いかなる訴訟でも日本に負けたくない韓国 WTO判断に透けて見える本音

カテゴリ:ワールド

  • WTOが「輸入規制は妥当」とする裁定を下した
  • 韓国はいかなる国際訴訟でも日本には負けたくない
  • 韓国は貿易の不当性ではなく、国民の安全性への不安を強調

被災地の復興にブレーキ

WTO

韓国の貿易政策による世界貿易機関(WTO)の裁定は、東日本大震災の被災地の復興にブレーキをかけた。

11日、WTOの紛争を処理する上級委員会は、韓国が、東京電力福島第1原発事故後、放射性物質の流出を理由に、福島県をはじめとした8県産水産物の輸入禁止措置を妥当だとする裁定を下した。東北地方沖の水産物の安全性を実感している日本国民にとっては、腑に落ちない裁定である。

昨年2月、「1審にあたる紛争処理小委員会は、韓国の規制が必要以上に貿易制限的で不当な差別」であるとして、日本の主張する安全性を認め韓国に是正を勧告していた。東北地方の人々は、風評被害から立ち直る希望を感じたことだろう。しかし、現在の韓国の文在寅政権では、いかなる国際訴訟においても日本に負けることは許されない。韓国政府は、1審を覆す理論武装とロビー活動を進めていたようだ。

貿易の不当性より国民の安全性を強調した韓国

福島県産の水産物

韓国政府は、「WTOでは食の安全が科学的に十分に立証されていない場合には、貿易規制を認めている」ことを理由に「日本はサンプル検査の実測値だけで安全性を主張している」ので、原発事故の処理が完結していない以上、未だ科学的に食の安全が完全に保証されていないと主張した。

韓国は、WTOの規制の対象になる不当な貿易制限ではなく、国民の安全を優先した措置であるとしている。WTOの制度からいうと「まだ、韓国が科学的に安心できない」としているので、1審が裁定した「必要以上に貿易制限的で不当な差別」に相当しないと判断したのだ。

残る23の国や地域への影響

日本国内においては、福島第一原発事故による影響が今も続いているという報道がされていることも、WTOの裁定に影響を与えたことだろう。日本は、原発の影響を払しょくするイメージ戦略を完成していないのだ。

韓国のほかにも、中国、台湾、シンガポールなど23の国・地域が、福島県産などの水産物の輸入を制限している。今回のWTOの裁定は、それらの国々の輸出禁止解除措置に影響を与えることだろう。

韓国の李洙勲駐日大使(右)に対し二国間協議を呼び掛ける河野外務大臣(左)

日本政府は、今後、台湾など日本の主張に耳を傾けてくれる地域や国々に、理解を得る最大限の努力をすべきである。そのためには、水産物への影響を否定するデータのみならず科学的理論武装を強化するとともに、安全性を印象付ける広報戦略も必要である。

矛盾だらけの国、韓国

WTOの結果について会見する韓国の政府担当者

しかし、韓国は矛盾だらけの国である。多くの韓国国民は、現実的に東北沖の水産物が安全であることを理解しているようだ。日本に旅行する韓国人観光客は増加しており、彼らは三陸沖で取れた水産物も千葉県の港に水揚げされたものも食しているのだ。

【執筆:海洋政治学者 山田吉彦】
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