新たな挑戦は「ブロックチェーン」
「新しく挑戦したいプロジェクトがあって、それは、ブロックチェーン・ファンド」
本田圭佑氏は5月30日、東京ミッドタウンで開催されたAdvertising Week Asiaの基調講演に登壇し、新たなプロジェクトについて発表した。
ビットコインなどの仮想通貨を支える技術、ブロックチェーン。そのブロックチェーンに関連したスタートアップ企業等にファンドを通じて投資を行っていく。
ファンドを運営するのは、ベンチャーキャピタルEast Venturesで投資経験を経て独立した28歳の起業家、大日方(おびなた)祐介氏。
ビットコインやイーサリアムの思想は本当に未来
本田:
「ブロックチェーンと聞いて、投機的なイメージを持たれる方がいるかもしれませんが、あくまでトークン(仮想通貨)を支える技術。ポイントは分散型で誰の手にも支配されていないこと。
世界には、政治が不安定で、自分のお金がどうなるか分からない国もたくさんある、こうした問題も解決していきたい。」
ブロックチェーン関連の思想に共感した本田氏は、1年ほど前から仲間を探しながら勉強を続け、今回の発表に至ったという。
本田:
「一時期、お金を稼ぎたい人たちが、訳の分からないトークンを発行して、詐欺まがいなもので溢れてしまった。
でも、ベースとなるビットコインやイーサリアムの思想は本当に未来なんですね、すごく未来。ただ技術もこれからだし、ベイビーのフェーズだと思います。」
ブロックチェーン・ファンドの中身とは?
新たに立ち上がるブロックチェーン・ファンドの中身とは? 後日、大日方氏に追加取材の機会を得た。
ーーブロックチェーン関連サービスは、今後、どのように世の中を変えていくのでしょう?
まず、人間の生き方や生活が、そんなに“国”に縛られない形になっていくのかな、それが社会から求められているのかなと。
ビジネスがグローバルになり、人と人との間で価値を移動させるやり方、すなわち金融の枠組みが変わってきた。その一つの例を見せつけてくれたのがビットコインなのだと思います
比較的最近の事例をご紹介するなら、MakerDAOが良いかもしれないですね。資産を担保に入れたローンのサービスです。
ユーザーの住む場所に依存しないので、金融の仕組みが整っていない国にもローンを提供できます。
このように金融領域でブロックチェーンが出来ることを総称して、「オープンファイナンス」もしくは「Decentralized Finance(DeFi - 分散型金融)」と呼ばれたりもしています。
(MakerDAOの画面を見ながら)ただ、まだまだ一般の人が使える代物では無いんですね。例えるならば、ブラウザを使わずにインターネットに接続しているようなものです(笑)。
世界の舞台で戦えるプレイヤーを
ーー全世界を対象に活動されるとの事ですが、世界における日本の位置づけは?
実は、ブロックチェーン領域では、世界が日本に注目してくれているんです。
その理由ですが、日本は「三拍子」揃っている国なんですね。
まず、行政による法規制がいち早く進んだこと。それによって大企業による取り組みも多く始まっています。2つ目に、より一般の方も仮想通貨を保有したり触れた経験があること。そして3つ目が、開発者コミュニティの成長です。
この三要素が揃っている国というのは世界でも珍しいんです。
ーーカンファレンスで本田さんから、世界との競争の中で日本はもっと危機感を持たないと、という主旨のコメントもありました。
そもそもブロックチェーン領域は、世界中で同時多発的に動いている業界なんですね。グローバルなコミュニティに関わっていないと、意味がない。
今年の10月には、昨年立ち上げたブロックチェーン関連の大型カンファレンスNodeTokyoを開催します。
日本のプレイヤーにとっては、世界最先端のチームと東京で接点が持て、海外の人にとっても、効率よく日本のエコシステムを理解できる機会になります。
自分自身も、世界のトップ舞台で活躍できるプレイヤーとなるべく精進しますし、日本からも同じ視座を持った同志を応援したい、という気持ちです。
今年は同じタイミングで、イーサリアム・ファンデーションによる年に一度のカンファレンスDEVCONが大阪で開催されるんです。その週はさながら、「ジャパン・ブロックチェーン・ウィーク」と言ったところでしょうか。