ゴーン容疑者の「反論動画」で語った“陰謀”の中身(全文)

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  • 私にかけられている全ての嫌疑について、"私は無実だ"
  • ”今起きていることは『陰謀』だ”
  • ”日産の数名の幹部が会社の価値を毀損”

9日、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者の弁護人を務める弘中惇一郎弁護士が会見を開き、再逮捕前に撮影されたゴーン容疑者の動画を公開し、改めて無実を訴えた。

「私は無実だ 」

もし、皆さんがこの動画を通じて私の話をお聞きいただいているとすればそれは、私が4月11日に予定していた記者会見を開くことができなかったということになります。この場で、4月11日にお伝えしたかったメッセージのエッセンスを皆さんにお伝えするとともに皆さんが抱いている多くの質問にお答えしたいと思います。

最初のメッセージは、私は無実だということです。これは何も新しいことではありません。1月に法廷で述べたことを再びお伝えしています。私にかけられているすべての嫌疑について、私は無実です。そして、それらの嫌疑に基づいて私に対してなされている非難についてもまた事実無根です。

それらの非難はすべて、私を強欲な人物あるいは独裁的な人物として塗り固めるためになされたものです。それらは、文脈から切り離されたり、偏見に基づいて歪められたものです。

私にかけられている嫌疑についてもお話します。金融商品取引法、新生銀行との契約、ジュファリ氏に支払った報酬について、私の立場は変わっていません。108日もの期間を拘置所で過ごしたにも関わらず私は常に無実であるという一貫した立場です。

「私は日本を愛し、日産を愛している」

私が皆さんにお伝えしたい2つ目のメッセージは、私は日本を愛し、日産を愛しているということです。もし愛情や愛着、心からの繋がりがなければ20年間をその国で過ごしたり、20年間をその会社のリーダーとして務めることなど誰もしないでしょう。

そして、この20年間という年月に、非常に多くを成し遂げ、非常に多くの結果を残してきました。私が1999年に日本に来たのは、打算によるものではありません。私が1999年に日本に来たのは、この国に魅了され、日産を再生させるという挑戦に心を躍らされたからです。

そして、私が初めて日本に来た時からすべてのキャリアを日産のリバイバルプランに捧げてきたことを皆さんよくご存じだと思います。日産で働く数十万人の勤勉な方々、とりわけ日本の方々のおかげで私たちは大変な成功を収めることができました。日本に対する私の愛情、日産に対する私の愛情というものは、私がいま経験している厳しい試練を経た後であっても、少しも変わることはありません。このことは皆さんに是非知っていただきたいし、信じていただきたい。

日産の仲間たちとともに、日産のために多くのことを行ってきました。それは私の誇りです。日産の仲間たちとともに、日本経済、そして日本企業の経営の在り方にも貢献してきました。

これらのすべてのことは、この数か月を経験した後であっても依然として、私にとって何ものにも代えがたい記憶であり、大切な財産です。先々、みなさんにもきっとお分かりいただけるときが来ると思います。

「いま起きていることが『陰謀』だ 」

私がお伝えしたい3点目は、いま起きていることが「陰謀」だということです。これは単に事件ということではありません。言われているような「強欲」「独裁」などという話でもありません。これは、「陰謀」「謀略」「中傷」ということです。

なぜか。なぜ、このようなことが起きたのか。それは、何よりもまず「恐れ」があったということです。アライアンスの次のステップ、統合、すなわち合併にむけて進むということが、ある人たちには確かな脅威を与え、それがゆくゆくは日産の独立性を脅かすかもしれないと恐れたのです。

ところが、日産の独立性はこのアライアンスが誕生してから19年間一度たりとて脅かされたことなどありません。私はこれまで日産の独立性を最も強力に守ってきました。将来、「次のステップ」がどのような形に展開しても日産の独立性は保ち続けるということを明確にしてきました。

当然、こうした独立性というものは、業績に支えられたものでなければなりません。独立性を得ること自体が目的となることはありえません。それが目的化してしまったために生じた「恐れ」です。 

「日産の業績不振は、現経営陣によるもの」

日産の業績が振るわず、大きく低下しています。この2年で3回の業績の修正があり、何度も不祥事(検査問題)がありました。会社が多くの難題に直面しているからということで問題なのではありません。起きた問題への対処の仕方が会社の信頼を損なっているのです。問題が解消されていないにも関わらず、会社として解決したと発言することは信頼を失うのです。

これは会社(日産)の現経営陣に問題があったということです。これらの人物のことはご存じだと思います。私が尊敬している日産の従業員の方々について言っているのではありません。数名の幹部、つまり明らかに自分たちの利益のため、そして、自分勝手な恐れを抱いたために会社の価値を毀損している人たちのことを指しています。それらの名前はみなさんご存じです。今回の汚い企みを実現させるべく仕掛けた多くの名前を挙げることができます。

真相や事実が明らかになることを願っています。しかし、結局のところ、この間、私は自分の事件にだけ苦しめられてきたわけではありません。

一体だれが、日産のかじ取りをしてくれるのか、ブランドを守っているのか、企業価値を守っているのか、株主の利益を守っているのか。株価の下落と業績の低下を目にしながらも幹部たちは、あれはしない、これはしないと言ってそれと同時に、今後何をするのかも言わず、未来のビジョンもなく、日産の業績を向上させるためのビジョンもなく、アライアンスの将来をより強化するためのビジョンもなく、自らを誇っている現経営幹部たち。それを見ることは非常に悲しいことです。私にとっては本当にうんざりさせられることです。

19年から20年もの年月をかけて、これらとは真逆のこと、つまり、企業価値を創造しブランドを強化してきた人間にとって、今のように頽廃(たいはい)して無頓着になっているのを目にすることは本当につらいものです。

「日産の業績低下を心配」

私は心配です。明らかに日産の業績が低下していることを心配しています。さらには、アライアンスを構築するためのビジョンがあるとは思えないので心配しています。

率直に言って、テーブルを囲んでコンセンサスで意思決定をしていくということは、自動車業界ほど競争の激しい産業においては何らビジョンをも生み出しません。将来像を見せなければなりません。これから未来に向けて私たち(日産やアライアンス)の役割は何なのかについて明確にする必要があります。必要な時にはリーダーシップを発揮しなければいけないものです。

そして、リーダーシップというものは会社にとって良いことのために発揮されるものであって(コンセンサスによる)妥協の産物を目指すものではありません。これは「独裁」などではなく「リーダーシップ」なのです。いかなる会社でも行われていることです。コンセンサスか独裁か、この2つの選択肢しかないと考えている人は、「リーダーシップ」の本質を理解していません。

アライアンスや日産ほどに複雑かつ巨大な組織のトップだったものとして、これはとても悲しいことです。

「公正な裁判を受けたい」

最後に、私がお伝えしたいのは私の切実な希望です。私がもっとも強く望むことは、公正な裁判を受けることです。私は幸いにしてこの訴訟で3人の有能な弁護士に弁護してもらうことができますが、彼らからは裁判の公正性についての安心材料は提供してもらえていません。

私は弁護士ではありません。私はこの点について詳しくありませんが、今回の裁判において公正性を保証するために必要とされる具体的な条件について3人の弁護士に説明してもらいます。

この裁判で私の無実を証明したいと切に願っています。ご清聴ありがとうございました。より多くのことを皆さんにお伝えしたり、皆さんの心にある多くの質問にお答えすることができなかったことを申し訳なく思います。しかし、将来それがかなうことを願っています。