出版不況を救えるか…「本屋大賞」に選ばれた『そして、バトンは渡された』への期待

カテゴリ:国内

  • 全国の書店員が「今、一番売りたい本」に選んだ小説は『そして、バトンは渡された』
  • 人生で7回も親が変わりながらも、親子愛を育み成長していく女子高生の物語
  • 出版業界のピンチを救う「本屋大賞」…映画化でミリオンセラーになった作品も

本屋大賞は「そして、バトンは渡された」

瀬尾まいこさん原作の小説「そして、バトンは渡された」

逆風の出版業界にあって、経済効果抜群のイベント「本屋大賞」が4月9日発表された。

全国の書店員が「今、一番売りたい本」として大賞に選んだのは、瀬尾まいこさんの小説「そして、バトンは渡された」

この小説は、人生で7回も親が変わりながらも、それぞれ、互いに親子愛を育みながら成長していく女子高生の物語だ。

本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんは…

瀬尾まいこ
愛情を注がれることは、すごく幸せなことなんですけれども、愛情を注ぐあてがあることは、もっとはるかに幸せなんだと、あらためて感じた

瀬尾まいこさん

9日の本屋大賞の発表にあわせ、街の書店では、すでにノミネート10冊を並べた特設コーナーが作られていたが、大賞が発表されるとノミネート作品は全て受賞作に並べ替えられた。

受賞作に並べ替えられる棚

2018年の大賞作品は受賞後2倍以上の発行部数に

特設コーナーに立ち寄った客は
本屋さんが選ぶということは、面白いのかなと思う
難しくない本が多い。時代の感じもすごく反映されているのが多い
と話していた。

本が売れない「出版不況」と呼ばれる業界にとって、本屋大賞の存在とはどんなものなのだろうか?

紀伊國屋書店新宿本店 久宗寛和さん:
2018年の場合は、毎週のように追加した分が入荷してきていたので、倉庫の山盛りになっている本がどんどん低くなっていく感じだった

2018年の大賞受賞作、辻村深月さん原作の「かがみの孤城」は、大賞受賞前の発行部数は20万部だったが、受賞後は55万部と、2倍以上の発行部数となった。

辻村深月さん原作の「かがみの孤城」

映画化で110万部突破のミリオンセラーになった作品も

また、受賞作がドラマや映画化された場合、その波及効果はさらに広がるケースも…

例えば2016年の本屋大賞受賞の「羊と鋼の森」は映画化決定後に文庫本も発売。すると、映画化による話題性もあって単行本と文庫は、現在あわせて110万部突破のミリオンセラーになっているという。

今や、ピンチの出版業界を救う存在ともなった本屋大賞。

本屋大賞実行委員会 浜本茂理事長
わりと一般的なドラマのある小説が選ばれているので、そういう意味では、広く読まれるきっかけになる。 映画など映像化というメリットは、本とかけて2になるんじゃなくて、4にも5にもなっている

「本屋大賞」はほかの文学賞受賞作品よりも売れる?

Live News αでは働く方たちが本選びの参考にしているのは何なのか街で聞いてみると…

文芸賞の作品で選ぶ人(男性)
芥川賞とか話題性を気にして読んじゃいます。何万部突破とか、みんな読んでいるなら自分も読んでみようかなみたいな

ネットのレビュー(口コミ)で選ぶ人(女性)
(SNSで)タグ付けとかで探すと本好きな人がいっぱい出てくるので、ネタバレを読まずに内容を軽く知れたり画像とかが結構かわいいので(本を)手に取った時のイメージがわきやすい

書店員の手書きポップで選ぶ人(男性)
客観視点で多くの人が好むようなものを選んでくれている気がするので、ハズレはないかなという感じ

書店員の手書きポップで選ぶ人(女性)
「誰々さんが勧めた」とか好きです。気になる憧れの人とか芸能人とかが読んでいたら、きっと面白いんだろうなと自分の中で確証されるので

ネットのレビュー(口コミ)で選ぶ人(男性)
口コミの中で「すごく感銘を受けた」とか、そういうのに対してなんとなく興味がわく。やっぱり損したくないじゃないですか。なのでそこを気にしつつ買うというのはありますね


三田友梨佳アナウンサー:
ちなみに私は口コミを参考にすることが多いんですけれど、本屋大賞の作品ですと、他の有名文学賞の作品よりも売れるようなケースもあるようですね。一体なぜなんでしょうか?

(株)キャスター 石倉秀明取締役COO
書店員さんは本のことをたくさん知っているということが前提にあるので、その人達がまとめているキュレーションの価値が高くなっているということだと思うんです。
例えばインターネットで買い物をするときに『おすすめ』というのが一般的になっているが、便利な一方で、自分の今までの行動や興味からしかおすすめされなかったりするので、新しい発見、出会いはなかなかしにくいんですよね。
新しい発見に偶然出会うために、目利きがある人たちがまとめてくれるキュレーションの価値が見直されているというのは思います

石倉秀明氏

三田友梨佳アナウンサー:
「そして、バトンは渡された」私も手に取ってみたんですが、文章に温かみがあって、作者の瀬尾さんの人柄があふれているんだろうなと思いました

(「Live News α」4月9日 放送分)

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