英語力調査で高校1位は「福井県」、中学1位は「さいたま市」…秘訣を聞いた

カテゴリ:国内

  • 文部科学省が平成30年度の「英語教育実施状況調査」の結果を公表
  • 全国平均では、政府が目標とする水準には達していない
  • 中学1位はさいたま市、高校1位は福井県…それぞれ理由を聞いた

目標とする50%は達成できず

文部科学省は16日、全国の公立中高の生徒の英語力を調べた平成30年度の「英語教育実施状況調査」の結果を公表し、政府が目標とする水準に達した中高生は増加傾向にあるものの、目標とする50%には達しなかったことを明らかにした。(調査対象:全国の公立中学校9374校と公立高校3354校)

調査結果によると、英検3級相当以上(CEFR A1レベル)を達成している中学生は前年度より1.9ポイント増の42.6%英検準2級相当以上(CEFR A2レベル)を達成している高校生は0.9ポイント増の40.2%でいずれも上昇傾向にはある。

2020年4月から、小学校では新学習指導要領が全面実施され、英語が小学校3年生から必修科目になるなど、グローバル化が進む中で英語力の必要性は高まっている。
今回の結果についてまずは文部科学省に聞いた。

出典:文部科学省

都道府県で差がある

ーー今回の英検3級相当以上を達成している中学生が42.6%と英検準2級相当以上を達成している高校生が40.2%という数字の受け止めは?

前年度から増加している一方、目標としては50%に届いていないのが現実。都道府県の中で差があり達成できている所の取り組みを吸収してどう普及させていけるかだと考えています。


ーー文科省としてはどのような努力をしてきた?

外部講師が必要な場合は予算支援をしてきました。また、各都道府県に英語の教育プランを考えてもらい目標を設定してもらっていて、各都道府県で設定したプランを取りまとめ公表してきました。


ーー各都道府県に求めることは?

調査で何番になったとかではなく、どこに課題があるのかを見極めてもらいたいです。そのために文部科学省としては情報を集めて支援していきます。


ーー目標の50%を達成するために今後何をしていくべきか?

各都道府県が抱える課題の支援であると考えています。各都道府県で抱える課題は異なるので、授業における改善点を動画にして伝えたり、外国語指導助手(ALT)の活用事例を普及させたりしているので教育事例や改善点を各都道府県に周知させていきたいです。


ーー数字として50%を達成した後、何を実現していきたい ?

数字としては50%を目標にしていますが50%がゴールというわけではなく、単にテストの点数を上げるというものではなく、教育は1人1人のものであるので、さまざまな進路に応じて英語を学んで何をするかを生徒達に考えていってもらいたいです。

中学で1位のさいたま市に聞いた

今回、中学生の調査では、都道府県と政令指定都市別の結果を公表したが、最も高かったのはさいたま市の75.5%で2位に10ポイント以上の差をつけてダントツだった。

何か理由はあるのか、さいたま市の担当者に聞いた。


ーー中学生の英語力がさいたま市が1位の75.5%であるが要因は何だと考えているか?

要因は3点あると考えています。
1点目はさいたま市では平成28年度から全ての市立小中学校で小学1年から英語を学ぶ独自の「グローバルスタディ」を実施しています。「グローバルスタディ」とは読む、聞く、書く、話すの4技能をバランス良く身につけ、コミュニケーション能力を身に付ける授業内容になっています。

2点目は英語の授業時間です。学習指導要領では中学の英語の授業は年140時間とされていますが、さいたま市では年157時間を英語の授業に充てています。
3点目は昨年度、中学では生徒の英語力を正確に把握するために効果測定を実施しました。


ーー英語教育では何を重視しているのか?

読む、聞く、書く、話すの4技能をバランス良く身につけることができるよう重視しています。


ーーさいたま市の今後の目標は?

今後は生徒達の英語力を正確に把握し生徒達の英語力改善に努めて世界に活躍できる人材を育てていきたいと考えています。


さいたま市では小学1年から独自のプログラムを実施し、中学校の英語の授業時間も多くとるなど、英語力の強化に力を入れていて、その取り組みが実を結んでいるようだった。

高校では福井県が1位

高校生の調査では都道府県別に結果を公表していて、最も高かったのは56.0%の福井県だった。
ちなみに、2位は富山県54.8%、3位は秋田県53.3%、最下位は宮城県で31.1%だった。
福井県の担当者に英語教育の取り組みについて聞いた。

ーー福井県の英語力が都道府県別で1位だったが何が要因だと思うか?

福井県では中学、高校の英語の授業はコミュニケーション主体の授業を行っていてその効果であると考えています。ペアで英語で意見交換したり、ディベートを行ったりして自分の考えを英語で伝える授業を行っています。


ーー英語教育では何を重視しているのか?

コミュニケーション主体の授業で英語で話すこと、自分の考えを伝えるようにしています。また、各学校で外国語指導助手(ALT)を雇用して英語で話す機会を増やすようにしています。


ーー今後どのような英語教育を目指していきたいか?

今やっている授業はコミュニケーション主体の授業を続けていくことです。今回の1位という順位に奢ることなくこれまでやってきたことを積み重ねていきたいです。

福井県は中学でも2位の61.2%と好結果で、文部科学省は「英語を使う機会を増やすなど、当たり前のことを当たり前にやっている。県が目標を持って、そして結果を出している。今回良くなかった他の自治体も福井に学ぶべきヒントがある」と話す。

中学・高校で今回1位になったさいたま市、福井県ともに、生徒が主体的に授業に参加できる仕組みを取り入れていた。まだ、全国平均では政府が目標とする水準には達していないが、こういった成果をあげている取り組みを参考にして、世界で活躍できる人材の育成へとつなげてほしい。

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