撮影日 : 2011年3月12日
場所 : 宮城県 沿岸部
宮城県沿岸部の津波による被害状況をとらえた映像(震災翌日: 3月12日)、県南部の名取市付近から、県北部・気仙沼市までの広域をヘリコプターから空撮。
朝9時前、宮城県南部の海岸付近は、陸と海の境目が判別不可能な状態になっていた。
「仙台空港」(名取市)は、ターミナルが、なんとか形を残しているものの、滑走路はほとんど水没している。
仙台市(宮城野区)と多賀城市の境目に位置する仙台港の付近では、JX日鉱日石エネルギー・仙台製油所のコンビナートをはじめ、複数の施設で火災が発生し、大きな黒煙が立ちのぼっていた。周辺に消防車の姿などは見当たらず、消火活動もままならない状況がうかがえる。
松島湾まで来ると、海上保安庁の巡視船「くりこま」(第2管区海上保安本部)が、船体を傾けて座礁している様子も確認できた。
午後になり、別のヘリが沿岸部を北上する。
東松島市の上空、航空自衛隊松島基地も、広い敷地の大部分が水没。基地内の格納庫にカメラを向けると、がれきにまみれたブルーインパルスの姿も捉えられた。
石巻市上空に入ると、まず石巻港(工業港)付近で、陸地に打ち上げたり、転覆したりしている大小複数の船舶を目にする。
貨物線のコンテナが脱線している日本製紙石巻工場、津波と火災で焦土と化してしまった門脇地区...さらに旧北上川の河口を越え、その東部、湊地区や渡波地区でも、街に襲来した大津波の痕跡がはっきりと残る。
万石浦を経由して、さらにヘリが北上すると、女川町は、まさに壊滅状態。
女川湾から、万石浦付近(石巻市方面)の高台にかけての約1km以上、住宅地をのみ込みながら、一気に駆け抜けた、すさまじい津波の様子が、容易に想像できた。
女川町の北、旧桃生郡雄勝町(現・石巻市雄勝町)も、同じく壊滅状態で、大きく損壊した「雄勝町公民館」の屋上に、残骸と化した大型バスが乗り上げている。
追波湾に注ぐ北上川の河口付近は、川を挟んで両岸の陸地が、ほぼ全域にわたり、湿地のような状態と化していた。
続けてヘリは、南三陸町(本吉郡)・志津川湾付近の上空に差しかかる。
町の中心部・志津川地区では、家屋がほぼ消失した市街地に、いくつかの高いビルだけが目を引く異様な光景。半4階建ての高野会館(結婚式場)屋上では、避難した多くの住民らが救けを待ち、近隣の公立志津川病院の屋上でも、自衛隊のヘリによる懸命の救助活動が展開されていた。
その北部、歌津地区では、街を東西に横断する国道45号線・歌津大橋が完全に崩落し、点在する橋脚の周囲に、破壊された長い橋梁(りょう)の断片が、巨大な塊となって、いくつも転がっている。
海上で大量のがれきが集まり、まるで「島」のようになった様相などを捉えながら、ヘリはさらに北上し、気仙沼市へと向かう。
遠方上空からのぞむ気仙沼の市街地は、いたるところ、白煙・黒煙がたなびき、近づく以前から、その凄惨(せいさん)な状況をうかがわせていた...
[ヘリからの機上レポート: 篠田吉央 アナウンサー(岡山放送)、柳沢 剛 アナウンサー(仙台放送) ]