子どもの頃から身につけさせたい!世界へ飛び出すための“見えない教養”

「全米最優秀女子高生」を育てたボーク重子さんインタビュー

カテゴリ:暮らし

  • グローバル社会で必要な“見える教養”と“見えない教養
  • グローバル社会では意見を言わない人=存在しない人
  • 知っておきたいマナー。日本の常識が通じないときも!

海外で仕事をしたり、学んだりすることで、自分もグローバル社会へと飛び出していきたいと思っている人も多いだろう。
 
だが、どんなに英語ができたとしても、グローバル社会には日本の常識が通じない時がある。それを知らないで飛び出していくのと、しっかりと身に着けて飛び出していくのとでは大違い。
 
「世界基準の子どもの教養」(ポプラ社)の著者・ボーク重子さんも、グローバル社会へと飛び出していき、さまざまな壁に突き当たり、苦い経験をしてきたという。その経験から学んだことや、気づいたことをもっと多くの人に知ってもらいたいと今回著書にまとめた。
 
「グローバル化が進む日本においてもこれからますます日常生活や仕事でグローバル社会の常識を知っていることがアドバンテージとなっていくことと思います。その常識の第一はグローバル社会は招かれて入るものではなく、自分から『入れて!』と参加するもの」だというボークさん。

そのために特に大切なのは「考える力」だと語った。

グローバル社会で生きるために必要な6つのこと 

英語力には自信があり、世界へと飛び出したボークさんは、いつ、グローバル社会において必要な教養を身に着けていないと感じたのだろうか。

「娘が2歳の時に、“プレイグループ”という近所のお母さんたちと、先生を雇い交代でお世話をするというグループがあり、そこに行きました。お母さんたちも国籍は違い、いろいろな国の人がいました。でも、私だけ浮いていたんです。それは、娘にも影響していました。私が他のお母さんたちの輪に入れずにいたから、プレイグループの後、遊びに誘ってもらえず、娘も一人ぼっちだったんです。

他のお母さんたちと私の英語力に差はないのに、何が違うのだろう…と観察したんです。観察して、考えた末に、このお母さんたち、そして夫の関係で出会うグローバル社会で活躍する人たちの“6つの共通点”を見つけました。そして、それが私にないということも知りました。それを身につけないと、娘も私にようになってしまうと思い、行動を起こしたんです」

この6つの共通点をボークさんは物事の考え方や会話術などの“目に見えない教養”と礼儀作法やマナーなど“目に見える教養”とに分け、それぞれ経験談と共に紹介している。

【6つの共通点】
1. リベラルアーツを学び自分の意見を持つ
2.Causeという自分らしい社会との関わり方を持つ
3.教養あふれる会話と会話術を身につける
4.グローバル教養に欠かせない「外からみた印象」
5.グローバル教養あふれる食事の仕方
6. グローバル社会でネットワークを築くための社交ルール


大切なのは「自分の意見」 

まず、物事の考え方や会話術など目に見えない教養について、「リベラルアーツ的思考力」をボークさんは挙げた。リベラルアーツとは、“自分を知り、自分の意見を構築する教育”だといい、その過程で「自分ならどうしたいのか」や「自分はどう生きていきたいのか」と自問することで、自分らしい自分にとっての最適な生き方も見つけることができるという。

「今、学校でもリベラルアーツ的思考力が非常に重要だとされています。授業の中で意見を言わない子は、クラスに貢献してないということで成績は低くなります。意見を言うことで他の人の考えも学べるので、自分の意見を言うことはとても重要なのです。

特に驚いたのは、意見の交換をしていても、否定や批判されることを怖がっていないことです。間違っていたら大変、こんなことも知らないと思われたら…と思うじゃないですか。でも、グローバル社会では意見を言わない人=存在しない人になってしまうので、意見を言わない人はみんなの輪の中に入れないんです。私がそうでした。

リベラルアーツは、日本では一般教養と訳され、プラトンなどの書籍を読むことが大切だと思われるかもしれませんが、読んで知識を集積するというよりも読んだことを『自分にとっての正義、コミュニティーとは?』や『幸せとは?』『働くとは?』といったことを考えることに生かすことが重要です。自分に対して問いを立てて、答えを発見し、自分というものを探していく、これがリベラルアーツです」


