しいことを始めるには良い季節であるからこそ、今から生活習慣を見直し、自身の胃腸、健康と向き合ってはいかがだろう。


奥田昌子
内科医。大手化学メーカー産業医も務める。京都大学大学院医学研究科修了。京都大学博士(医学)。『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎新書)や、『欧米人とはこんなに違った 日本の「体質」』(講談社ブルーバックス)、『実はこんなに間違っていた!日本人の健康法』(大和書房)、『「日本人の体質』研究でわかった 長寿の習慣』(青春新書インテリジェンス)などの著書がある。

『胃腸を最速で強くする 体内の管から考える日本人の健康』(幻冬舎新書)

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