タレントの堀ちえみさんを、インターネット上で、侮辱・脅迫した罪に問われている男の初公判が、先月30日午前11時から、東京地裁で行われた。法廷では、「言葉の暴力」の数々が明らかにされ、男は起訴内容を認めた。

「気持ち悪いから殺す」「オエッ」

29歳の被告の男は、薄いグレーのシャツにネクタイ姿で、初公判に現れた。千葉県・市川市に住む男は、この日、関係者の女性に伴われて出廷していた。人定質問で、裁判官から職業を問われると「無職」と答えた男は、どこか捉えどころのない表情をしていた。

侮辱・脅迫の罪に問われた29歳の男(6月30日 東京地裁)
この記事の画像(10枚)

続いて、起訴状が読みあげられ、堀ちえみさんに対する侮辱・脅迫の数々が明らかにされた。聞くに堪えない文言だが、男の”やったこと”を伝えるため、あえて起訴内容の文言通り、報道することにしたい。

男は、去年6月3日、ネットの掲示板「ママスタ」に、「【訃報】堀ちえみ、死去」と題するスレッドを作成し、堀ちえみさんの画像を載せた上で、「ご冥福をお祈りします」と書き込んだという(侮辱罪)。

裁判では、堀ちえみさんの告訴状、堀さんの夫の供述調書なども証拠採用された。

また、同じ月の24日には、同じ掲示板に、「堀ちえみ、気持ち悪いから殺す」と題したスレッドを作成し、堀ちえみさんの写真を掲載した上で、「オエッ!」と書き込んだとされる(侮辱罪・脅迫罪)。

法廷では 他の芸能人に対する”脅迫”も・・・

起訴状の読み上げ後、裁判官から「起訴事実に、間違いないですね」と問われると、男は「はい、間違いありません」と罪を認めた。弁護側も、起訴内容を争わない意向を示した。

法廷では、証拠調べが進められ、堀ちえみさんの告訴状、堀ちえみさんの夫の供述調書、男の自白調書などが、証拠として採用された。その後、検察官から、7月と8月に、追起訴が予定されていることが告げられた。裁判官も弁護士も、事前に知らされていたようだ。その上で、次回公判の期日が、9月28日に決まった。

男は、他の”芸能人・有名人”に対する脅迫罪でも起訴されていたのだ。

初公判は、30分足らずで閉廷。ほとんど実質的な審理が行われないまま、およそ3カ月後に、審理が仕切り直されるという。そう、この男は、他にも、芸能人・有名人に対する”侮辱行為”などを繰り返していて、まとめて一括審理されることになったのだ。実は、この日、法廷では、男が、3つ目の「脅迫事件」でも起訴されていたことが明らかにされた。

「3つ目の事件」の起訴内容は、以下の通り。去年10月4日、同じ掲示板に「Aさんのガキ、特定できました。近日中に殺害します」と題するスレッドを作成するとともに、Aさんの娘の画像を掲載。「恨むならママを恨みなさい」と書き込み、危害を加える旨を告知し、脅迫したという(脅迫罪)。Aさんが誰なのかは、明らかになっていないが、芸能人・有名人とみられている。

直撃取材に「仕事がうまくいかず、イライラして」

初公判が終わった直後、FNNでは、独自で、男から話を聞くことができた。かたわらには、関係者の女性が付き添っていた。記者が、侮辱・脅迫に及んだ動機について問うと、男は「やっぱり、ちょっと、イライラしていて。仕事とか、うまくいってなくて、それでイライラしていて」と答えた。

閉廷後、FNNの取材に対して男が口を開いた(6月30日 東京地裁前)
取材に対して男は「申し訳ない気持ちでいっぱいです」などと、堀ちえみさんへの取材の言葉を口にした。

女性が「うつ病なんです」と言って、取材を遮ろうとすると、男は「うつ病もあるんですけれども、とにかく誰でも良かったというのが・・・」と述べた。その上で、「(堀ちえみさんには)今、申し訳ない気持ちでいっぱいです。侮辱的な発言をしてしまって」と謝罪の言葉を口にした。

複数の芸能人を標的「誰でも良かった」

また、他の芸能人などを標的にして”侮辱行為”を繰り返していたことについては、「メディアを見ていて、目についた人を片っ端から・・・。同じように無差別に、そうやって攻撃をしてしまったので、皆さんに対して同じような気持ちです」と語った。

男は、関係者の女性に伴われて出廷していた。

一方で、「あんまり、ネットの掲示板とか見ないように心がけて、ストレスの発散も、他の場所ではけると言うか、そういう風にしていきたい」と反省の態度を示した。男は、堀ちえみさんの他に、女性歌手やユーチューバーなどに対して、”侮辱行為”に及んでいたとみられている。

先の国会では、ネットの誹謗中傷対策として「侮辱罪」が厳罰化された。改正刑法が施行されたきょう以降の行為が、取り締まりの対象となる。しかし、ストレス発散のため、知らない相手を、片っ端から、無差別に、「殺します」などと、ネット上で攻撃することは、とても簡単なのだ。厳罰化が、歯止めになるのか・・・。

記事 928 社会部

今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
事件、事故、裁判から、医療、年金、運輸・交通・国土、教育、科学、宇宙、災害・防災など、幅広い分野をフォロー。天皇陛下など皇室の動向、都政から首都圏自治体の行政も担当。社会問題、調査報道については、分野の垣根を越えて取材に取り組んでいます。