だが、そういったリベラルアーツ的思考力はどうすれば育めるのだろうか。ボークさんはその力を伸ばすために一番大切な場所を「世界最小で最強のコミュニティーである家庭です」と熱く語った。ボークさん自身も、その能力を娘・スカイさんと一緒に学びながら身に着けていったという。

子どもにとって家庭は一番影響を受けやすい場所です。『学校で何したの?』と問いかけるだけで、子どもは何をしたか振り返り、考え始めます。私も含め質問や議論という教育を受けてきていない親世代は質問するのが苦手かと思いますが、リベラルアーツ的思考力を鍛えるためには質問し意見を引き出すことが重要です」

意見を構築するためには、人に質問をしてもらうことが必要で、ボークさんは娘と対話をしながら、徐々に自分も意見を持つということを始めた。大人になってからこれまでの習慣を変えることは難しいが、意識をすることで徐々に自分を変えていったという。

社会に無関心でいてはいけない 

続いて、グローバル社会を生きる上で、大切なものとして「Cause(コーズ)」を挙げている。これは「自分はどう社会とかかわっていきたいか」と自問をし、「自分一人ではなく、社会の役立つ一員となる大きなビジョンを持つ」という生き方で、今やビジネスでも取り入れられているものだという。そして、アメリカでは「エリート大学への入学でもCauseは求められている」とボークさんは言う。

「いわゆる“エリート大学”は、自分の大学で教育することで、どんな社会に役立つ人材に育ってくれるのかということを考えます。もう、テストの点数が良いという判断だけで決めていません。例えば、『歯科医になりたい』という夢を持っていたとして、Causeがあると『口腔崩壊した子どもたちのために月に1回無料で治療できるクリニックを開きたい』といった世の中がもっと良くなることを考えたビジョンを抱くようになるかもしれません。そんな共感力あるビッグビジョンを持っている人がこれからの世の中には必要なのです」

リベラルアーツ的思考力を持ち、自分を知るための自問を行い、自分の意見を構築。そして、その知識をどう社会で応用していきたいかCauseを考えていく。グローバル社会で活躍するためには、自分のことだけでなく、自分を理解し、社会に関心を持って生きていかなければならない。

知っておきたい!グローバル社会のマナー

もう一つ、何も知らないまま世界に飛び出したボークさんは、さらなる壁に直面したという。著書の中で“目に見える教養”として、見た目の印象や食事のマナー、社交のルールを挙げているが、今、ネットに情報があふれ、マナーなどもネットで調べよう、と思っている人は多いと思う。

だが、ボークさんは「ネットの情報は膨大。実践しようにもどこから手をつけていいかわからないし、マナーなど手順がありすぎて覚えられない」とも言う。情報量に加えてもう一点、ボークさんが指摘するのは日本とグローバル社会に存在するギャップだ。

「グローバル社会に出たときに、日本のローカライズなマナーとグローバル社会のマナーでは同じ部分もありますが、違い、つまりギャップもあります。日本では良しとされることがグローバル社会では失礼や奇異にあたることがあるのです。実はこのギャップを知らないととんでもない礼儀知らずになりかねないのです。ところがこのギャップについてまとめた本はありません。ですから本著では日本とグローバル社会のマナーのギャップに焦点を当て、挨拶や握手に自己紹介、食事の仕方から社交や服装などこれだけ知っていればどんな場面でも教養がないと思われない必須のマナーに絞っています」

ここで質問!あなたが海外で生活してるとして、近所の友人から「19時からのホームパーティー」の招待を受けたら、あなたは何時に友人宅へ行きますか?

 その答えをボークさんは「スタート時間より前に着くのはダメです!」と厳しく指摘した。

「時間ちょうどもダメです。5分から15分程度、遅れていくことが礼儀です。これは特に、家に招待されている場合ですが、主催者は19時まで準備しているんです。準備中に着くことになるのは大変失礼です。もちろん、ビジネスミーティングやレストランの場合は時間通りに行くことが大切ですが、これも早めに到着することはありません」

日本の常識に加え世界の常識をも知ることがグローバルな舞台で日本人がますます活躍する鍵となっていく。グローバル社会で多くの人と繋がり協働し、活躍していくためには、英語力や勉強以上に大切なことがあるということも知らなければならない。

「世界基準の子どもの教養」ボーク重子(ポプラ社)

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